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人のセックスを笑うな―パブロ(暁千星)とフェリックス(風間柚乃)のピンクライト│I AM FROM AUSTRIA

「パブロとフェリックスのピンクライトについて、どう思うか?」とお尋ねがありました。
パブロ(暁千星)がフェリックス(風間柚乃)に一目惚れした瞬間、ふたりがピンクライトに包まれる演出(東京公演のみ)のことですね。

「同性愛を揶揄するものではないか?の声が一部に上がっている」とのことですが、それは違うと思います。
あのピンクライトに“特定の性的指向で笑いを取ろう”との意図は感じません。
単なる「分かりやすさのための演出」でしょう。

宝塚の観客層は厚く、東西合わせて二桁を観るハードリピーターから、一回限りの団体客まで、個人差が大きいですね。
みんながみんな予習ばっちり、何度も繰り返し同じ演目を観るわけではないですから、「いま、ここで恋が生まれた」ことをハッキリ悟らせないとラストシーンで盛大に「???」に陥ってしまう恐れがあります。

サッカー選手とホテルマンが?いつの間に?なんで??…と。

『IAFA』のように常に大人数が舞台に乗りっぱなしの作品は尚更。
一回こっきりの観客が出演者全員に神経を配るのは難しいものです。
特に、生徒の見分けがつかない宝塚初心者にとっては。

私の結論は「ピンクライトは演出家の親切であり、それ以上でもそれ以下でもない」です。

人のセックスを笑うな


『IAFA』のピンクライトに同性愛をネタ化する意図はなかったと思います。
しかし、いい機会なので、同性愛を含むLGBTsと宝塚歌劇について思うところをまとめます。

LGBTsを扱った宝塚作品で思いつくのは、『ニジンスキー』『グランドホテル』『A-EN』『王妃の館』『BADDY』『蘭陵王』などなど…

今回は宙組の『王妃の館』の黒岩源太郎(蒼羽りく)を例に挙げます。
ツアー仲間の近藤誠(澄輝さやと)と恋に落ちる源太郎。

彼女の台詞「あたしなんて、おかまよ!」への観客の反応はさまざま。
眉をひそめる方、拒否反応を示す方。
そして、笑う方。

マコちゃん(澄輝さやと)の恋と、宝塚におけるセクシャリティの表現│王妃の館

“おかま”というセンシティブな単語をあえてチョイスする真意。
それは何か?

言葉は単独で存在することはなく、必ず前後に別の言葉がつながるものです。
黒岩源太郎という人物がどんな意図で、この言葉を使ったか。
芝居の文脈をなぞれば、その意図は明白です。

演劇に限った話ではありませんが、文脈を無視し、単語ひとつを取り上げて「差別」「不謹慎」「不適切」と非難するのは、単なる言葉狩りですね。

問題は「あたしなんて、おかまよ!」で爆笑する客席にあります。
なぜ笑いが起きるのか?

山崎ナオコーラのデビュー作『人のセックスを笑うな』。
初めて聞いたとき、いいタイトルだな、と思いました。

「他人の性別、性自認、性的指向、性行為を笑いで消費するな」を端的に示す言葉。
それらを笑いものにする描写に触れるたび、頭に浮かぶフレーズです。

なぜ笑うのか考えてみよう


誤解を恐れず言うなら、笑う人がいてもいいのです。

ピンクの照明で強調される男同士の恋の始まり。
内股で歩き、小指を立て、女言葉を話す男性振付家や美容師のキャラクター設定。

それらが舞台に現れたら、笑う。
それがエンターテイメントにおけるセクシャルマイノリティへの“正しい反応”であるという刷り込み。
しかし、社会はもはや、そのフェーズにありません。

“おかま”“オネエ”“ホモ”というワードに、条件反射で笑うのもいいでしょう。
しかし、アハハと声を出した後に、ちょっと考えてみることが必要です。

なぜ笑ったの?
なにが可笑しいの?
一体なにが自分の笑いを引き出したの?
冷静に考えれば何も滑稽なことはないでしょう。

自分が望む姿で生きたいと願う人。
自分が望む相手を愛したいと思う人。
ただそれだけ。

誰かが誰かを愛してる。
誰かと誰かが愛し合っている。
ただそれだけのことです。

LGBTsに対する意識は、世代間や地域間、個人を取り巻く環境により、温度差が大きい現在。

宝塚歌劇でLGBTsが取り上げられることは、そのギャップを埋めるのに一役買っているのもしれません。
前回の記事で書いた通り、パブロとフェリックスの恋が適切に描かれたのは、演じ手の暁千星さんと風間柚乃さんの功績によるところが大きいですね。

ふたりの役者としての知性が、パブロとフェリックスを舞台に息づかせたのです。

パブロ(暁千星)とフェリックス(風間柚乃)―当たり前に存在するひとつの愛の形│I AM FROM AUSTRIA

他人の“セックス”を笑ってもいい。
しかし、笑いっぱなしで終わってはいけません。

なにがどう可笑しいのか考えてみることが大切です。
もしかしたら、可笑しがるあなたこそが“おかしい”のかもしれませんよ。

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野口 留香 noctiluca

Author:野口 留香 noctiluca
宝塚歌劇と共にまもなく30年(ブランクあり)。
月組/星組比重高めの全組観劇派。
美丈夫タイプの生徒さんが好み。
宝塚歌劇観劇記録・考察・思い出話・備忘録などをまとめたブログ。
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