FC2ブログ

アンドロギュヌスな男役、明日海りお―究極の男役は性を超越するのか│青い薔薇の精

まさか、みりおさん(明日海りお)の宝塚生活最後の役が「妖精」とは驚きました。
しかし、同時に妙に納得したことを覚えています。
明日海りおという稀有な男役が、何をもって自身の集大成とするのか?
ひとつの選択肢として、男でなく女でもない「フェアリー」が候補に挙がるのは分からなくもありません。

卒業すれば二度と男役として舞台に立つことはありませんから、ファンとしては「普通の男役」を観たいという気持ちもあります。
ですが、最後だからこそ「明日海りおにしか成し得ない役」を観たいという思いも、またあるのです。
明日海りおはフェアリーか?―「青い薔薇の精」と「美少年(ヴェニスに死す)」│A Fairy Tale

アンドロギュヌスな男役、明日海りお


みりおさん同様、いわゆる“フェアリー系”男役として語られることの多い朝海ひかるさん。
彼女の卒業公演も、男でなく女でもない「堕天使」でした。
(植田景子作『堕天使の涙』)

男でなく女でもなく、それ以前に「ヒト」でもない。
当然、相手役(トップ娘役)と「人間同士の恋愛」は描かれない。

肉欲を伴わない、精神の愛。
互いの魂を救い合う、高次の愛。
『青い薔薇の精』や『堕天使の涙』で描かれるのは、そんな愛です。

景子先生が“フェアリー系男役”に求めるものは何なのか?
「男役の魅力」について書いた記事の中に、そのヒントがあるように思います。
ちょっと長いですが、抜粋します。

宝塚歌劇の最大の特徴、それは女性が男性を演じる“男役”。

その魅力については、既に語り尽くされた感がありますが、なぜ私たちが“男役”という存在に惹かれるのか。
考えてみました。

宝塚とは逆に、男性が女性役も務めるのは、同じく日本の伝統芸能「歌舞伎」。
比較されることの多い両者に共通する魅力のひとつといえば、歌舞伎なら“女方”、宝塚なら“男役”。
それぞれ本来の性と異なる性を演じるところに面白さがあります。

芸の力で男以上の男、女以上の女を作り上げる。
男のいいところ、女のいいところのエッセンスを抽出した理想の人物像が生まれる。

俗に「男役10年」と言われますが、男役の型がようやく出来上がるのが10年目。
年齢的にも女性が成熟し、最も輝きを増していく時期とそのまま重なります。

彼女らの中に潜む女性性と、表面に表れる男性性との妖しいせめぎ合いこそが、男役の一番の魅力ではないかと考えます。
浪漫の騎士│宝塚「男役」の魅力ってなんだろう?【case1.珠城りょう】より抜粋]


男役の魅力を、「彼女の中に潜む女性性と、表面に表れる男性性との妖しいせめぎ合い」と定義するならば、必ずしも「男」の姿・かたち・性質を備えていなくても「男役」は完成すると言ってよいでしょう。

なかでも、みりおさんのように両性具有的魅力が濃厚な男役を何と呼ぶか?
“フェアリー系”ならぬ“アンドロギュヌス系”?

古来より、芸術家たちの創作意欲を刺激してきた“アンドロギュヌス”。
絵画や彫刻などで具現化されてきた彼ら。

なぜ、モチーフとしてのアンドロギュヌスは創造者の心を捉えて離さなかったのか?
「男」と「女」を兼ね備えた「完全体」であると考えられていたためと思われます。
その点、「宝塚の男役」はまさに“生きるアンドロギュヌス”と言えます。

アンドロギュヌスの中のアンドロギュヌス、明日海りお。
宝塚の座付き作家にとって、非常に刺激的な存在であることは明らかです。
よって、明日海りおのラストステージに性を超越した妖精役を当てたのは、当然の帰結でしょう。

究極の男役は性を超越する


卒業公演で「ヒト」でなかったのは、つい先日『GOD OF STARS-食聖-』で退団された星組トップスター・紅ゆずるさんもですね。
紅さんの役は天界の住人「紅孩児」。
人間の女性と恋をして下界に降りた彼は、ラストシーンで大勢の子どもに囲まれ、大団円を迎えます。

紅孩児にアンドロギュヌス的要素は見当たらず、女性との関係はシンプルなラブコメディとして描かれる。
紅さんの男役としての個性、コンビを組んだ綺咲愛里さんとの関係性、そして作者の小柳菜穂子先生の作風によるものでしょう。

異世界の住人との恋愛を「異類婚姻譚」として描いた『食聖』。
かたや、あくまで人間と交わることのない「堕天使」朝海ひかると、「妖精」明日海りお。
同じ人外が主役の宝塚作品で、こうも仕上がりに違いが出るのは面白いですね。

「性」にとらわれない「美」と「愛」を描いた妖精エリュを演じたみりおさん。
併演のショー『シャルム!』では、とびきりカッコよく、華やかな「ザ・男役」の魅力を振りまきます。

性を超越した様々な「タカラジェンヌの美」を堪能させてくれた明日海りお。
大千穐楽まで、さらに男役を極めていかれますように。
長い間たくさんの素晴らしい夢を見せてくださり、ありがとうございました。

↓ブログランキングに参加しています↓
よろしければ応援クリックお願いします

にほんブログ村 演劇・ダンスブログ 宝塚歌劇団へ
にほんブログ村

↓Twitter(ブログ更新情報)↓
‎@noctiluca94

○『A Fairy Tale —青い薔薇の精—』関連記事はこちら↓
明日海りおはフェアリーか?―「青い薔薇の精」と「美少年(ヴェニスに死す)」│A Fairy Tale
関連記事
スポンサーサイト



コメント

※任意
※任意
※任意
※任意
※任意
非公開コメント
※必須

プロフィール

野口 留香 noctiluca

Author:野口 留香 noctiluca
宝塚歌劇と共にまもなく30年(ブランクあり)。
月組/星組比重高めの全組観劇派。
美丈夫タイプの生徒さんが好み。
宝塚歌劇観劇記録・考察・思い出話・備忘録などをまとめたブログ。
◇更新情報はこちら◇
Twitter‎@noctiluca94

ブログ内検索とタグクラウド

最新記事

カレンダー

12 | 2020/01 | 02
- - - 1 2 3 4
5 6 7 8 9 10 11
12 13 14 15 16 17 18
19 20 21 22 23 24 25
26 27 28 29 30 31 -

カウンター

宝塚歌劇団人気ブログランキング

にほんブログ村ランキング

アクセスランキング

[ジャンルランキング]
学問・文化・芸術
12位
アクセスランキングを見る>>

[サブジャンルランキング]
演劇
2位
アクセスランキングを見る>>

ブロとも一覧

ブロとも申請フォーム

noctilucaにメッセージを送る

お名前:
あなたのメールアドレス:
件名:
本文:

QRコード

QR

**