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紅ゆずるの中臣鎌足―生田大和は藤原氏1200年の繁栄の礎を築いた男をどう描くか?│鎌足

公演タイトルから生田大和先生の並々ならぬ思い入れが伝わる『鎌足―夢のまほろば、大和(やまと)し美(うるわ)し―』。

サブタイトル「夢のまほろば、大和し美し」のソースは、『古事記』に収められた倭健命(やまとたけるのみこと)の歌「大和は 国のまほろば たたなづく 青垣山ごもれる 大和し美し(夜麻登波 久爾能麻本呂婆 多多那豆久 阿袁加岐 夜麻碁母禮流 夜麻登志 宇流波斯)」と思われます。

「まほろば」は「いいところ」「住みやすい場所」の意味。
以前月組に「まほろば遊」と仰る男役さんがいらっしゃいましたね。

歌の意味は「大和は素晴らしいところ。幾重にも重なる木々の青に囲まれた大和のなんと美しいことか」といったところでしょうか。
雄大な景色が目に浮かぶ、素直な詠みぶりです。

中臣鎌足―藤原氏1200年の繁栄の礎を築いた男


さて、中臣鎌足とはどういう人物なのでしょうか?
ひとことで言えば「藤原氏1200年の歴史の祖となった男」ですね。

古来より日本を支配してきた氏族、蘇我氏、藤原氏、平氏、源氏、北条氏、足利氏、徳川氏…
なかでも比較的長く続いた足利氏や徳川氏すら、せいぜい300年。
かたや、鎌足以来、鎌倉幕府が成立するまで約500年もの間、政治の実権を握った藤原氏。

その後も明治維新に至るまでの1200年間、権力の中枢を占めていたのは驚くべきことです。
13世紀から20世紀初頭までヨーロッパを支配したハプスブルク家のざっと倍の年月と考えれば、いかにその力が強大であったか推し量れます。

その礎は、ほぼ鎌足・不比等親子によって築かれたと言っても過言ではありません。

藤原氏を代表する人物といえば、積極的な閨閥政治により栄華を極めた藤原道長でしょうか。
「この世をば わが世とぞ思ふ 望月の 欠けたることも なしと思へば」
世界は自分のためにある、と言わしめるほどの権力。

その最初の一歩を踏み出したのが鎌足なのです。
死の床で、天智天皇(中大兄皇子)から最高の冠位「大織冠」と「藤原姓」を賜った鎌足。

これより先、中臣鎌足の子孫は藤原を名乗ることになります。
そうして現れたのが、歴史に名高い「藤原不比等」。
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生田大和は「紅ゆずるの鎌足」をどのように描くのか?


生田先生は紅ゆずるの鎌足をどのように描くのか?
想像のヒントは公式サイトの公演解説にあります。

代々神祇官を務める中臣氏に生まれた鎌足[略]、ある日、朝廷に仕える少女・与志古娘(よしこのいらつめ)と出会う。鎌足は少女と心を通わせるが、中臣氏では釣り合わぬと少女の近侍に面罵される。
「中臣」に生まれた者は「中臣」として生きなければならない。生まれに支配された人生を抜け出し、求めるままに生き、与志古と結ばれたい…鎌足の胸中に後の彼を導く「改新の志」が芽生えた瞬間であった。
その日を境に鎌足は一層学問に打ち込み、学塾随一の秀才、入鹿と肩を並べるまでに成長していく。


ひとつめのヒントはこちら。
“「中臣」に生まれた者は「中臣」として生きなければならない。生まれに支配された人生を抜け出し”。

中臣氏が藤原氏に改姓することは、祭祀の職から離れることも意味します。
“求めるままに生き”とは神道から離れ、政治の実権を握ること。
つまり、それが「与志古娘と釣り合う男になる」につながるのです。

(史実では、改姓は鎌足の死の直前ですが、生田先生のアレンジが入るのでしょうか?)

余談ですが、神事を司る中臣氏では仏教の保護者になることができませんが、藤原氏なら可能です。
文武2年(698年)、藤原不比等と直系以外の藤原氏を中臣氏に戻し、神事を司らせるという詔が出されました。
一族をふたつに分け、政治と宗教(仏教と神道)の両面から支配を強めようとする意図が感じられます。

青年の野心と恋が「改新の志」に結びつく


もうひとつのヒントはこちら。
“その日を境に鎌足は一層学問に打ち込み、学塾随一の秀才、入鹿と肩を並べるまでに成長していく”。

藤原氏の家伝『大織冠伝』によれば、鎌足は幼い頃より学問を好み、よく書を読んだそうです。
中国の兵法書『六韜(りくとう)』を暗記するほど熱心に読んでいたとも伝えられます。

青年の野心と恋を巧みに「改新の志」へ結びつける。
生田先生の匠の技が光ります。

やがて中大兄皇子と手を組み、入鹿を征伐し、自らの求める理想の実現へと突き進む。
エネルギッシュで、野心と才能あふれる魅力的な人物像が浮かび上がります。

日本の歴史を大きく動かした中臣(藤原)鎌足。
このようにスケールの大きな人物を当てられるのは男役冥利。

バラエティ豊かな主人公を多く演じ、それぞれに高い評価を得られた紅さん。
卒業を目前に、原点に立ち返った正統男役像を見せていただけることはファンにとっても大きな喜びですね。

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Author:野口 留香 noctiluca
宝塚歌劇と共に30年(ブランクあり)。全組観劇派。美丈夫タイプの生徒さんが好み。谷正純・酒井澄夫・木村信司・大野拓史作品が好き。観劇記録・考察・思い出話・備忘録などをまとめたブログ。

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