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目は口ほどに物を言う―視線の魔術師、輝咲玲央│霧深きエルベのほとり

配役発表日からずっと、最大の関心事は「ロンバルトとアンゼリカの関係」でした。
公演期間も半ばを過ぎましたので、答え合わせをしてみます。

こちらが初日前の予想。
なかなかいい線をいってました。
「輝咲ロンバルト×音波アンゼリカ」で妄想が暴走☆彡│霧深きエルベのほとり
一文字違いで意味深に…輝咲ロンバルトと音波アンゼリカを結ぶ「赤い糸」│霧深きエルベのほとり

アンゼリカが貧しい家を助けるために金持ちに嫁いだのではないか?との予想は大当たり!

「現在の夫と、かつての恋人の間で揺れ動くアンゼリカが観たい」の願望も思ってた以上の形で叶い、満足です。

「ロンバルトはアンゼリカとカールの関係を知っていたか?」の答え合わせ


圧倒的な「大人の男の自信」を漂わせるロンバルト(輝咲玲央)。
湖のレストランで、カール(紅ゆずる)がアンゼリカ(音波みのり)に「その女は俺の昔の…」と言いかけたとき、すっと割って入り、みなまで言わせない。
妻を守るために盾となる姿、カッコいいですね。

「船乗りと同席するわけにはいかん」
決してカールの職業に対する差別ではなく、アンゼリカを守るための方便です。

初日前の記事で「ロンバルトはアンゼリカとカールの関係を承知の上で、彼女を妻に迎えたのか?それとも、結婚後に妻の過去を知ったのか?」と書きましたが、この答えも出ました。

はっきりしたことは分からなくても、常日頃のアンゼリカの様子から薄々、過去の男の影を感じ取っていたのでしょう。
そして、レストランでカールと出会い、疑惑が確信に変わった。
レストランを出ていくときに「あの男がそうか!」と言いたげな仕草をするロンバルト。

「目は口ほどに物を言う」視線の魔術師、輝咲玲央


カールとマルギットの結婚披露パーティー。
ここでロンバルトは、カールという男の「真の姿」を知るのです。

アンゼリカが愛した男とは、どんな人物なのか?

シュラック家のサロンで、カールの意識はこれっぽっちもロンバルトには向いていません。
しかし、ロンバルトの心は真っ直ぐにカールに向いている。

これは「戦い」です。
愛を巡る男同士の戦い。
ここでは地位や名誉や財力は無力。
一対一の男同士、裸の心のぶつかり合いなのです。

アンゼリカはカールのどこに惹かれたのか?
見極めようとするロンバルトの「男の目」。

顔を歪め、眉間にシワを寄せてカールを見つめるロンバルトの表情はとてもセクシー。
いつも余裕ある態度を崩さないロンバルト。
ここでだけ、生々しい素の男の感情が剥き出されるのですね。

静かに、しかし激しく、愛の火花が散る場面。

ふと、『スカーレット・ピンパーネル』のジェサップを思い出しました。
パーシーの心を見失って戸惑うマルグリットを、さりげなくいたわる「視線の芸」。
ロンバルト同様、「目は口ほどに物を言う」を体現する芝居です。
ジェサップさん(輝咲玲央)から目が離せない│THE SCARLET PIMPERNEL

カールとロンバルト、共鳴し合う男たち


「働くのは俺だ」
ロンバルトの態度が軟化したのは、カールの言葉を聞いたときではないでしょうか?

「俺が働いてマルギットを食わせる、マルギットに百姓はやらせない」
カールの真心を知ったロンバルトは彼を見直したことでしょう。
「船乗りとは同席できない」などと言った自分を恥じたかもしれません。

いずれにせよ、カールの本質に触れ、彼ならアンゼリカを愛する価値があったと認めたのだと思います。
また、カールを選んだアンゼリカの眼も確かであると、いっそう妻への愛情が増したことでしょう。

余談ですが、連れ合いはロンバルトにいたく共感したようです。
カールがいたから、今のアンゼリカがある。
過去に何があろうが、現在アンゼリカが自分のそばにいることが一番大事なのではないか。
ロンバルトはアンゼリカの過去をひっくるめて愛しているのだろう、と。

もうひとつ、「むしろカールには感謝しているはず」とも。
たしかに、同じ女を愛する者同士、ロンバルトはカールにほのかなシンパシーを抱いていたかもしれません。

エドガー(漣レイラ)の暴言に食ってかかろうとするカールを見て、一番大きく動いているのはロンバルトなのですね。

冷ややかな傍観者であるお歴々の中で、いさかいを止めようとアクションを起こすのはフロリアン(礼真琴)とロンバルトだけ。
ぐっと大きく踏み込む動きに、カールへの侮辱は他人事ではないと感じているように思うのはうがち過ぎでしょうか?

アンゼリカとの別れ際、カールは「旦那に可愛がってもらって、幸福に暮らせよ」と独りごちますが…
大丈夫、アンゼリカはきっと幸せになる。
カールのことはいつか優しい思い出となり、ロンバルトだけを見つめて暮らせるだろう。

そんな温かな余韻の残るラストシーンでした。

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宝塚歌劇と共にまもなく30年(ブランクあり)。
月組/星組比重高めの全組観劇派。
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