FC2ブログ

「光る○ン○ャク」―外連(けれん)こそ木村信司の醍醐味│蘭陵王

実のところ、MY初日に物販コーナーでかちゃさん(凪七瑠海)の腕の中に倒れ込む音くり寿さんの舞台写真を見て、「洛妃は蘭陵王をかばって死んじゃうんだ…」と一人勝手に悲しんでいたのです。

しかし、そうは問屋が卸さない!
木村先生がそんなベタな愁嘆場を用意するはずがない!
待っていたのは愉快痛快!大どんでん返し!

あわや毒酒をあおるか…と思いきや、すっぱり覆す。
緊張と弛緩の繰り返し。
木村作品の中毒性の高さの秘密はこんなところにあるのかもしれません。

名誉の死を「茶番」と一笑に付し、逃げて逃げて生き延びる!
そして、互いを「たぬきどん」「きつねどん」と呼び合うバカップル幸せな二人に涙しました。
本当に良かった!

今となっては、あのヌンチャクすら愛おしいですね。
公演中はネタバレを避けて「○る○ン○ャク」と伏せてましたが、正解は「光るヌンチャク」です。
(ヅカ友さんは「コンニャク?」と言ってましたが、光るコンニャクだったらそれはそれで新たな伝説を生みそう)

* * *

初めて「アレ」を観たときは、理解が追いつかず呆然としました。

ヌンチャク!?
なぜいきなりヌンチャクが出てくる!?
そして、なぜ光る!?

観客の混乱など意にも介さぬ痛快アクション!
ザッツ・エンタテインメント!
この外連味こそ、木村作品の醍醐味!

歌舞伎の宙乗りや屋台崩しのように、観客をあっと言わせる仕掛け。
私たちの度肝を抜き、おおいに楽しませようという木村先生のサービス精神の表れでしょう。

* * *

「なぜ?」の問いは野暮ですね。
演劇とは本来もっと自由なもの。
限りある空間、限りある時間の中で、いかに空想の翼を広げ、人生の喜怒哀楽を描き出すか。

騎馬戦も同様です。
千穐楽には、砂塵を巻き上げ、一路、洛陽城に突き進む蘭陵王軍が見えたような気がしました。
花のかんばせを奇妙な面で隠し、鬼神のごとく剣を振るい、並み居る敵を蹴散らす蘭陵王。
かちゃさんの気迫あふれる演技によって、見えないはずの五百騎をも「感じた」のです。

私は観たことはありませんが、自転車競技を取り上げた『弱虫ペダル』という2.5次元ミュージカルでは、役者がハンドルだけを持ち、ペダルを漕ぐ(ふりをする)そうですね。
観客の目には、風を切って走る選手、白熱するレースの有様が見えるのでしょう。

目に映るものだけを見るのではなく、自らの心を舞台の中へ飛び込ませ、役者が役の目で見ている景色を一緒に感じてみませんか?
「もっと演劇を楽しもうよ」
そんな木村先生の声が聞こえるような気がします。

↓ブログランキングに参加しています↓
よろしければ応援クリックお願いします

にほんブログ村 演劇・ダンスブログ 宝塚歌劇団へ
にほんブログ村

↓Twitter(ブログ更新情報)↓
‎@noctiluca94

○『蘭陵王』関連記事はこちら↓
チケット代金以上の価値がある―洛妃(音くり寿)の歌と芝居│蘭陵王
「そうして生き延びたが、悪いか」―蘭陵王(凪七瑠海)と「言葉の力」│蘭陵王
「飛べない孔雀」―高緯(瀬戸かずや)と逍遥君(帆純まひろ)│蘭陵王
「生きること」「愛すること」人間の根源的欲求を描く『蘭陵王』―凪七瑠海と音くり寿のハマり役
迷作?珍作?奇作?怪作?その正体は…「大傑作」キターーー!│蘭陵王
新ジャンル「プログレ雅楽」?ストライクゾーンど真ん中な『蘭陵王』開幕が待ち遠しい!
東儀秀樹(雅楽)×木村信司(宝塚)!大好きコラボにわくわく!│蘭陵王
関連記事
スポンサーサイト



コメント

蘭陵王すばらしかったですね

noctiluca様

はじめてコメントいたします、ヴィスタリアと申します。

聡明で読みの深いブログをいつも楽しく、そして多く気づきをいだただき納得しながら拝読しております。

私も「蘭陵王」に感動したのですが言葉にしきれず、的確かつ明晰な文章にされているnoctiluca様の記事を読んで、観劇した際の感動、作品のどこがすばらしくてカチャさん、おとくりちゃん、アキラさんのどういった演技がよかったのかが蘇りました。

カチャさんとおとくりちゃんだからこそできる役であった、男役をきわめているアキラさんだからこそできた役だったと、あらためてあのすばらしい舞台を思い出しながらこれを書いています。

高緯の「飛べない孔雀」という着眼点、ポスターのキャッチコピーになっていたセリフの真の意味、隠された思いを「そうして生き延びたが」と端的に書かれていて膝を打ちました。

私は宝塚を離れていた時期もあって木村先生の作品をあまり見られていないので、言葉やメッセージ性についての記事も興味深く読みました。
映像ですが宙組「不滅の棘」に大感動し今回の「蘭陵王」にも感動したので、ほかの作品も見たいです(恥ずかしながらまだ見られていないのです)。

今回、セットの転換は少ない舞台でしたが照明、演技、セリフで様々な風景をありありと見せてくれたと感じています。
それもまた木村先生のメッセージであり、生徒さんの技術の照明もであり、大劇場だとなかなかできない方法かもしれませんが、この作品はしかるべき生徒さんで再演されてほしいと思いました。

なんだかまとまりのない文章で失礼いたしました。

Re: 蘭陵王すばらしかったですね

ヴィスタリア様

コメントありがとうございました。

身に余るお言葉、恐れ入ります。
楽しかった観劇の思い出を残しておければ…と半ば自己満足で書いているブログですが、そのように読んでいただき、とても嬉しく、励みになります。
本当にありがとうございます。

『蘭陵王』素晴らしかったですね。
役者の生の息遣いと熱を感じられる、「演劇」という芸術ならではの感動を得られる作品でした。

木村先生の想いが詰まった脚本を、この上ない形にしてくださったかちゃさん、花組の皆さまには心からの称賛を送ってやみません。

ヴィスタリア様もブランクがおありなのですね。私もです。
ただいま第二次ヅカブーム真っ最中です。

『不滅の棘』も素晴らしかったですね。
切ないほどに美しい作品でした。

『不滅の棘』と『蘭陵王』をお気に召したのであれば、もうひとつ木村先生の『鳳凰伝』もお勧めです。
「すべて この世は夢…」で始まるテーマソングに木村作品のエッセンスが詰まっているように思います。

仰る通り、木村作品は装置や照明が効果的ですね。
舞台芸術の特性がよく活かされていると感じます。

あまりに短い公演期間、もっと多くの方に観ていただきたい作品でした。
また役者が揃った頃に再演を願いたいですね。
(木村作品は再演が多いので希望はあると思います!)

ヴィスタリア様の更新も楽しみにしておりますね。
どうもありがとうございました。
※任意
※任意
※任意
※任意
※任意
非公開コメント
※必須

プロフィール

野口 留香 noctiluca

Author:野口 留香 noctiluca
宝塚歌劇と共にまもなく30年(ブランクあり)。
月組/星組比重高めの全組観劇派。
美丈夫タイプの生徒さんが好み。
宝塚歌劇観劇記録・考察・思い出話・備忘録などをまとめたブログ。

◇更新情報はこちら◇
Twitter‎@noctiluca94

ブログ内検索とタグクラウド

最新記事

カレンダー

06 | 2020/07 | 08
- - - 1 2 3 4
5 6 7 8 9 10 11
12 13 14 15 16 17 18
19 20 21 22 23 24 25
26 27 28 29 30 31 -

カウンター

宝塚歌劇団人気ブログランキング

にほんブログ村ランキング

アクセスランキング

[ジャンルランキング]
学問・文化・芸術
6位
アクセスランキングを見る>>

[サブジャンルランキング]
演劇
2位
アクセスランキングを見る>>

ブロとも一覧

ブロとも申請フォーム

noctilucaにメッセージを送る

お名前:
あなたのメールアドレス:
件名:
本文:

QRコード

QR

**