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上川隆也の「包容力」│『魔界転生』明治座感想

日本テレビ開局65年記念舞台『魔界転生』を観てきました。
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ぶっ飛んだストーリー!派手なアクション!ダイナミックな演出!笑いあり涙ありのノン・ストップ超大娯楽作品!
200分の長丁場にもかかわらず、中だるみせず一気にラストまで持っていかれました。
面白かった!
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「魔界転生」という死者再生の術で蘇った天草四郎(溝端淳平)率いる魔界衆。
幕府への復讐を企む彼らを阻止しようと動く剣豪・柳生十兵衛(上川隆也)一派。
妖魔VS人間の血みどろの戦いの決着やいかに…?

あらすじだけ抜き出すとキワモノっぽいですが、激しいバトルと人間ドラマのバランスが絶妙で、演劇ならではの興奮を味わうことができました。

今年はなぜか天草四郎づいていて、先日も宝塚花組の『MESSIAH(メサイア) -異聞・天草四郎-』を観たばかり。
ユネスコの世界文化遺産に「長崎と天草地方の潜伏キリシタン関連遺産」の登録が決まった影響でしょうか。

宝塚版の四郎(明日海りお)はハライソにたどり着いて「めでたしめでたし」でしたが、こちらの四郎は一度死んでからが「本番」。
この世にたっぷり恨みを残し、妖魔となって蘇り、大暴れする。
同じモチーフを扱いながら、ここまで趣の異なるストーリーに仕上がるとは。
これがフィクションの面白さ。

「神の子」と祭り上げられた早逝の美少年「天草四郎」。
隠れキリシタンの総大将として若干16歳で散った彼の本当の姿は?本当の想いは?
クリエイターの創作意欲を刺激してやまない「天草四郎」。
そのひとつの答えが『魔界転生』の舞台で見つかりました。

* * *

今回のお目当て、柳生十兵衛役の上川隆也。
img-20181119_3.jpg
カッコよかったーーー!!!
朗々と響く、太くまろやかで、ハリのある声。
おおらかで温かくて、ちょっと茫洋として。
独特のにじみ出る愛嬌がたまりません。

一番の魅力は「包容力」。
十兵衛は、上川隆也の劇場をまるごと包み込む懐の深さが最大に活きる役でした。

死闘を繰り広げ、命果てようとする四郎を抱きしめ、「3万7千人もの命を預かるのは恐ろしかっただろう。俺の中は空っぽだ。俺が受け止めてやる(俺の中に入ってこい)」と諭すシーン。

これにはぐっときました。
「人間の大きさ」がないと言えない台詞です。
素晴らしい説得力でした。

柳生衆のひとり、戸田五太夫役の丸山敦史もカーテンコールで「上川さんの胸の中で死ねて幸せ。いい匂いがする」と仰ってました。
「男が惚れる男」という感じでしょうか?

父・柳生宗矩役の松平健との立ち回りは迫力満点。

息子への歪んだ想いから魔性に堕ちた宗矩の「人間はタガが外れると…」の台詞は妙に心に残りました。
私自身にも思い当たる節がある言葉だからでしょう。

親子別れの場面は、ぐっと引き込まれました。
黙って立つだけで舞台がキリッと引き締まる松平健の存在は大きかったです。

ラストシーンは桜舞う春。
妖刀を携え、ひとり旅立つ十兵衛。
すべてを飲み込み、悠然と去る大きな背中。
十兵衛に置いてけぼりにされて、ほんの少し寂しいような、しかし、爽やかな幕引きでした。

* * *

最近、宝塚か歌舞伎ばかりで男女が同じ舞台に立つのを観るのは久しぶり。
最後に男女共演を観たのが、2016年の霧矢大夢さんの『マイ・フェア・レディ』以来、2年ぶり。
いろいろな面で新鮮でした。
(宝蔵院胤舜の禁欲とか、荒木又右衛門の立ちションとか…これはすみれコードですね)

以下、思いつくままに。

・松井るみの装置が良かった。
廻り盆に乗った巻き貝状の装置が立体的で、空間が広く感じた。
斜めに回り込む土台が生み出す奥行きと高低差のおかげで、アクションに迫力とスピード感が加わった。
映像とのマッチングも抜群。
松井さんは宝塚の『MESSIAH』でも装置を担当。
こちらは一転、華麗さが勝り、良かった。

・「島原の乱」で原城が落ちる間際、姉のお品(高岡早紀)を長崎に逃がす四郎。
「本当の自分を知る人がひとりでも生きていて欲しい」という言葉を残し。
『MESSIAH』でも南蛮絵師の山田右衛門作(柚香光)がひとり生き残り、後世に四郎らの最期を伝える役割を果たした。
『魔界転生』と『MESSIAH』には共通点が多く、楽しめた。

・天草四郎役の溝端淳平は、悪になりきれず、揺れ動く様がよく出ていた。
現世では触れられなかった肉親の愛を、魔性になってから得られたのは複雑。

・浅野ゆう子と高岡早紀の「ふたりの母の愛」がぶつかり合う芝居には思わず涙。

・北条主税(松田凌)と田宮坊太郎(玉城裕規)の複雑な関係が良かった。
充実したサブストーリーのおかげで3時間20分もあっという間。

・根津甚八役の村井良大はパキッとしたハリのあるいい声。
華があり、いかにも役者らしい役者の芝居を見せた。

・由比正雪役の山口馬木也はクールなヴィジュアルとお笑いキャラのギャップが最高。
サラサラなロングヘアをかき上げ、大仰なアクションで舞台をかき回す。
十兵衛に刀鍛冶の居所を問い詰められるシーンは絶妙な間で笑わせる。
もともと好きな役者だが、さらに好きになってしまった。

・一幕が終わり、「休憩」とデカデカ書かれた幕が下ろされる。
客席後方から上川隆也が現れ「30分!」と叫ぶ。
このためだけにわざわざ出てくるとは贅沢!
休憩時間が残りわずかになると「残りXX秒」と表示される。
このサービスはありがたい。

○読売テレビ開局60年記念舞台 魔界転生(山田風太郎原作/マキノノゾミ脚本/堤幸彦演出)
・福岡公演 2018年10月6日(土)~28日(日) 博多座
・東京公演 2018年11月3日(土)~27日(火) 明治座
・大阪公演 2018年12月9日(日)~14日(金) 梅田芸術劇場メインホール
公式サイト

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宝塚歌劇と共にまもなく30年(ブランクあり)。
月組/星組比重高めの全組観劇派。
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