2018/06/26/Tue
限りなき愛の賛歌、谷正純先生の大傑作誕生!│ANOTHER WORLD
ANOTHER WORLD最高!大好きです!!谷正純先生の和物が好きな私。
演目発表時点から楽しみで楽しみで、わくわくしながら迎えたMY初日。
期待に違わぬ素晴らしい舞台でした!
お芝居って、楽しい!
お芝居って、面白い!
シンプルにそう思える作品でした。
脚本の出来栄えとしては今年、いえ、近年でも一番かもしれません。
私の拙い言葉では例えようもありませんが、あえて言うならば最高点!
* * *
物語のテーマは、逆説的な「メメント・モリ(Memento mori)=死を想え」と、受け止めました。
登場人物の殆どが「死んでいる」という特異なシチュエーション。
しかしながら、なによりも鮮やかに生の輝き、愛の喜びを描き出して秀逸でした。
幕開きは豪華絢爛なチョンパ。
さざなみのようなどよめきが客席に広がります。
きらびやかさに圧倒されたまま、サイケデリックな色彩の渦に翻弄され、康次郎(紅ゆずる)と共に“あの世”へ入り口に立つ観客。
当然ながら、劇場にいる誰も“死後の世界”を見知った人はいません。
「これからどうなる?」「この先なにが待ってる?」
未知を前に高まる期待と一抹の不安。
難しいことは考えず、ただ物語の流れるままに任せる心地よさ。
一気呵成に物語の世界へ引き込む手法に、谷先生の手練れを感じます。
* * *
立て板に水のごとく繰り出される笑いの数々、オーバーリアクション。
コミカルにデフォルメされた「あの世」の住人たち。
登場人物は普通の人ばかり。
カッコよくもなければ、立派でもない。
ちょっと間抜けだったり、享楽的だったり、欲深だったり。
反面、情にもろくて、仲間を助けるために割に合わないことをしてみたり。
良くも悪くも、とても人間臭い人たちばかりです。
悪ふざけ寸前に見せつつ、その奥にあるのは尽きることのない「人間」への愛。
ちっぽけで、不完全、それでも愛すべき「人間」を見つめる谷先生の目の、限りない優しさ。
「善」への絶対的な信頼。
「あの世」で懸命に生き(死に?)、懸命に愛し、自分以外の誰かのために奔走する。
見返りを求めず、愛のままに情のままに、ひたむきに生きる康次郎の姿はベニーさん(紅)に重なります。
嘘のない真摯な芸に、勇気と優しいぬくもりをもらいました。
「あの世」を描きながらも、その本質は「死」の対極である「命」の尊さを高らかに歌い上げた舞台。
命あること、生きることは素晴らしい。
『ANOTHER WORLD』は、まばゆいまでに鮮烈な「生」の賛歌なのです。
ひとりでも多くの方に観ていただきたい素晴らしい舞台でした。
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