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“Somewhere”は何処に?―真風涼帆・星風まどか・和希そら評│WEST SIDE STORY

気づけば2月も半ば。
年末から仕事もプライベートも大忙しで、すっかりブログをご無沙汰していました。
更新がない時期もお越しくださった皆さま、本当にありがとうございます。
吹けば飛ぶようなブログですが、気にかけてくださる方がいらっしゃることが何より嬉しく、感謝しております。

宝塚から足が遠のいていたわけではなく、劇場へはむしろ普段よりまめに足を運んでいたのですが、なかなかまとめられず…
宙組の『WEST SIDE STORY』、『不滅の棘』、雪組の『ひかりふる路~革命家、マクシミリアン・ロベスピエール~』。
どれも素晴らしい舞台でした。

名曲揃いの『WEST SIDE STORY』でお披露目された真風君(真風涼帆)・まどかちゃん(星風まどか)コンビ。
見た目のバランスの良さもさることながら、歌声の相性がぴったりで心地いい!
“Tonight”の瑞々しい甘さ。
結末を知っているだけに、切なさがより一層胸に迫りました。

真風君は『エリザベート』のフランツ・ヨーゼフ以来、飛躍的に歌唱が上達されたように思います。
トニー(真風)の最初のソロ“Something’s Coming”こそ若干の硬さが見られましたが、徐々にこなれていく様子が感じられました。
トニーとしての心の動き、マリアへの想いを歌の翼に乗せているよう。
“Maria”の伸びやかさ、恋の喜びが全身から溢れ出すような甘やかさは素晴らしいものでした。

真風涼帆という生徒さんをはっきり認識したのは『ダンサ セレナータ』のルイス。
抜群に男らしい美貌、恵まれた体格。
なのに、なんだかヘナヘナした頼りないお坊ちゃまキャラ。
そのギャップが面白くて印象に残っていたのです。

クールな容姿と、ゆったり鷹揚な色気は得難いものがありますね。
そして、何と言っても素晴らしいスタイル。
ジーンズに包まれた長い脚のカッコいいこと!
ごまかしの効かないデニム+コンバースなのに、若々しい青年の筋骨を感じさせるのです。

私服姿の男役さんはどんなに体格の良い方でも体のラインにどことなく女性的な丸みが出るので「リアル男性!」と感じることはない私ですが、実は真風君だけは見間違えてしまったことがあります。

ある劇場で某娘役さんの後に続いて客席に入ってらした男の方。
背が高くて、ぱっと華やかなムード。
明らかに一般の方とは違う雰囲気に「モデルさんか俳優さんかな?」と思ったら、なんと真風君。
目の前にいらっしゃるまで気づかなかった私…

舞台上の作り込まれたいかにも男役らしい仕草ではなく、プライベートの何気ない歩き方や動作ですら、ごく自然に錯覚させてしまう。
そうなるまで、どれほど修練されたことか。

飾り気のない白いシャツにジーンズ。
ただ立っているだけで、ひとりの若者として存在できる。
周りの男の子たちより一歩先に大人の世界(精神的に)へ足を踏み入れたトニー。
その危うい瑞々しさと情熱は、まさに今このタイミングの真風君に相応しい役だったのかもしれません。

他、特に心惹かれたキャストはアニータのそらちゃん(和希そら)。
登場第一声から引き込まれました。
艷やかで、知的で、温もりがあって…
「あれはどなた?」と思ったら、そらちゃんアニータ!

キビキビとした小気味よいダンス、パワフルな歌声、小柄ながらパンチの効いた男役さん、というイメージのそらちゃん。
こんなに素敵な女性像を見せてくれるなんて!
成熟したおとなの女の豊かさや哀しみが深く感じられる、素晴らしい役作りに驚かされました。

アニータの言葉が呼び起こす悲劇。
しかし、誰が彼女を責められるでしょう?
物語最大のキーパーソンとなるアニータ。
ある種の生々しさ、体温、湿度が生み出す実在感が持ち味のそらちゃんをその任に就かせたことは、物語の成功要因のひとつのように思います。

トニーとマリアを引き裂き、ベルナルドやリフを死に追いやり、アニータを打ちのめした諍い。
その根は『WEST SIDE STORY』初演から60年以上経った現在でも何ら変わることはありません。
人種や民族間の対立を主軸に、貧困がもたらす若者たちの閉塞感、やり場のない憤りをぶつけ合う様が描かれる。
『WEST SIDE STORY』の主題が過ぎ去りし日のものではなく、現代を生きる私たちに密接な問題であることは不幸です。

リフを刺したベルナルドを、トニーが刺す。
トニーを撃ったチノを、そう仕向けたジェッツを、シャークスを、マリアが撃つ…
しかし、マリアは撃ちません。
憎しみの連鎖を断ち切ったマリアの行動に、問題解決のひとつの道筋が見えます。

“Somewhere”は一体どこにあるのか?

私たちはそんな世界を手に入れることができるのか?

物語のテーマが過去のものとなるその日まで、『WEST SIDE STORY』は不朽の名作であり続けるのでしょう。

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野口 留香 noctiluca

Author:野口 留香 noctiluca
宝塚歌劇と共にまもなく30年(ブランクあり)。
月組/星組比重高めの全組観劇派。
美丈夫タイプの生徒さんが好み。
宝塚歌劇観劇記録・考察・思い出話・備忘録などをまとめたブログ。
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