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したたかに強い女たちと小ネタと感想まとめ│神々の土地

『神々の土地』は、したたかに強い女たちの物語でもあります。
しなやかに強い、イリナ(伶美うらら)。
強さが目覚めた、オリガ(星風まどか)。

溢れる生命力、抜け目ない逞しさの筆頭は、皇太后マリア(寿つかさ)、そしてフェリックスの母ジナイーダ(純矢ちとせ)。
革命の手を逃れて、ピンシャン生き延びるしぶとさ、胸のすくような女傑っぷりに拍手喝采。
新大陸のシーンでは、ラスプーチンもびっくりの不死身っぷりに、思わず「生きてたの!?」と叫びそうでした。

お気に入りは、ヘビースモーカーのマリアが、オリガに喫煙を咎められ、自分で持ってきた婚約祝いの鉢植えで煙草をねじ消すシーン。
すっしーさん(寿)の喰えない婆さんっぷりが最高!

せーこちゃん(純矢)も魅力的。
十分脂っ気のある現役感溢れる女、熟女のエグみを出せる娘役さんは貴重です。
三拍子揃って美しく、頼もしいせーこちゃんを見ると、星組にいらした洲悠花さんを思い出しますね。

* * *

無自覚な子供の高慢さの描き方が秀逸。
酒場のギター弾きミーチャに対する皇太子アレクセイの態度。
その諌め方にドミトリーの人柄が、アレクセイの振る舞いに家庭環境が浮かび上がる。
宝塚の子役と言えば、甲高い声で喋る、首を傾げたぶりっこ(求められる子供らしい子供らしさ)を描く作家もいますが、そうではないところに爽快さを覚えました。

上田先生は、観客に印象づけたい台詞は反復させるのが癖なのでしょうか。
「ロシアの香り」と「美しいものを見ることは価値がある」。
他にもあったかな?

大きな声では言えませんが、ラスプーチンって、ドミトリーとイリナのキューピッドではありませんか?
ラスプーチンが空気を読んで黙ってたら(そんなのラスプーチンじゃない)、彼らは結ばれなかったのではないかと…

「ラスト2場面は不要では?」と以前書きましたが、両手を上下させながら舞台を高速で飛び跳ねつつ横切るラスプーチンと聖痴愚たちの姿はお気に入り。
シュールな光景ですが、なんだか妙に楽しそうで微笑ましいのです。

レヴューの『クラシカル ビジュー』に、真風(涼帆)君を中心とした『キャッツ・アイ』のシーンがある、と小耳に挟んだ私。
脳裏に浮かんだのは、紫のレオタード、腰に黄色のスカーフを巻いた真風君。
ロングヘアのウィッグをパッと脱ぎ捨てたら、カッコいい泥棒紳士が現れるのかなー?と。
私の考え過ぎでしたね…

* * *

『神々の土地』作中で効果的な小道具として使われるイコン。
都内では、御茶ノ水の東京復活大聖堂教会(ニコライ堂)で観ることができますね。
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正教伝道のためロシアから日本にいらした聖ニコライが最初に訪れた函館を始め、各地に60あまりの聖堂があるそうです。

こちらは、静岡県伊豆市の修善寺ハリストス正教会・顕栄聖堂
聖ニコライのご病気の快復を願って建てられたそうです。
img-20171116_1.jpg
img-20171116_2.jpg
(ニコライ堂は5年前、修善寺は昨年末の画像フォルダから引っ張り出しましたが、まさかこんな風にご紹介できる日が来るとは!)

どこか素朴で、静謐な美しさに満ちた正教会。
機会がありましたら、皆さまも是非一度お運びくださいませ。

* * *

ニコライ二世(松風輝)と、皇后アレクサンドラ(凛城きら)の間には、長女オリガ(星風まどか)を筆頭に5人の子どもがいました。
しかし、劇中に登場したのは次女タチアナ(遥羽らら)と、長男アレクセイ(花菱りず)のみ。
残るふたりの娘、マリアとアナスタシアの姿はありません。

全員銃殺され、途絶えたとされるロマノフ最後の一家ですが、四女アナスタシアだけは生き残ったという説はご存知でしょうか?
アンナ・アンダーソンという女性が「自分は皇女アナスタシアである」と名乗りを上げたのです。
ロシア革命を描いた、池田理代子さんの漫画『オルフェウスの窓』でも、このエピソードに触れられていました。

後年、これは事実ではないと結論付けられたようですが、彼女を取り上げた物語でちょっと面白いものがありますので、ご紹介いたします。
島田荘司氏の『ロシア幽霊軍艦事件』(角川文庫/新潮文庫版も有り)です。

【湖から一夜で消えた軍艦。秘されたロマノフ朝の謎。】
箱根、富士屋ホテルに飾られていた一枚の写真。そこには1919年夏に突如芦ノ湖に現れた帝政ロシアの軍艦が写っていた。四方を山に囲まれた軍艦はしかし、一夜にして姿を消す。巨大軍艦はいかにして“密室”から脱したのか。その消失の裏にはロマノフ王朝最後の皇女・アナスタシアと日本を巡る壮大な謎が隠されていた―。[新潮社版解説より抜粋]


ミステリ仕立てのフィクションですが、なかなか説得力もあり、ロマンチックなストーリーに仕上がっています。

東京は今朝から一段と冷え込みが厳しくなってまいりましたが、明日はお天気に恵まれるようです。
晴れやかな千秋楽となりますように。

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Author:野口 留香 noctiluca
宝塚歌劇と共に30年(ブランクあり)。全組観劇派。美丈夫タイプの生徒さんが好み。谷正純・酒井澄夫・木村信司・大野拓史作品が好き。観劇記録・考察・思い出話・備忘録などをまとめたブログ。

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