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【宝塚歌劇】ファンの署名運動で退団撤回!?―もしも、贔屓が卒業を決めたら

「○組 退団者のお知らせ」
宝塚歌劇団公式サイトで、この字を見ると胸がキュッとします。

毎年40名近く入団するのですから、同じくらいの生徒さんが巣立っていかれるのは当然ですが…
それを当たり前と割り切れるほど達観してはいない私。

次のステップに進むのはおめでたいですが、やっぱり寂しい。
「タカラジェンヌ」という存在はやっぱり特別なんです。

一度卒業が決まったら覆ることはありません。
ところが…
ファンの署名運動により、退団を撤回したスターさんがいたのです!

その人の名は…
天津乙女

ファンの署名運動で退団撤回


それを知ったのは、祖母が購読していた雑誌『暮しの手帖』の「人物ロングラン」という特集。
私が生まれる前の記事ですが、このとき天津先生の肩書きはすでに「宝塚歌劇団専科」。

東京神田の生れ、十二才で宝塚少女歌劇団に入って四年目に主役。
以来ずっと現役。
教えるのも弟子を取るのもいや、舞台で踊っているのが大好き。
十年目に結婚退職する筈が、ファンの署名運動と小林一三さんの熱意にまけて結局五十六年。
それなら少女歌劇の「少女」を取ってほしい、とがんばった。
三十過ぎて恥ずかしいでしょ、というのは表向き。
いくら精魂こめて踊っても、フン少女歌劇か、といわれるのが口惜しかったのだろう。
[暮しの手帖 第2世紀40号(昭和51年2月1日発行)より抜粋]


結婚退団を決めた生徒が、ファンの署名で撤回する。
現在では到底信じがたい話です。

ファンとは何か?


天津先生が入団されたのは1918年。
退団を考えたのは1928年(昭和3年)。
時代性を鑑みても、当時の熱狂はやや行き過ぎのように思えます。

熱烈なファンの要求によりタカラジェンヌの退団が覆るなんて、恐ろしくはありませんか?
もちろん天津先生ご自身が十分に考え抜かれた上でのご決断でしょうが…

人ひとりの人生を左右する選択を強いるファン。
「ファン」とは一体、何なのでしょう

過去を現在の価値観でジャッジするのはナンセンスです。
しかし、過去から学ぶべきことはたくさんあります。

当時のファンにしても、永遠に宝塚にいてほしいと望んだわけではなかったのでしょう。
ただ、もう少しだけ観ていたい
この気持ちは痛いほど分かります。

「署名を集めよう」
きっかけは誰かのささいな一言だったかもしれません。
しかし、火の手は思いのほか早く大きく広がり、発信者の手に負えなくなってしまった…のかもしれません。

ファン(Fan)の語源「ファナティック(Fanatic)=熱狂的な」を通り越して、もはや狂乱ですね。

SNSはおろか、満足な通信網すらなかった時代に、驚くべき拡散力です。
今も昔もファンの「クチコミ」とは凄まじいもの。

正常な判断を失った集団ほど恐ろしいものはない。
根っこは無邪気なファン心とはいえ、そこまで他人の人生に介入することが許されるのか?
いち宝塚ファンとして、色々考えさせられる問題です。

天津乙女の価値


ファンをそこまで衝き動かした「天津乙女の価値」とは、どれほどのものだったのか?
このエピソードが物語ります。

若いころ、阪急の課長が、なんであの子の月給がボクより上かと社長に文句をつけたら、キミの代りはいくらでもあるが、天津乙女の代りはないぞ、といわれた。


「社長」って一三先生でしょうか?

「舞台で踊っているのが大好き」と仰る天津先生。
ここでひとつの疑問が湧き上がります。
どうして劇団が筋を曲げなかったのでしょう

未婚女性のみで構成される宝塚歌劇団。
なぜ未婚女性でなければならないのか?
創設当初こそ花嫁学校としての側面があったかもしれませんが、「小林一三さんの熱意にまけて」というくらいなら、一三先生が折れても良かったのではないか?

「結婚してからも宝塚の舞台に立ち続けなさい」
その一言がなぜ発せられなかったのか?

「未婚女性に限る」の縛り


一三先生も、天津先生に生涯在団していてほしいと望んだわけではないでしょう。
「もう少しだけ」が高じて、いつの間にか年月が過ぎたのか?
天津先生は亡くなるまで生涯現役を貫かれました。

「いくら精魂こめて踊っても、フン少女歌劇か、といわれるのが口惜しかったのだろう」の一文。
インタビューした人の想像なのか、天津先生のお考えなのか。

「未婚女性に限る」
この縛りさえなければ、宝塚で芸を追求したい生徒さんもずっと在団できます。
専科さんや上級生の豊かな芸は、舞台に奥行きと深い味わいをもたらす必要不可欠な要素です。

もちろん、生徒さんがすみれの花園を去る理由はさまざまでしょう。
宝塚の枠に収まらない、もっと広い世界へ羽ばたいてみたい。
新しい場所で自分の力を試してみたい。
その他、もろもろ…
生徒さんの数だけ卒業の理由はあるでしょう。

卒業後の選択肢が極端に少なかった昔とは違います。
これは想像に過ぎませんが、現在の生徒さんにとって「未婚/既婚」の縛りはさして大きな問題ではないのかもしれません。

ここを追求すると、宝塚歌劇団の在り方にまで発展してしまいますね。
この点は改めてまとめます。

もしも、贔屓が卒業を決めたら


もしも、「○組 退団者のお知らせ」に贔屓の名前があったら。
宝塚ファンの誰もが常に頭の片隅に置いている考えだと思います。

すみれの花園は期間限定。
大多数の生徒さんにとって宝塚はいつまでもいられる場所ではない。
贔屓の男役姿・娘役姿は永遠ではない。

分かっていても、つい「一作でも長く」と願うのがファン心理でしょう。
それは天津先生に残ってほしいと署名した少女たちの想いと、なんら変わるところはありません。

決断のタイミングはいつか?
それはファンの預かり知らぬところです。

しかし、生徒さんが納得し、「まことの花を咲かせた」と心から満足された瞬間が“そのとき”であってほしいと願います。
もちろん芸の道にゴールはありませんが、宝塚の舞台で思う存分に輝けた…と感じられたときですね。
「華がある」ってなんだろう?―タカラジェンヌの魅力を探る

もしも、そのときが来たら私は何を思うでしょう?

たくさんの素晴らしい夢を見せてくれてありがとう。
たくさんの喜びを共有させてくれてありがとう。
そしてなにより、宝塚歌劇団に入ってくださってありがとう。
あなたの幸せを大切にしてください。

卒業云々は関係なく、贔屓に対して常に思うことではありますが…

贔屓の前に、新たに進むべき道が拓けたとき。
その選択を尊重し、感謝と祝福をもって「笑顔で」送り出したい
私のささやかな決意です。
(いざそのときが来たら、こんなに落ち着いてはいられないでしょうけど)

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野口 留香 noctiluca

Author:野口 留香 noctiluca
宝塚歌劇と共にまもなく30年(ブランクあり)。
月組/星組比重高めの全組観劇派。
美丈夫タイプの生徒さんが好み。
宝塚歌劇観劇記録・考察・思い出話・備忘録などをまとめたブログ。

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