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両雄並び立つ―礼真琴と瀬央ゆりあについて│阿弖流為

死して後、不滅の魂を手に入れた阿弖流為。
正史に残る記録は少ないですが、彼にまつわる伝承は数多く残されています。

阿弖流為が蝦夷のために為したこと。
田村麻呂との友情。
今なお語り継がれる阿弖流為の伝説は、彼らがいかに人々に愛され続けているかを物語ります。

そんな人物を、誇らかに熱く演じきった琴ちゃん(礼真琴)。
芝居・歌・踊り、いずれも非常に高いレベルで安定。
中心に立って劇場の空気をぐいぐい動かす力の強さ。
その気流に乗るのは観客にとっても心地よいもの。
思う存分、物語の渦に飲み込まれることができました。

友人は「帰り道に目がしょぼしょぼするほど泣いた」そうですが、同感。
舞台と客席の温度が等しいので、安心して物語に身を委ねることができるのですよね。
役者と観客が同じ熱を感じられること。
芝居において、これはとても大事です。

特筆すべきは、その卓越した身体能力。
激しく踊った直後に歌う。
飛び込んできた佳奈(有沙瞳)を軽々抱き上げたまま静止する。
映像のタイミングと寸分違わぬ剣舞を披露する。
田村麻呂との一騎打ちでは片手ブリッジから瞬時に起き上がる。
弓や剣を構えるポーズも美しく、全身が強いバネのよう。

* * *

敵対する立場でありながら、阿弖流為と友情を結んだ坂上田村麻呂を演じたせおっち(瀬央ゆりあ)。
彼女の男役としての個性と役柄がピタリとハマり、素晴らしい効果を上げました。

せおっちって、居そうでなかなか居ないタイプの男役さんではないですか?
若竹のように真っ直ぐで、濁りのない清らかさ、瑞々しい少年性が最大の魅力。

優れた武人でありながら、その潔癖さゆえに周囲の空気から浮き上がる様子も。
権謀術数渦巻く朝廷とは別の世界に生きる阿弖流為の爽やかさに惹かれたのは必然だったのかもしれません。

とは言え、田村麻呂が身を置く世界はやはり朝廷なのです。
蝦夷討伐を控え、滝行に勤しむ田村麻呂。
配下の惡玉(夢妃杏瑠)に別れを告げるシーン。
「この先の戦いはお前たちには見せたくない」
彼の孤独と悲壮な覚悟が胸に迫ります。

武人としての鎧の奥に秘めた想い。
短い科白と、わずかな目の配りで示したのは見事。

主君に使える妹、全子(音波みのり)への問いかけ。
「主上は慈しんでくださるか?」
身近な者に対する限りない優しさに、彼の本質が窺えます。

必死の嘆願空しく、阿弖流為の命を救うことが叶わなかった田村麻呂。
しかし、友の面影を宿す少年・星丸によって彼の心もまた光を取り戻すのです。

一度は消えかけた心の火を再び灯したのは亡き友の魂だった。
“永遠”を感じられる美しい物語でした。

本来の清らかさに、押し出しの良さが加わったせおっち。
華と実力を兼ね備え、舞台を圧する存在感の琴ちゃん。

“両雄並び立つ”とはこのことでしょうか?
今後のふたりがどのような男役として成長していくのか。
互いに切磋琢磨する姿をリアルタイムで追える喜び!
あぁ、幸せ!

* * *

阿弖流為感想(1)(2)(3)はこちら。
阿弖流為(礼真琴)×坂上田村麻呂(瀬央ゆりあ)、役に生きたふたりの男│阿弖流為
男たちの爽やかな生き方に憧れる/音咲いつき/天華えま/綾凰華│阿弖流為
“肉体は滅んでも、志は不滅”散り際の美しさに心惹かれる物語│阿弖流為

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野口 留香 noctiluca

Author:野口 留香 noctiluca
宝塚歌劇と共に30年(ブランクあり)。全組観劇派。美丈夫タイプの生徒さんが好み。谷正純・酒井澄夫・木村信司・大野拓史作品が好き。観劇記録・考察・思い出話・備忘録などをまとめたブログ。

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