2017/06/28/Wed
宝塚的ハッピーエンドではないけれど│花組:復活/カノン
先日の『新源氏物語』に続き、発掘観劇記第二弾。長い間ヅカ離れしておりましたが、2011年月組『アルジェの男』で劇的復活。
せっせと通い始めた頃の記録です。
まだ生徒さんのお顔とお名前が一致しておらず、曖昧な箇所もありますが、ご容赦ください。
* * *
[2012年2月18日(土)15:30 東京宝塚劇場・花組公演]
■復活 -恋が終わり、愛が残った-
テーマは重く、暗いが、ひとりの青年貴族の人生と成長が起承転結くっきりと描かれ、見応えのある佳作であった。
原作が原作だけに骨子のハッキリしたストーリー立て。
良かれと思って為した男の行為が、無垢な少女を“女のどん底”に突き落とす。
酷い誤解が招いた哀しいすれ違い。
女の再生に全てを投げ打つ男の献身。
宝塚的なハッピーエンドではないが、ネフリュードフ(蘭寿とむ)とカチューシャ(蘭乃はな)の心が一瞬通じ合い、別々の道を歩んでいく結末は良い。
清々しい余韻が残る。
シェンボック(壮一帆)の歌、ネフリュードフの屋敷のティータイムの場面など、暗い雰囲気を払拭するエピソードはやや浮いていた感あり。
全編重厚を押し通しても良かったのでは?
ネフリュードフの伯母を演じた専科生(京三紗)は、さすがの貫禄。
「結婚は償いではなく、愛でするもの」
この台詞が心に残る。
アニエス(シェンボックの恋人のフランス人)役の月野姫花は異質な声色。
不思議な発声。
カリンカやカチューシャなどロシア民謡を多用し、雰囲気を盛り上げていた。
■カノン -Our Melody-
印象に残った場面は、額縁の装置の中でシルエットで登場するダンサーたちのタンゴ。
凝った構成で楽しませる。
蘭寿とむをリフトして何回転もする男役が凄い。
オープニングは、回転する柱からトップコンビ(蘭寿・蘭乃)と壮一帆が登場。
三木章雄先生は柱がお気に入りなのか?
『Heat on Beat!』でも同様の演出が行われていた。
ラテン場面では同じく『Heat on Beat!』のラテンの衣装が使い回しされていた。
自己模倣の是非はさておき、リピーターの多い宝塚ファンにとって少々不親切な感は否めない。
ロケットの銀橋ソロが良かった。
第二場、壮一帆の場面(船上パーティ?)など、いかにも宝塚的な美しいシーンは多いが、総じて演出に新鮮味やパンチが欠けたショーであった。
良く言えばオーソドックス、悪く言えば平凡・平均点。
その中で特筆すべきは、額縁の場面、フィナーレの蘭寿とむ大階段海老反り、そしてダブルデュエットダンス。
望海風斗のエトワールも素晴らしかった。
蘭寿とむのダンスはダイナミックでキレがいい。
蘭乃はなのダンスはしなやかで美しい。
* * *
私の第一次宝塚ブームの頃、初舞台を踏まれた蘭寿さん。
歌劇誌の82期生紹介ページに首席として掲載された白黒写真をよく覚えています。
キリリと引き締まった男役らしい彫りの深い美貌。
ゆったり落ち着いた表情。
入団したてとは思えぬ完成度の高さに「本当に初舞台生?」と驚いたものです。
あの頃の印象そのままに、益々シャープに研ぎ澄まされたトップスターとしての蘭寿さんの舞台を拝見できたことは幸せでした。
ヅカ復活して良かったー!
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