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天比古(柚香光)の無垢、小月(乙羽映見)の慈愛、銀麻呂(天真みちる)の篤実│博多座『あかねさす紫の花』

○天比古(柚香光)
額田を巡る第三の男、天比古。
大海人・額田・中大兄の三角関係は言ってしまえば雲の上の出来事。
そこに天比古という男が加わることで、物語にぐっと現実味が増します。

天比古を特徴づける要素は、その未熟さ、不完全さ。
皇子たちや額田、鎌足や鏡女王らは、愛に迷い、悩んでも、その苦しみは成熟した大人のものです。
しかし、天比古は違います。
彼は無垢の心で額田を愛し、精神はそのままに、肉体だけが成長してしまった。

そんな額田への憧れが無残に打ち砕かれる『天比古無残』。
このシーンのれいちゃん(柚香)がとても良かったです。

神格的するほどに崇め奉っていた額田の生々しい女の部分を目の当たりにし、ショックのあまり、彼女に似せて作った菩薩像を破壊しようとする天比古。
純情な、あまりに純情な嘆き。

「小月、助けてくれ…」
女の膝にすがり、絞り出すように声を上げる天比古。

生身の女に対しての幻滅ならまだ救いがありますが、天比古が崇拝する額田は彼の中で築き上げられた虚像ですので、衝撃はより深いですね。
れいちゃんは天比古のアイデンティティが完全に崩壊してしまった様子をよく表現していました。
無防備な魂を傷つけられ、どうしようもなく泣き崩れる姿に、胸が詰まります。

○小月(乙羽映見)
自分以外の女に魂を捧げている男、天比古。
そんな彼を支え、尽くす女、小月。
見返りを求めず、すべてを受け入れる愛。

理想を打ち砕かれた天比古が小月にすがったとき、もしかして彼は立ち直れるかもしれないとの予感を抱きました。
「小月が居れば大丈夫」
男を優しく包み込む慈愛と強さを感じさせる好演。

○銀麻呂(天真みちる)
『天比古無残』で、ボロボロになった弟を見かねてか、そっと金袋を置いて行くシーンが良いですね。
天比古のあの様子では到底生活が立ち行かなくなるだろうと見越しての行動。
やり切れなさを滲ませた後ろ姿の芝居が絶品。
実のある、地に足の着いた役柄がピタリとハマる、いい役者です。

* * *

余談ですが、大海人に輿入れした額田を追って難波まで流れてきた天比古がめちゃくちゃカッコいいですね!
小舟から身を起こしながら発する第一声のやさぐれ具合がたまりません。

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