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特別なことは何もない│ほんものの魔法使(配信)

『ほんものの魔法使』バウホール公演千穐楽おめでとうございます!
先日配信で観ましたが、とってもよかったです!

木村信司先生らしい人間賛歌と演劇ならではの表現の融合
温かく希望に満ちたラストながら、寓意の棘がチクリと胸に残る作品。
幕が下りた後、観た人の心に確実に“何か”を残す、いい舞台でした。

あーさ(朝美絢)も、ひまりちゃん(野々花ひまり)も素敵な作品を書いてもらえて幸せですね。

映像でこれほど心が動くなら、生ならいっそう鮮烈な印象だったと思いますが…
こんな状況でも楽しめる配信があってよかったです。

特別なことは何もない


ジェンダーロールによるジェイン(野々花)の不遇。
未知なる存在アダム(朝美)に向けられる得体のしれない恐怖と敵意。
中世の魔女狩りにも似た異端の排除。

メルヘン仕立ての物語に潜む人間の弱さや愚かしさをひとつひとつ丁寧に解きほぐしていくアダム。

未知への恐怖は、語り合い、互いを知ることにより克服できる。

老いも若きも、男も女も、それ以外の人も…
誰にも等しく与えられた“魔法”は、希望や想像力、そして可能性。
特別なことは何もない

ジェインはまだ自分の中にある箱に気づいていないだけ。
恐れずに開けてごらんよ、と。

もうひとつ、アダムがジェインに示したのは「赦し」。
ジェインは「赦し」を知ったときから、前を向いて歩むことができるようになったのです。

アダム自身のバックグラウンドはほとんど描かれていませんが、どこからかやってきてどこかへ消えていく不思議な魔法使いをサラリと、しかし印象深く演じたあーさ。
なかなか難しい役ですが、異能ゆえの孤独や、ジェインと心を通じ合わせるシーンでは繊細なお芝居が光りました。

『魔法使』原作は読まずに観ましたが、子どもの頃に好きだったポール・ギャリコの作品を、まさか宝塚で、しかも大好きな木村先生の演出で観られるなんて、それこそマジカルです。
宝塚×雅楽の『蘭陵王』もですが、木村作品は私の好きなコンテンツとのコラボが多くて嬉しいですね。

木村作品の好きなところは、人間という存在への慈しみの視線。
そして、「生きること」の絶対的な肯定。
ラストシーンのニニアン、ピーター、ジェインたちの成長した姿に温かいものがこみ上げました。

お気に入りポイント


縣千さんの清々しいスター性、達者な華世京さん、日和春磨さん、壮海はるまさん…
気になる方が大勢で、次の雪組観劇がますます楽しみになりました。

ジェインと別れる前に、モプシー(縣)が自分の首輪を外して彼女の手首に巻いてあげるところが好き。
三年後のジェインの手首に首輪があったのを観たとき、わかってはいましたが、ジーンと来ました。

お気に入りの台詞は、アダムの「ため息で命を冷ますことはない」。
原作にある言葉なのでしょうか?
いかにも木村先生らしいパッショネイトなフレーズで妙に腹に落ちました。
思うようにいかないことがあったとき、この言葉を頭に浮かべれば元気が出そうです。

神奈川KAATでも大勢のファンに魔法がかかりますように!

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望海風斗さんの言葉―公演中止と舞台人の矜持│ONCE UPON A TIME IN AMERICA

お誘いいただいた日がことごとく他組の観劇予定とかぶり、今回はご縁がないと諦めていた雪組の『ONCE UPON A TIME IN AMERICA』。
改めてお誘いいただき、喜んでいた矢先の公演中止。

喜びもひとしおだっただけに落胆も大きく…
と思ったら、まさかの再開!
そして再度の中止のお知らせ。

3月10日と11日、たった2日間の再開。
ジェットコースターのように激しい感情のアップダウンに振り回されつつ、中止前最後の公演を観に行きました。

宝塚歌劇に“まだ”再開してほしくない理由―新型コロナウイルスによる公演中止について思うこと

望海風斗さんの言葉―公演中止と舞台人の矜持


卒業を発表された望海風斗さんと真彩希帆さんを中心に、雪組が一丸となった舞台。
お芝居であることを忘れ、ヌードルスとデボラの半生に引き込まれました。

一幕最後、薔薇を敷き詰めた部屋。
愛を拒絶されたヌードルス(望海)の絶唱を忘れることはできません。

終演後、下りかけた緞帳が再び上がり、奏乃はると組長より翌日からの休演についてお知らせがありました。
いつになく硬い声の、にわさん(奏乃)。

沈む客席を引き上げてくださったのは、だいもんさん(望海)でした。
「私たちにできるのは、役を生き抜くこと」と。
舞台人の矜持がこもった重い言葉。
深く心に刻まれました。

どんな想いで、この言葉を口にされたのでしょうか。
役者として、舞台人として、今この状況で自分たちが果たすべき務めは何か?

さまざまな迷いや決意をはらんだ言葉。
だいもんさん個人の想いではなく、宝塚にかかわる人、舞台芸術に携わる人、すべての想いを代弁する言葉だったと思います。
聞けてよかったです。

迷いと葛藤


同じく、ある生徒さんの想いに触れる機会がありました。
だいもんさんとは逆に、リラックスムードのお話の中でポロリと洩らされたひとこと。
だからこそ、なおさら本心に近い言葉だと受け止めました。

それは私たちファンを気づかう言葉でした。
ただでさえ公演中止の瀬戸際で大変でしょうに、そんなふうに考えてくださるなんて…と胸が熱くなりました。

生徒さんが私たちを心配してくださるのと同じく、私も彼女にもしものことがあったらと思うと居ても立ってもいられません。

誰にとっても恐ろしい感染症ですが、万が一後遺症が残ったら、踊り、歌い、演じる舞台人には命取りです。
しかし、だいもんさんが仰るとおり、多くのタカラジェンヌにとって舞台に立つことは表現者の必定です。

生徒さんがアンビバレンツな感情の板挟みで葛藤しているだろうことは想像に難くありません。
舞台に立ちたい、でも…

そして、私たちも。
舞台を観たい、でも…

公演中止について、中の人たちのさまざまな想いをメディアを通さずに聞けたことは幸いでした。
編集が加わらない生の声の重み。
ファンがそれをどう受け止め、行動していくかが大切です。

観る選択、観ない選択


揺れ動いているのはファンも同じですね。
観ることを選んだ人。
観ないことを選んだ人。
いずれも宝塚への愛ゆえです。

宝塚の楽しみ方はひとつではありません。
それぞれの事情が許す形で応援していくのが一番ではないでしょうか。

今週末はいよいよ大劇場再開。
劇場へ行かれる方、配信でご覧になる方、久しぶりの夢の世界を存分にお楽しみください!

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男役で最も難しい?「平凡な男」を「非凡なヒーロー」に変えた壮一帆│Shall we ダンス?

このお芝居大好き!
笑えて、泣けて、心温まって…
終演後ほんわか幸せな空気に包まれます。

2013年1月3日『Shall we ダンス?/CONGRATULATIONS 宝塚!!』の感想です。
もともと周防正行監督の原作映画がお気に入りで演目発表のときから期待大でしたが、それを上回る大満足!

男役で最も難しい?「平凡な男」を「非凡なヒーロー」に変えた壮一帆


仕事も家庭も満ち足りているはずの平凡なサラリーマンが、ふとしたはずみで社交ダンスの世界に飛び込み、新しい人生を知る。
展開は原作とほぼ同じですが、随所に宝塚ならではのシーンが盛り込まれ、ラストは嬉しいサプライズが待っています。

役所広司が演じた主人公(宝塚版ではヘイリー・ハーツ)は壮一帆さん。
華やかなミュージカルの舞台で、個性的な面々に囲まれても埋もれずに「平凡」を演じることの「非凡」。

「凡庸」という最も「宝塚のヒーローらしくない」男性像を表現するのは難しかったと思いますが、彼は誰に対しても誠実で愛あふれる人物として、堂々と存在しました。

宝塚の主役といえば「歴史上の英雄」「悲劇の主人公」「女を虜にする伊達男」がセオリー。
そういう役には、そうと見せる演技の「記号」があります。

ヘイリーにはそれが一切与えられない。
「平凡な」家庭を持ち、職場と家の往復で日々を過ごす「平凡な」男。
ドラマティックな要素の欠片もないこの役を、壮さんはごく自然に舞台に息づかせました。
ヘイリーの行動が周囲に幸福な変化を呼ぶ、という形で。

揺るぎなきヒロイン、愛加あゆ


ヘイリーの妻、ジョセリン・ハーツ(原作:原日出子)は愛加あゆさん。
舞台の成功は彼女の力によるところが大きいですね。

とにかく、可愛い!
母性豊かで包容力にあふれ、抜群にチャーミング!

夫が内緒でダンス教室に通い出したことに疑念を抱き、探偵事務所に浮気調査を依頼するジョセリン。
こんな可愛い奥さんがいて、本気で他の女に走るわけがない!という説得力に満ちてました。

ラスト近く、浮気の誤解は解けたが、踊ることをやめてしまったヘイリーに寄り添い「変化を恐れないで」と語りかけるように歌う場面。
長い年月を共に過ごした夫婦関係の確かさ・揺るぎなさを感じさせて秀逸でした。

もうひとりの主人公、早霧せいな


ヘイリーの人生を変えるきっかけとなるダンス教師エラ(原作:草刈民代)は早霧せいなさん。
過去のダンス競技会での不幸な事故により、心を閉ざしてしまった寂しき美女。

ヘイリーや仲間たちによって、彼女が自信を取り戻し、再生していくさまも物語の大きな柱のひとつ。
ピンと張った背筋、硬く張り詰めた表情…
騒々しいダンス教室の中で、ひとり異彩を放つエラ。

夜毎、教室の窓から虚空を見つめるエラの姿を、駅のホームから偶然目にしたヘイリーが「ビルの上のラプンツェル」と喩える。
原作にない表現ですが、閉塞感を抱えるエラの状況にマッチした名台詞でした。
塔に閉じ込められたラプンツェルを解き放つのは、ヘイリーと教室の仲間たち。

ヘイリーの同僚ドニー(夢乃聖夏さん)、気弱なサラリーマンのジャン(鳳翔大さん)、ホストのレオン(彩風咲奈さん)、シングルマザーのバーバラ(大湖せしるさん)。

彼らと触れ合ううちに、かたくなだったエラの心が解けていく。
ダンスを始めた頃の、純粋に楽しむ気持ちを取り戻したのです。
ヘイリーに競技会への出場を勧める場面の前後から、花が開くように表情が明るく豊かに変わっていきます。

ここから、ストーリーは一気に加速します。
バーバラをパートナーに、モダンはヘイリー、ラテンはドニーに振り分けられます。

愛すべき男ドニー、夢乃聖夏


映画で強烈なインパクトを残した竹中直人さん演じるドニー・カーティスは、夢乃聖夏さん。
演目発表時より「ドニー役は夢乃さんしかいない!」と思っていましたが…

完璧なドニーがそこにいました。
宝塚的にはギリギリなキャラクターですが、品を落とすことなく愛すべきドニーを演じきりました。

登場するだけで笑いを誘い、スーツ姿で直角歩きをすれば場内爆笑。
甲高い声で真面目に演じれば演じるほど、周囲から浮き上がって可笑しい。

なにより凄いのは、観客の視線を一身に集めながらも、決して独りよがりにならず、舞台を壊さない絶妙なバランス感覚。
仕事も男としても自己評価の低いドニーが輝けるのは、カツラを被り、派手な衣装をまとい、別人になってスポットライトを浴びて踊る瞬間だけ…

そんなドニーですが、競技会でバーバラに「あなたはもうそんなもの(カツラ)がなくても踊れる!」とハッパをかけられ、アフロを脱ぎ飛ばすシーン。
ここでまた、ドニーも脱皮したのです(精神的に)。

塔から下りたラプンツェル


競技会中のアクシデントが原因でダンスをやめてしまったヘイリー。
そこへ、ドニーとバーバラが訪ねてきます。
エラからの手紙を携えて…

競技の世界へ戻ることになったエラは、もう教室で会うことはできない。
その前に開かれるお別れパーティでヘイリーと踊りたい、と。
忘れかけていたダンスの楽しさを思い出させてくれた「あなたと私は踊りたい」。

一人佇むヘイリーの姿と共に、過去のエラの姿が浮かび上がり、すべてを賭けて臨んだ競技会での事故の模様が再現されます。
競技ダンスの最高峰ブラックプールの決勝で倒れた彼女を、当時のパートナーは助け起こさなかったのです。

夢破れ、相手に失望するエラ。
そんな彼女に、もう一度パートナーへの信頼を取り戻させたのはヘイリーでした。

ヘイリーたちが出場した競技会で同じアクシデントが起こったとき、転びそうなバーバラを守り抜いたヘイリー。
その姿がエラの心を動かしたのです。
もう一度ダンスを愛そう、と。
宝塚随一の芝居巧者である早霧さんですが、ストイックで硬質な声の魅力も相まり、このモノローグは出色の美しさでした。

宴もたけなわなパーティ会場。
ヘイリーの姿はありません。

やきもきする周囲をよそに「あの人はきっと来る」と語るジョセリン。
夫を愛し、支え、信じる妻の存在の確かさが、短い台詞に込められます。

ドラムロールが響き、皆が固唾を呑む中、エラのラストダンスの相手を照らすスポットライトが会場を舐め回す。
あきらめかけた頃、ヘイリーが現れ、彼女に手を差し出す。
「Shall We Dance?」

映画を何度も観て、分かりきっていた結末ですが…
温かなラストに目頭が熱くなりました。

名曲「Shall We Dance」に乗せて、誰も彼もが幸せそうに踊るエンディング。
ヘイリーと踊るエラに、新たな彼女のパートナー・アルバート(未涼亜希)が寄り添い、その手を取る。

ヘイリーからアルバートへのバトンタッチ。
台詞はありませんでしたが、もうひとつの「Shall We Dance?」が確かに聴こえました。
塔から下りたラプンツェルの物語、その先を予感させるシーン。
これは嬉しいサプライズでした。

ヘイリーはジョセリンと、エラはアルバートと踊る。
ドニーも踊る。バーバラも踊る。ジャン(鳳翔大)もレオン(彩風咲奈)も。
ジョセリンが雇った探偵(奏乃はると)までもが一緒になって踊る。
登場人物の全てが愛おしくなる大団円で幕。

注目した方々(未涼亜希/奏乃はると/大澄れい/月城かなと)


エラの新しいパートナー、競技ダンス界のトップダンサーであるアルバートは、未涼亜希さん。
少ない出番ながらも圧倒的な存在感。

とてもジェントルな描かれ方で、この物語をいっそう大人のお伽話へと導く役割を担います。
ヘイリーとは違う方向から、エラが新しい一歩を踏み出す助けとなるアルバート。

一度はエラからの誘いを断りますが、突き放すのではなく、彼女が再び踊る喜びを取り戻したならば、自分から改めてパートナーを申し込むと言うのです。

男性のリードがない限り、女性は決してステップの第一歩を踏み出せない。
逆に言えば、リーダー(男性)はパートナー(女性)を導き、尊重し、相手の美しさが最大限に活きるよう心を尽くす役割でもあるというのです。
「Shall We Dance?」の精神が垣間見えるこのシーン、反則級のカッコ良さです。

ダンスホールのエキシビションで「Sing, Sing, Sing」に乗せ、披露したダンスも必見。
歌声がまたいいですね。
どこから聴こえてくるのか分からなくなるような、劇場全体を包み込むまろやかさがあります。
ちょっとした台詞の端々まで、渋くていい男アルバート。
ドニー役の夢乃さんと共に、助演賞を差し上げたいですね。

ヘイリーの調査を進めるなかで、いつの間にかハーツ夫妻にシンパシーを感じるようになった探偵クリストファーには、奏乃はるとさん。
実は物語の重要なキーパーソンなのですが、朴訥とした雰囲気でストーリーに厚みをもたらします。

ダンス教室の生徒、エラに横恋慕(?)する中年男性の大澄れいさん。
レッスン中、さりげなくエラの尻を撫で下ろしては手を掴み上げられ、無駄に顔を近づけてはグキッと矯正されるセクハラ親父。
映画でもあったシーンがきっちり再現されて笑いました。
教室の場面は、あちこちで面白い小芝居が繰り広げられ、どこを観ていいやら悩みます。

エラが心を閉ざすきっかけとなった元パートナーの月城かなとさん。
一瞬の登場ですが、印象的な美貌。

いきいきと舞台を飛び回る登場人物全てに触れられないのが残念です。

華やかなダンスシーンが多く、芝居とショーを同時に観たような満足感を得られるこの作品。
人生を愛し、ダンスを愛する人々の笑顔が輝く舞台。
早くも今年のベストアクト、忘れられない大好きなストーリーとなりました。

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早霧せいな×ルパン三世―「原作再現性」の高さと「宝塚的カッコよさ」の融和│ルパン三世 王妃の首飾りを追え!

『はいからさんが通る』『天は赤い河のほとり』『Thunderbolt Fantasy 東離劍遊紀』などのサブカル/MAG作品を巧みにタカラヅカナイズすることにかけては右に出る者がいない小柳奈穂子先生。
ただいま宝塚大劇場で絶賛上演中の『GOD OF STARS -食聖-』にかこつけて、先生の過去作品をレビューします。
[内容は2015年当時のもの]

対象作品は、2年前の本日(2017年7月23日)『幕末太陽傳/Dramatic“S”!』千秋楽をもって宝塚を卒業された元雪組トップコンビ、早霧せいなさんと咲妃みゆさんのお披露目公演『ルパン三世―王妃の首飾りを追え!―/ファンシー・ガイ!』。

あのルパン三世が生きて、動いてる!


昨年めでたく100周年の節目を迎えた宝塚歌劇。
記念すべき第2世紀1作目の作品は何?
期待に胸を弾ませていたところ「次回作はルパン三世」のニュースが飛び込み、耳を疑いました。

ルパンって、あのモンキー・パンチ原作のアレ!?
タカラジェンヌが「俺、ルパァ~ンさぁんせい」「ふぅ~じこちゃ~ん」とか言っちゃうわけ!?
期待と一抹の不安を抱きつつ観劇。

…言っちゃってた!
「俺、ルパァ~ンさぁんせい!」「あらららら~!?」「とっつぁ~ん!」「ふぅ~じこちゃ~ん!」
ルパンだ!ルパンがいる!!

ルパン三世を務めるのは本公演が主演お披露目のちぎさん(早霧)。
素顔はものすごい美女ですが…
独特の口調、棒のような身体つき、軽やかな身ごなし、すべてがアニメーションから飛び出して来たようなルパン三世

正直、生身の人間しかも女性がルパンを演じることに疑問を抱いてたのです。
しかし、舞台に現れた彼女は「ルパンそのもの」でした。

早霧せいな×ルパン三世―「原作再現性」の高さと「宝塚的カッコよさ」の融和


「宝塚歌劇」と「ルパン三世」という異色の組み合わせを、どう料理するか。
座付作家や役者の見識が問われるところですが、どちらのファンも満足させる作品として世に送り出した小柳先生と雪組生の腕前は見事

その功績は、役の人物と一体化するちぎさんの繊細にも大胆にも変幻自在の演技力によるところが大きいですね。
モノマネじみたアニメのコピーに終始するのではなく、きっちり宝塚の男役の格好良さもみせる。
「宝塚のルパン三世」という相反する人物像を自分のものにしたのです。

物語の舞台は現代。
ベルサイユ宮殿に展示中の「マリー・アントワネットの首飾り」を盗みに入ったルパン一味。
首飾りに手をかけた瞬間、革命前夜のフランスにタイムスリップし、マリー・アントワネット(咲妃)と出会い、そして…

「巧いな」と思ったのはココ。
マリー・アントワネットといえば『ベルサイユのばら』。
『ベルサイユのばら』といえば宝塚歌劇の看板演目。
宝塚の舞台に乗せるにはやや難しい素材を、自分たちの得意分野に引き寄せてしまう手腕はなかなかのもの。

怪しい錬金術を操る詐欺師カリオストロ伯爵(望海風斗)らの手を借りつつ、現代へ戻ろうと画策するルパンたち。
そんななか、マリーがたどる運命を知るルパンは、なんとか彼女を助けようと奮闘するが…

ルパン、次元、五エ門、不二子、そして銭形警部。
おなじみのメンバーが時空を超えて繰り広げるドタバタ喜劇。
しっかり宝塚らしいロマンスも織り交ぜて、大満足の90分でした。

そして、次の100年へ


もちろん、この面白さはルパン一人が生み出すものではありません。
コメディはひとつ崩れれば、すべてが台無しになる恐ろしさを秘めています。

終始速いテンポで進む物語、台詞の応酬。
誰かがタイミングを外せばガタガタになります。
そんな事態に陥らなかったのはメンバーの力の賜物。

私が観劇した回は思いきり台詞を飛ばした方がいらっしゃいましたが、それすら逆手に取って観客を沸かせていました。
アドリブも度を越せば客席は白けるばかりですが、いいバランス感覚を持った役者が揃っているのが何より。

サプライズ的に嬉しかったのは、物語終盤に歌われた「ルパン三世のテーマ」。
〽真っ赤な薔薇はあいつの唇~ で始まる、あまりに有名なあの曲です。
まさか生オケで聴けるとは!感激!!

新しい獲物へ向かうようにホリゾントへ消えるルパン。
「あばよ!」の声と共に、ビヨヨ~ンと跳び上がるちぎさん。
パーフェクトなルパンジャンプ!
幕が下り切る寸前まで100%ルパン三世。

劇場内は宝塚ファンだけでなく、原作のルパンファンとおぼしき男性客も多く見受けられました。

「ちぎみゆコンビ」として絶大な人気を誇ったふたり。
プレお披露目の『伯爵令嬢』を始め、『ルパン三世』『るろうに剣心』と多くの漫画原作公演を大成功に導き、着々と観客の裾野を広げてくださいました。

宝塚歌劇、次の100年へ向けて確かな足がかりを残してくださったちぎさん、ゆうみちゃん(咲妃)。
ご卒業記念日おめでとうございます!

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○過去の発掘観劇記はこちら↓
思い出をつなぐ架け橋「霧矢大夢」│月組『エドワード8世/Misty Station』感想
誰にも邪魔されない世界へ旅立った二人│壮一帆・愛加あゆの『心中・恋の大和路』観劇記録
今ひとたびの『アルジェの男/Dance Romanesque』
ザ・因果応報!源氏物語ダイジェスト│花組:新源氏物語
宝塚的ハッピーエンドではないけれど│花組:復活/カノン
柚希礼音、男役の歴史が詰まったスペシャル・ライブ│星組:REON!!Ⅱ

劇場に「幸せの魔法」をかけた人たち(京三紗/真地佑果/縣千/望月篤乃)│20世紀号に乗って

登場人物ひとりひとりが憎めなくって愛おしい『20世紀号に乗って』。
全体とトップコンビの感想に続き、特に気になった方々をピックアップします。

ブラボー望海風斗!ブラボー真彩希帆!ブラボー雪組!『20世紀号に乗って』で大満足!
望海風斗の当たり役!―愛すべき変人、オスカー・ジャフィ│20世紀号に乗って
熱狂を生む娘役、真彩希帆(リリー・ガーランド)│20世紀号に乗って

幸せを振りまく魔法使い、京三紗さん


オスカー(望海風斗)の救いの女神(?)、製薬会社会長のレティシア・プリムローズを演じた京三紗さん。
チャーミングな暴れっぷりが最高!
声も仕草も、やんちゃな目つきも可愛くって、目が離せない!

童女のようなあどけなさ。
軽やかなお茶目。
破天荒ないたずらっ気。

「悔い改めよステッカー」を貼りまくるレティシアの楽しそうなこと、楽しそうなこと。
甥っ子(真地佑果)が迎えに来たのを察した逃げ足の速さと言ったら!
おもちゃの汽車に乗って舞台を横切る姿に拍手喝采!
なんて自由でファンタスティックな演出!

京さんならではの天衣無縫な味わい。
花組の『蘭陵王』に続き、「京さんでなくては」というお役でしたね。

なんといっても、いつも笑いを含んだような愛らしいお声が大好き。
鈴を振るようなあのお声を聴くだけで、なんだかウキウキします。

2000万ドルはフイになってしまいましたが、それ以上の幸福をオスカーにもたらしたレティシア。
優しいぬくもりで20世紀号を包み込んでくださった京さん。
劇場に幸せな魔法をかけてくださり、ありがとうございます!

魅力再発見、真地佑果さん


レティシアの甥っ子ウィリアムの真地佑果さん。
品の良いハンサムで素敵。
幻想のシーンで娘役さんの脚を下から撫で上げる仕草がとてもセクシーで、気づけば目で追っていました。

『心中・恋の大和路』の可愛い丁稚が印象的だった真地さん。
立派な男役になられましたね。
次回は更に注目したいと思います。

圧倒的スター性、縣千さん


敏腕プロデューサー、マックス・ジェイコブスの縣千さん。
パッカーーーン!と明るい、前田美波里さん似のゴージャス美女。

男役としては、はちきれそうな胸板、パーンと張った太もも、ぎっしり身の詰まった体つきが最高の美丈夫タイプ。
いいですね~~

うるわしいお顔に似合わぬコメディエンヌっぷりを発揮。
文字通り、自分で操縦する飛行機で20世紀号に乗り込む演出には笑いました。

リリーにひっぱたかれるタイミングが良くて驚き!
本当にぶたれたのかと思うほどドンピシャなSE。
細かいことですがコメディの完成度が高まりますね。

圧巻はフィナーレの紳士。
トップハットとケーンを携えた縣さんを皮切りに、男役と娘役の群舞、そしてデュエットダンスへ。
『20世紀号に乗って』を「タカラヅカ」たらしめる重要なフィナーレナンバー。
バシッと空気を切り替え、大役を果たしました。

圧倒的な華が魅力の縣さん。
これからますます楽しみなスターさんですね。

将来性抜群、望月篤乃さん


「バベット」のリリー(真彩希帆)の取り巻き(?)のひとり、ナイジェル。
目力の強い、華やかな美形。
色男らしく、客席を舐めるように何度も視線をくださるので目のやり場に困りました。
このやる気満々な男役さんはどなた!?

気になってお名前を確認したところ、望月篤乃さんでした。
この方が望月さん!
初舞台のとき、素敵な芸名だなぁと思っていたのです。
ようやくお顔とお名前が一致しました。

あなたが望月さんね、しっかり覚えましたよ~~
雪組を観る楽しみがまたひとつ増えました。

影の主役、舞台装置


いつも素敵な装置に目を奪われる原田作品。
松井るみさんが手がけられたアール・デコ調のセット。
クラシカルで豪奢な『20世紀号』の世界観を盛り上げる影の主役。
これから始まる物語への期待が高まります。

いよいよ幕開き、目の前に勢いよく立ち上る煙柱!
何本も、何本も!
蒸気機関車を思わせる楽しい演出に、思わず声を上げてしまいました。
遊園地のアトラクションみたいでワクワク!
一気に物語世界に引き込まれます。

3つのコンパートメントで同時進行するお芝居。
目が足りなくて何度でも観たくなります。

大団円の汽車も凄かったですねー!
主役級の存在感でした 笑

再演希望!


あっちにもこっちにも素敵な生徒さんがいらして大忙しな『20世紀号に乗って』。
ボキャブラリーがすべて吹っ飛ぶ面白さ。
生で観ることができて本当に良かった!
誘ってくれた友人に感謝です。

こんなに素晴らしく、手の込んだ作品が「東京のみ」「たった2週間」だなんてもったいないですね。
映像化も難しいとか。
(ひょっとして、世界のアイドルMick○y Mouseの名前が出てくるから?)

願わくば、本拠地関西を含めた再演が叶いますように!
(10月のKAAT神奈川/梅田シアタードラマシティの演目って未定ですよね?)

なにはともあれ、宝塚ファンの皆さまと一緒に「雪組20世紀号」に乗車できて幸せでした!

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○『20世紀号に乗って』関連記事はこちら↓
熱狂を生む娘役、真彩希帆(リリー・ガーランド)│20世紀号に乗って
望海風斗の当たり役!―愛すべき変人、オスカー・ジャフィ│20世紀号に乗って
ブラボー望海風斗!ブラボー真彩希帆!ブラボー雪組!『20世紀号に乗って』で大満足!

プロフィール

野口 留香 noctiluca

Author:野口 留香 noctiluca
宝塚歌劇と共に30年(ブランクあり)。全組観劇派。美丈夫タイプの生徒さんが好み。谷正純・酒井澄夫・木村信司・大野拓史作品が好き。観劇記録・考察・思い出話・備忘録などをまとめたブログ。

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