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花組アーカイブス│観劇記録 記事一覧 2012-2020

待ちに待った宝塚再開のニュース。
トップバッターは花組の『はいからさんが通る』。
ようやく新トップコンビがお披露目されます。

「座席は間引き」「演奏は録音」など、まだ制約は多いですが、とにもかくにも劇場の扉が開くのは何にも代えがたい喜びです。
この日を今か今かと待ちわびた生徒さん、劇団関係者、ファンの皆さま、おめでとうございます!

初日まで一ヶ月。
無事に幕が上がり、千秋楽まで滞りなく上演できることを心より願います。

しばらく宝塚離れしていた私の花組再デビューは2012年。
当時のトップコンビは、蘭寿とむさんと蘭乃はなさん。

その後、トップスターは明日海りおさん、トップ娘役は蘭乃はなさん、花乃まりあさん、仙名彩世さん、華優希さんに替わりました。
そして、宝塚筆頭組を背負って立つバトンは柚香光さんの手に。

時間がたっぷりある今、2012年から現在まで、実際に観劇した全公演の記録と感想をまとめました。
東宝組の私が『はいからさん』を観られるのは当分先になりそうですが、また感想をこちらに追加できたらいいなと思います。

花組アーカイブス│観劇記録 記事一覧 2012-2020


※作品名のリンクから関連記事に飛べます(リンクなしは記事なし)



復活/カノン


1.宝塚的ハッピーエンドではないけれど│花組:復活/カノン

愛と革命の詩/Mr. Swing!


1.蘭寿とむ×蘭乃はな×明日海りおの三角関係│愛と革命の詩

新源氏物語/Melodia


1.ザ・因果応報!源氏物語ダイジェスト│花組 新源氏物語

雪華抄/金色の砂漠


1.すごく面白かった!物語の厚みに圧倒される『金色の砂漠』
2.花咲くカトレア、仙名彩世│読売新聞掲載記事より
3.“項羽と虞美人”を思わせる“鳳月杏と仙名彩世”│金色の砂漠
4.『金色の砂漠』で気になった方々│天真みちる・芹香斗亜・和海しょう・水美舞斗・音くり寿

MY HERO


1.舞台と観客のコール&レスポンスが素晴らしい!MY HERO観劇記(1)
2.父と子の物語、芹香斗亜と綺城ひか理について│MY HERO観劇記(2)
3.詰め込みすぎが面白い!天真みちる・鳳月杏・朝月希和・音くり寿、他│MY HERO観劇記(3)

邪馬台国の風/Santé!!


1.面白そう!花組公演『邪馬台国の風/Santé!!』
2.まもなく邪馬台国初日!楽しみー!そして、ネタバレは突然に…
3.美味しそう!花組公演デザート『かんパイン!!』│邪馬台国の風
4.邪馬台国の風/Santé!!ざっくり感想&花組ステージ衣装コレクション
5.ツブラメ(水美舞斗)・フルドリ(柚香光)、若者たちの恋模様に注目│邪馬台国の風
6.目覚めた少女マナ(仙名彩世)―女王卑弥呼誕生秘話│邪馬台国の風

ハンナのお花屋さん


1.ニュータイプの主人公誕生!明日海りおは『草食系』ではなく『お花屋さん系』│ハンナのお花屋さん
2.“白い貴公子”芹香斗亜アベルが素晴らしい!│ハンナのお花屋さん
3.矢車菊の花言葉は“繊細”―たおやかに強く、繊細な仙名彩世ミア│ハンナのお花屋さん
4.夢が叶った!?大好きな宝塚歌劇とマリメッコのコラボが実現!│ハンナのお花屋さん
5.この生徒さんに注目!白姫・航琉・羽立・真鳳・優波・綺城・飛龍・音│ハンナのお花屋さん
6.どうしても気になる点をいくつか│ハンナのお花屋さん
7.ポーの一族/ハンナのお花屋さん│日比谷シャンテ 宝塚歌劇 花組ステージ衣装コレクション

ポーの一族


1.『ポーの一族』満を持して舞台化!みりおエドガーに高まる期待
2.ニュース続きの三連休/飛鳥裕さんご卒業/ポーの一族配役発表
3.“永遠の命”がもたらすものとは?ふたつの不死の物語“ポーの一族VS不滅の棘”│不滅の棘感想
4.この世ならざる“美”を極めた明日海エドガー│ポーの一族
5.【公演ドリンクレビュー】花組『ポーの一族』オリジナルカクテル/バラの花園☆☆☆☆☆
6.「エドガーがいる」―私の心のエドガーと明日海エドガーがひとつになった│ポーの一族
7.失われたポエジー、“小池流”最大公約数のための『ポーの一族』

あかねさす紫の花/Santé!!


1.みりゆきにぴったり!あかねさす紫の花+マイティー初主演おめでとうございます!
2.『あかねさす紫の花』ゆかりの地を訪ねて―万葉ロマンの里、奈良・明日香村漫遊記
3.いつ演るの?今でしょ!―神がかり的キャスティングのAパターン│博多座 あかねさす紫の花
4.珠玉の台詞が光る『あかねさす紫の花』-大海人皇子(明日海りお)編:「来てしまった」の破壊力
5.珠玉の台詞が光る『あかねさす紫の花』-中大兄皇子(鳳月杏)編:「こんなに私は震えている」の説得力
6.たおやかに、才長けて、うるわしく…仙名彩世の額田女王│博多座『あかねさす紫の花』
7.天比古(柚香光)の無垢、小月(乙羽映見)の慈愛、銀麻呂(天真みちる)の篤実│博多座『あかねさす紫の花』
8.明日海りお×仙名彩世、いいコンビです│花組博多座公演備忘録
9.美女たちの競艶、仙名彩世筆頭のエイト・シャルマン│博多座 Santé!!

MESSIAH/BEAUTIFUL GARDEN


1.「義」の人、鈴木重成(綺城ひか理)に称賛を惜しまず│MESSIAH −異聞・天草四郎−
2.ビューティフル寒天 -冷菓羊羹-│花組『MESSIAH』公演デザートレビュー
3.綺城ひか理ファンの皆さまへ、鈴木重成の伝記のご紹介│MESSIAH −異聞・天草四郎−
4.そこにあるのは、ただ「美」のみ│BEAUTIFUL GARDEN−百花繚乱−

蘭陵王


1.東儀秀樹(雅楽)×木村信司(宝塚)!大好きコラボにわくわく!│蘭陵王
2.新ジャンル「プログレ雅楽」?ストライクゾーンど真ん中な『蘭陵王』開幕が待ち遠しい!
3.迷作?珍作?奇作?怪作?その正体は…「大傑作」キターーー!│蘭陵王
4.「生きること」「愛すること」人間の根源的欲求を描く『蘭陵王』―凪七瑠海と音くり寿のハマり役
5.「飛べない孔雀」―高緯(瀬戸かずや)と逍遥君(帆純まひろ)│蘭陵王
6.「そうして生き延びたが、悪いか」―蘭陵王(凪七瑠海)と「言葉の力」│蘭陵王
7.チケット代金以上の価値がある―洛妃(音くり寿)の歌と芝居│蘭陵王
8.「光る○ン○ャク」―外連(けれん)こそ木村信司の醍醐味│蘭陵王
9.『蘭陵王』まとめ―素晴らしき装置と照明/賜死と切腹/瀬戸かずやの芝居/京三紗の衝撃/104期生

CASANOVA


1.「惜しまれるうちが花」とはいえ、あまりに早すぎる│花組トップ娘役・仙名彩世さん退団発表
2.明日海りおと仙名彩世―幸せ色に染まる花組トップコンビ
3.愛が試される!?~ヅカファンには笑いと勇気が必要だ~│CASANOVA
4.愛!愛!愛!明日海りおと仙名彩世の愛があふれる大人のおとぎ話│CASANOVA
5.胸キュン担当、コンデュルメル夫妻(柚香光・鳳月杏)+好きな台詞Best3│CASANOVA
6.この人のココが好き!(夏美/花野/瀬戸/航琉/羽立/綺城/音)+物語を輝かせる装置│CASANOVA
7.軽やかに、ジェンダーロールを飛び越えて―男装の麗人アンリエット(城妃美伶)│CASANOVA

花より男子


1.とにかく観て欲しい!感じて欲しい!最高にロマンティックな花組を!│花より男子
2.柚香光の魅力大爆発!道明寺司│『花より男子』個別感想前編(城妃美伶+F4/優波・聖乃・希波)
3.音くり寿は宝塚の宝です/やっぱり気になる青騎司くん│『花より男子』個別感想後編(高翔/冴月/鞠花/華雅/美里)

A Fairy Tale ―青い薔薇の精―/シャルム!


1.明日海りおはフェアリーか?―「青い薔薇の精」と「美少年(ヴェニスに死す)」│A Fairy Tale
2.アンドロギュヌスな男役、明日海りお―究極の男役は性を超越するのか│青い薔薇の精
3.植田景子、表現者の気骨│青い薔薇の精
4.ニック(水美舞斗)とフローレンス(城妃美伶)のスピンオフが観たい!│青い薔薇の精
5.さらば、明日海りお―求道者が描いた夢

DANCE OLYMPIA


1.「踊るトップスター」柚香光誕生!おめでとうございます!
2.踊る喜び―柚香光の命の輝きに魅了される│DANCE OLYMPIA

マスカレード・ホテル


1.谷正純×瀬戸かずやに歓喜!!!│マスカレード・ホテル
2.最高のバディ!男役・瀬戸かずや×娘役・朝月希和コンビに拍手喝采!│マスカレード・ホテル
3.愛すべき男、能勢金治郎(飛龍つかさ)―二次元(小説)を三次元(演劇)化する面白さ│マスカレード・ホテル
4.“山岸尚美”として生きた朝月希和+キャスト別感想(高翔みず希/帆純まひろ/珀斗星来/青騎司)│マスカレード・ホテル

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目覚めた少女マナ(仙名彩世)―女王卑弥呼誕生秘話│邪馬台国の風

なんだか色々もったいない話だな、というのが『邪馬台国の風』MY初日の印象でした。

テーマやキャラクターは美味しいのに、構成が消化不良。
きちんと整理されていれば、もっと旨みが増すのに。
…なんて思ってましたが、何度か観るうちにジワジワハマっていきました。

物語の軸を「“マナ(ヒミコ)”という一人の女性の成長譚」と捉えれば、新しい面白さが見えてきます。

目覚めた少女マナ(仙名彩世)―女王卑弥呼誕生秘話


構造としては『月雲の皇子』と同じですね。
神の依り代である聖なる女、巫(かんなぎ)に触れることは禁忌。
彼女に触れ、罰を受ける男。

『月雲』で衣通姫に触れた木梨軽皇子は流刑に処されますが、『邪馬台国』の主人公タケヒコ(明日海りお)は盟神探湯(くがたち)で身の潔白を証明します。

晴れて結ばれるかと思ったら…
タケヒコはマナ(仙名彩世)のもとを去ります。
「邪馬台国に風が吹くとき、それは私があなたを想っているときだ」の言葉を残して。

マナはヒミコと名乗り、自分の能力を活かして生きる道を選ぶ。
タケヒコはマナを尊重し、身を引く。
マナはタケヒコの想いを受け止め、己のなすべきことをなす。

使命に目覚めた女と、その決断を支える男。
清々しい結末です。

邪馬台国の“謎”


初回で『邪馬台国の風』がしっくりこなかったのは、タケヒコとクコチヒコ(芹香斗亜)の人間像がつかめなかったからでした。
トップスターと二番手が演じる役ですから当然比重が大きいはずですが、二人の関係が希薄なため、いまいち収まりが悪いのですよね。

タケヒコとクコチヒコの想いの差が開きすぎて「終生の敵」という感じがしないのです。
二人の確執って、そんなに深いのでしょうか?

タケヒコは狗奴国の兵士にお師匠さんを奪われましたが、クコチヒコが直接手を下したわけではありません。
また、クコチヒコはタケヒコに何かをされたわけではありません。
恨みが生まれない=執着しない。
つまり、敵対関係が生まれない。

クコチヒコは淡々と自国の正義のために働いているだけです。
もう一歩、二人の対立が踏み込んで描かれていれば、ストーリーの奥行きが増したように思います。

私どこか大事な場面を見落としたかな?と思うほど、タケヒコの行動原理が曖昧で、モヤッとしていたのです。

適材適所!『Santé!!』ざっくり感想


お気に入りシーンは、ジゴロ、ロケット、エイトシャルマン。

美穂圭子さん、羽立光来さん、和海しょうさん、音くり寿さんの歌が素晴らしい。
仙名彩世さんもいい、声がとてもいい。
5人中3人が94期。
花組94期すごい。

ジゴロの振り付けは安寿ミラさんの匂いがする。
今年の名場面No.1かも。
3組のデュエット、娘役さんの背中を撫でるキキちゃん(芹香)がセクシー。

柚香光さんのロケットボーイ、元気いっぱい。
場面をパッと明るくする華がある。

瀬戸かずやさんと水美舞斗さんのオリエンタルワインは肉弾戦。
和海しょうさんの歌が絶品。

デュエットダンス、最後に両手を広げてゆきちゃん(仙名)を待つみりおさん(明日海)がいい。

ショーのテーマ『Santé!!(乾杯』)に合わせた長渕剛さんの「乾杯」に乗せた黒燕尾。
お芝居のモヤモヤを帳消しにするほどカッコいい。

グランドパレードのみりおさん。
大羽根を背負ったままセリが上がり、ワインを飲み干す珍しいパターン。

このショーで印象に残ったのは、みりおさんの濃密な色香。
押しも押されもせぬ宝塚筆頭組トップスターの自信がみなぎる堂々たる姿。
月組時代のほわっとした少年ぽさは跡形もなく、完熟した男役の魅力を存分に見せてくれました。

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面白そう!花組公演『邪馬台国の風/Santé!!』

蘭寿とむ×蘭乃はな×明日海りおの三角関係│愛と革命の詩

2014年5月11日、元花組トップスター蘭寿とむさんが宝塚歌劇団を卒業されました。
明日海りおさんが引き継いだバトンは、現トップスター柚香光さんの手に。
お披露目公演『はいからさんが通る』初日の幕はまだ上がっていませんが、晴れて真ん中に立たれる日を待っています。

たっぷり時間がある今、過去の観劇記録をアーカイブ化しています。
最近の記事に比べるとずいぶんあっさりしてますが、自分が何に注目し、何に心を動かされたか分かって面白いですね。

まずは2013年の花組公演。
蘭寿とむさんと蘭乃はなさんによる『Musical 愛と革命の詩(うた)-アンドレア・シェニエ- ~オペラ「アンドレア・シェニエ」より~』。
脚本・演出は植田景子先生。
併演は稲葉太地先生の『ショー・オルケスタ Mr. Swing!』。

愛と革命の詩/Mr. Swing!感想


まず目を奪われるのは、松井るみ氏によるドラマティックな舞台装置。
モノクロの背景画が描かれた幕が引かれると、中央に大きく羽根を広げた翼が現れます。
革命軍に屈することなく、自らの信じる道を貫いた詩人アンドレア・シェニエ(蘭寿)の魂を象徴するようです。

照明や衣装も美しく、斬新な装置とマッチし、重厚な雰囲気を醸し出します。
個人的に嬉しかったのは、女性のドレスの色合いの繊細さ。
鬘がちゃんと白かったのも◎。

フランス革命が背景のオペラ『アンドレア・シェニエ』を下敷きにした物語。
詩人アンドレア・シェニエと貴族令嬢マッダレーナ・ド・コワニー(蘭乃)の命を賭けた恋。
そして、マッダレーナに叶わぬ想いを抱く革命闘士カルロ・ジェラール(明日海)の三角関係を軸に進みます。

アンドレアとマッダレーナが共に迎える最後の夜、牢獄の場面が清らかに美しかったです。
抑えた演技の中に情熱を秘めた蘭寿さん、無邪気な少女から愛に殉ずる女へ成長した蘭乃さん。
ふたりの姿がピタリとはまり、お芝居と知りつつ目頭が熱くなります。

欲を言えば、三角関係の一辺を担うカルロがもう少し深く描かれていれば、アンドレアたちの愛がより際立ったように思います。
ふたりの障害になるには若干弱かった。
春風弥里さん演じるジュール・モランのしたたかさ、冷徹さがカルロに備わっていれば…
個人的にはそんな場面が欲しかったです。

切なくも美しい『愛と革命の詩』、華やかで軽快な『Mr.Swing!』と、バランスの良い二本立てでした。

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“山岸尚美”として生きた朝月希和+キャスト別感想(高翔みず希/帆純まひろ/珀斗星来/青騎司)│マスカレード・ホテル

宝塚版『マスカレード・ホテル』の話をしていて「瀬戸かずやの新田浩介」と言おうとして「新田かずや」と言ってしまった私。
違和感なさすぎて、しばらく間違いに気づきませんでした。
「新田あきら」もしっくりきますね。

『マスカレード・ホテル』原作が半分ほど読み進みました。
お芝居では端折られた部分も細かく描写され、ますます面白いですね。

あの人物にはこんな背景があったのか。
あのエピソードはこんなに掘り下げられていたのか。
舞台の記憶と重ね合わせ、二倍にも三倍にも楽しんでいます。

“山岸尚美”として生きた朝月希和


朝月希和さん演じる、ホテル・コルテシア東京のフロントクラーク、山岸尚美。
潜入捜査のためホテルに送り込まれた警視庁捜査一課の刑事、新田浩介(瀬戸かずや)とバディを組むうち、次第に彼と心を通わせていく役どころ。

仕事に誇りを持ち、常にお客様へ最上のサービスを提供しようと努める彼女。
たとえ、それが理不尽な要求であったとしても…

「お客様がルール」と主張する彼女に反発を覚える新田。
しかし、山岸の仕事ぶりを間近に見るうち、徐々にホテリエという仕事への理解を深めていく新田。

彼女のモチベーションはどこから湧いてくるのか?
山岸の言葉で強く印象に残ったのがこちら。
「受験のとき、ここに泊まり、ホテリエを志した」

いい台詞だな、と思いました。
脚本ではたった一行かもしれません。
しかし、この台詞には山岸尚美のすべてが詰まっているのです。

大学受験を控えた彼女がコルテシア東京に宿泊し、プレシャスな体験を得た。
ここで働きたいと憧れ、夢を叶えて、いまここに居る。
ひとことで彼女の人生が浮かび上がる言葉。

ひらめちゃん(朝月)が山岸尚美として生き、心からの言葉で語ったからこそ、私の心に彼女の想いが届いたのです。

原作では過去のエピソードが詳細に描かれ、ひらめちゃんのお芝居とオーバーラップして目頭が熱くなりました。
宝塚版には無い、藤木総支配人(汝鳥伶)との交流も味わい深いものがあります。

キャスト別感想(高翔みず希/帆純まひろ/珀斗星来/青騎司)


アリバイやトリックに関する複雑な説明も、小説ならすぐに読み返せますが、舞台はそういきません。
脳みそをフル回転させ、言葉を取り込んでは咀嚼し、理解しないと置いていかれます。
膨大な説明台詞もするする伝わり、迷子にならずにすんだのは花組の皆さんと汝鳥伶さんのおかげ。

いつもの宝塚観劇とはちょっと違う、心地よい疲労感と満足感を味あわせてくださったキャスト。
特に印象に残った方を中心に。

・栗原健治(高翔みず希)
そこらへんを歩いてるおじさんが舞台に紛れ込んだのかと思っちゃいました。
というくらい「あー、いるいる、こういう人」感あふれる、さおたさん(高翔)。
人生につまづきっぱなしの男の悲哀、やりきれなさを感じさせて秀逸でした。
ほろ苦さの奥にかすかなぬくもりが残る後味が、物語にさらなる奥行きを与えました。
いい役者さんです。

・杉下キャプテン(帆純まひろ)
ベルスタッフの責任者、杉下に扮したホッティー(帆純)。
姿の良さ、佇まいの美しさが際立ちました。
ゲストに「サービスを受けた」と感じさせない、さりげなく、流れるようなエスコート。
コルテシア東京を満たす空気のように自然でした。

フィナーレの男役群舞では一転、ギラついた男の色香を振りまいて美しかったです。

・龍崎(珀斗星来)
「(月組の白雪)さち花さんがいる!?」って思っちゃいました。 笑
谷正純さんの茶目っ気でしょうか?
宝塚ファンには嬉しいサプライズでした!

この学年にして「女装の男」に見えるのは凄いですね。
『蘭陵王』の頃から、どっしり安定したお芝居に注目しています。
どこにいてもパッと目を引く華があるのが何より。

・吉永(青騎司)
花組観劇のお楽しみ、青騎司くん。
相変わらず男前でした。
男役群舞はひときわ鋭い眼光で目立ちます。
私の周りでもファン急増中の青騎くん、これからますます楽しみです。

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愛すべき男、能勢金治郎(飛龍つかさ)―二次元(小説)を三次元(演劇)化する面白さ│マスカレード・ホテル
最高のバディ!男役・瀬戸かずや×娘役・朝月希和コンビに拍手喝采!│マスカレード・ホテル
谷正純×瀬戸かずやに歓喜!!!│マスカレード・ホテル

愛すべき男、能勢金治郎(飛龍つかさ)―二次元(小説)を三次元(演劇)化する面白さ│マスカレード・ホテル

まだ心が「ホテル・コルテシア東京」にステイしたままな私。
いい作品でしたね。
ひとことで言うなら、上質な舞台。
東野圭吾ファンの友人にも観てもらいたい!と思う作品でした。

まるで当て書き?原作『マスカレード・ホテル』


ミステリの舞台化って結構難しいと思うんですけど(アリバイだのトリックだの説明台詞が多くなりがちだし)、上手くまとめてあり、なおかつ宝塚らしい華やかさもあって…

想像以上の出来栄えでした!

もっと深く知りたくなって、帰り道に本屋さんへ。
瀬戸かずやさんの表紙は残り一冊でした。
危なかった~~

東野作品を読むのは何年ぶりでしょう?
前職の上司が東野ファンでよくお借りしていたのですが、転職して以来すっかり遠ざかっていました。
餞別に戴いた『容疑者Xの献身』が最後かな?

懐かしい思い出に浸りながら、ひもといた『マスカレード・ホテル』。
ページをめくった瞬間、日本青年館の空気が甦ります。

冴月瑠那さん演じる久我は「整った顔」。
和海しょうさんの稲垣は「低いが、よく響く声」。
細かい描写のひとつひとつが当て書きのよう。

エピソードの取捨選択が巧みで、ベテラン谷正純先生の手練れを感じます。
原作そのままの台詞も多く、あきらさん(瀬戸)やひらめちゃん(朝月希和)のお芝居で再生されるのが楽しいですね。

愛すべき男、能勢金治郎(飛龍つかさ)


意外だったのが能勢金治郎(飛龍つかさ)。
あの人物が、ああ変わるのか!という新鮮な驚き。
飛龍くんの個性に合わせたアレンジがいいですね。

話している内容はほぼ同じなのに、台詞の緩急、それに伴うアクションでまったく別人に生まれ変わる。
二次元(小説)が三次元(演劇)化される面白さを感じました。

飛龍くんの暑苦可愛さ!

あの憎めなさは異常です。
暑苦しい…うるさい…邪魔くさい…
なのに、愛おしくってたまらなくなる。
ブンブンしっぽを振るワンコみたいな品川署の刑事が登場するたびに沸く客席。

絶妙なタイミングでの「もう来てます!!!」には大爆笑。
しばしショーストップするほどでした。

彼もまた、山岸尚美(朝月)同様、新田浩介(瀬戸)のバディなのですね。
こちらは正真正銘の相棒ながら、新田からは疎まれがち。
しかし、持ち前のへこたれなさと仕事に対する真摯さで、わだかまりを乗り越え、新田との間に確かなパートナーシップを結ぶのです。

パッカーーーン!と屈託のない笑顔。
独特のファッションセンス。
立て板に水のごとく繰り出される早台詞。

ただでさえ説明台詞が多い『マスカレード・ホテル』。
他キャストよりも更に早口でまくしたてるような剣幕ながら、言葉ひとつひとつが正確に伝わるのはさすが。

ラストのちゃっかりぶりには大笑いしました!
「お義兄さん」の破壊力!

歌上手な飛龍くん、本編では歌が聴けなくて残念…と思ったら、フィナーレの歌手で存分に美声を響かせてくれました。
お芝居の三枚目ぶりから一転、キリッと華やかな花男への変身も鮮やか。
歌えて踊れて、お芝居も◎
いい男役さんですね。
これからますます注目していきたいと思います!

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プロフィール

野口 留香 noctiluca

Author:野口 留香 noctiluca
宝塚歌劇と共にまもなく30年(ブランクあり)。
月組/星組比重高めの全組観劇派。
美丈夫タイプの生徒さんが好み。
宝塚歌劇観劇記録・考察・思い出話・備忘録などをまとめたブログ。

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