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木村信司に捧ぐ歌―「演劇の力」「言葉の力」について

前回の記事で、老若男女のタイプ別で「宝塚ビギナーにお勧めしたい作品Best3」を選びました。
宝塚ビギナーにお勧めしたい作品―老若男女・観劇スタンス・タイプ別Best3

観劇に対する相手のスタンスによって、おおまかに4タイプに分け、それぞれにお勧めを3作品づつ挙げる。
ターゲットは、
A)歌舞伎・文楽・落語などを好む70代男性(実父)
B)可愛い・綺麗・ロマンティックが大好きな40代男性(友人)
C)ディープな演劇マニアだけど宝塚未体験の40代女性(友人)
D)観劇デビューの10代前半女子(友人の娘)

なかでも頭を悩ませたのがCとD。
D(観劇デビュー)の作品は、その後の観劇人生を左右しますので慎重なチョイスが必要です。
下手をすると舞台鑑賞そのものに興味を失ってしまう可能性がありますので。

そして、C。
演劇マニアのCとは、かれこれ30年来の付き合い。
学生時代に同じ演劇部で青春を送り、卒業後は自分の劇団を立ち上げた彼女。
もちろん他の劇団の公演も観に行きますが、不思議なことに宝塚は未体験。

演劇を心から愛する彼女に観てもらうなら」の視点で選ぶとき、真っ先に浮かんだのは木村信司先生の作品でした。

演劇とは人生を肯定するものである


「演劇とは人生を肯定するものである」が信念の私。
木村作品をつらぬく「生きること」「愛すること」への絶対的な信頼と肯定を愛しているのです。

舞台からほとばしる前向きなエネルギー。
アドレナリンが湧き、鼓動が高まり、目に映る景色は彩度を増し、キラキラ輝きだす。
のほほんとした日常を送る私には必要な刺激です。

さらに魅力を深めるのは、強烈な「生」のまばゆさと裏腹の無常観。
『鳳凰伝』のテーマ 〽すべてこの世は夢 に象徴される諦念。

生きて、愛して、砂に還る。
その繰り返しが人の世の常。

泣いても一生、笑っても一生。
ならば、精一杯に笑って命を燃やし尽くそうよ。

メビウスの輪のようにぐるぐると、光と影のメッセージが交錯する木村作品。
その最大の武器は「生きる力」を呼び覚ます「言葉の力」なのです。

いつまでも心に残る作品を観られる幸せ


外部でも活躍される木村先生。
かつて演出を手がけられた『リボンの騎士 ザ・ミュージカル』終演後のコメントに木村作品のエッセンスが凝縮されています。

今、これで緞帳は下りた。まだお客様は帰ってない。でも、リボンの騎士はどこに行ったかというと、もうどこにも無い。形としてのリボンの騎士はもうどこにも無い。もう一回繰り返そうとしてももう無いんだ。これが演劇。でも、じゃあ完全になくなったか?といったらそうじゃない。みんなの心の中に残ってる。それが演劇の感動なんです。1回こういう感動を得たらば、お客様というのはずっと墓の中まで持っていく。お爺さんお婆さんになるまで。『あの舞台は良かった。未だに忘れられない。細かいことは忘れてても、本当に良かった』っていう。これがみなさんが生きてきた舞台という空間なんです。[Wikipediaより抜粋]


「本当に良かった」と思える作品。
墓の中まで持っていける感動。
そんな舞台にめぐり逢えたら幸せです。

今となっては贔屓組であれば二桁観劇も当たり前の私ですが、何十年も前、ただ一度観た限りの舞台の感動は今も鮮明です。

もちろん、木村先生が仰るように細部まで覚えているわけではありません。
しかし、もやっとした灰色の霧の向こうにくっきりと、最も印象に残るシーンが極彩色で浮かんでいる。
役者の瞳の輝きまでが鮮明に。

決して上書きされることのない感動。
そんなピースが、ひとつ、またひとつ積み重なっていくのが芝居見物の醍醐味です。

大好きな友人と、この感動を分かち合いたい。
木村先生に全幅の信頼を置く私が選んだのは『蘭陵王』と『不滅の棘』。
褪せることない煌めきをもって、いつまでも私の心に残る作品です。
宝塚歌劇を知り、木村作品にめぐり逢えた私は幸せです。

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2018年は傑作揃いの当たり年!宝塚歌劇「私の好きな作品」TOP3!

年の瀬が近づき、年内の観劇予定もあとわずか。
少し早いですが、今年の総括に入ります。
題して、宝塚歌劇「私の好きな作品」TOP3

2018年は大当たりの年。
私好みの作品が多く、嬉しかったですね。
とりわけ心に残ったタイトルを3本選びました。

今年観たのは以下の25作品(芝居:16作/ショー:9作)。
本公演は全組・全作品観劇済み。
その他公演は演目によりけり。

<宝塚大劇場・東京宝塚劇場公演>
ひかりふる路~革命家、マクシミリアン・ロベスピエール~/SUPER VOYAGER!(雪組)
ポーの一族(花組)
カンパニー ―努力、情熱、そして仲間たち/BADDY―悪党は月からやって来る―(月組)
天は赤い河のほとり/シトラスの風―Sunrise―(宙組)
ANOTHER WORLD/Killer Rouge(星組)
凱旋門/Gato Bonito!!(雪組)
MESSIAH―異聞・天草四郎―/BEAUTIFUL GARDEN―百花繚乱―(花組)
エリザベート―愛と死の輪舞―(月組)
白鷺の城/異人たちのルネサンス(宙組)

<その他劇場公演>
WEST SIDE STORY(宙組)
不滅の棘(宙組)
ドクトル・ジバゴ(専科/星組)
あかねさす紫の花/Santé!!(花組)
雨に唄えば(月組)
Thunderbolt Fantasy 東離劍遊紀/Killer Rouge 星秀☆煌紅(星組)
蘭陵王―美しすぎる武将―(専科/花組)

* * *

2018年「私の好きな作品」TOP3は…
不滅の棘
ANOTHER WORLD
蘭陵王

木村信司先生、二冠獲得!(不滅の棘と蘭陵王により)

「TOP3」と書きましたが、いずれ劣らぬ秀作揃い。
順位をつけるのは、寿司とカレーとハンバーグ、どれが一番美味しいかを語るようなもの。
あえて絞る必要もありませんので、上演順に並べました。

不滅の棘(宙組)
望まずして不死となったエロール(愛月ひかる)。
生き長らえることに倦み疲れた彼が、かつて愛した者たちゆかりの人々と交わるうちに得たものとは?

無駄を削ぎ落とした白一色の世界。
相対的に際立つ鮮やかな生命の色。
儚く、どこか滑稽で、もの悲しい物語。
ラストシーンの透きとおるような美しさは忘れられません。

・関連記事↓
“永遠の命”がもたらすものとは?ふたつの不死の物語“ポーの一族VS不滅の棘”│不滅の棘感想
見よ!愛月ひかるの圧倒的「主役力」│不滅の棘

ANOTHER WORLD(星組)
舞台は「あの世」、主役は「死人」。
恋煩いが原因で「あの世」へやってきた康次郎(紅ゆずる)が繰り広げる、抱腹絶倒の純愛冒険譚。

死後の世界を描きながら、逆説的に浮かび上がるのは「命の尊さ」と「生の喜び」。
不完全でちっぽけな人間は、互いに思いやり、助け合わなければ生きてゆけない。
当たり前だけど忘れがちなメッセージが心に染みます。

・関連記事↓
限りなき愛の賛歌、谷正純先生の大傑作誕生!│ANOTHER WORLD
「人生は美しい」稀代のつっころばし、紅ゆずるが紡ぐ優しい世界│ANOTHER WORLD
『ANOTHER WORLD』は面白いか?面白くないか?-ハイコンテクスト化した「笑い」の是非

蘭陵王―美しすぎる武将―(専科/花組)
あまりの美しさゆえ、仮面をつけて戦地へ赴いたとされる蘭陵王(凪七瑠海)。
雅楽や京劇でおなじみの題材を、宝塚流に再構築した演目。

重いテーマを抱えつつ、エンターテイメントとしても絶品。
単なる歴史物語の焼き直しに留めず、現代にも通じる問題を織り交ぜ、2018年の「今」、この作品を上演する意味をはっきりと示したのは見事。

・関連記事↓
迷作?珍作?奇作?怪作?その正体は…「大傑作」キターーー!│蘭陵王
「生きること」「愛すること」人間の根源的欲求を描く『蘭陵王』―凪七瑠海と音くり寿のハマり役
「飛べない孔雀」―高緯(瀬戸かずや)と逍遥君(帆純まひろ)│蘭陵王

* * *

3作品に共通するテーマは「生と愛の讃歌」。

喜びも怒りも哀しみも楽しみも、生きてこそ。
限りある命を燃やし、懸命に生きよ、愛せよ。

なんのてらいもなく描かれる普遍のメッセージ。
谷先生と木村先生が紡ぐ、真っ直ぐで力強い言葉に心打たれました。

そして、絶対的な当て書き感。
愛月ひかるの圧倒的スター性、紅ゆずるの真摯なぬくもり、凪七瑠海の強靭な気高さ。
各人の長所を最大限に引き出し、活かしたことが成功の要因でしょう。

生徒さん、スタッフの皆さま、素晴らしい作品で楽しませていただき、誠にありがとうございました。
新しい年も、今年をさらに上回る傑作を期待しております!

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『蘭陵王』まとめ―素晴らしき装置と照明/賜死と切腹/瀬戸かずやの芝居/京三紗の衝撃/104期生

12月に入り、平日は花組『蘭陵王』、週末は宙組『白鷺の城』と観劇続き。
残しておきたい感想は山程あるのに、いかんせん手が追いつかず。
新年が明けたら、平日は月組『ON THE TOWN』、週末は星組『霧深きエルベのほとり』のターンに入りますので、なんとか年内に収めたいところです。

というわけで、『蘭陵王』備忘録。
img-20181214_1.jpg
○なにしろ、装置が素晴らしい!
千穐楽にして初めてのKAAT2階席。
新しい発見がありました。
1階からは分かりにくかった床の模様の全貌がはっきり見えたのです。

舞台正面を飾る、都市の俯瞰図と同じものだったのですね。
図柄の繰り返しが奥に行くほど狭まるように展開されています。
左右の曼荼羅のような垂れ幕と相まり、「永遠性」「持続性」を感じました。

「今あなたが立っているのは、無限に続く時の流れの中のほんの一瞬に過ぎない」
広寧王の妻の台詞「諸行無常、盛者必衰」にも通じる無常観がここにも表れます。

目を凝らせば、上手に龍、下手に虎がいます。
引き伸ばされた奥の垂れ幕だけでは分かりませんでした。

東に青龍、西に白虎ならば、これは四神?と朱雀と玄武を探すも見当たらず。
赤いオウムらしき鳥(朱雀?)と、亀っぽい生き物(玄武?)はいましたが…
白い孔雀もいたので深い意味はないのかもしれません。
映像化されたらじっくり探します。

装置と照明のマッチングも素晴らしいですね。
同じ景色が、夕暮れになり、星空になり、広大な砂漠となり。
イマジネーションを掻き立てられる美しい演出でした。

火焔太鼓を模した吊り灯籠もエキゾチックで素敵。

左右3枚ずつ、計3枚の垂れ幕。
曼荼羅のところどころに浮かぶ2羽の蝶。
これは蘭陵王と洛妃でしょうか?

フィナーレの連れ舞い(デュエットダンスではなく、あえてこう呼びたい)で、ひらひら舞い踊る二人。
つがいの蝶のように睦まじい蘭陵王と洛妃の姿に胸を打たれました。

○賜死と切腹
毒酒を賜るって、切腹と同じ構造ですよね。
衆人環視の中で自ら選び取る「死」。
それは決して名誉でも何でもなく、一族郎党を人質に取られた脅し以外の何物でもありません。

逃げることは許されない。
自分が腹を切らなければ、愛する者に累が及ぶ。
絶体絶命の状況に追い込まれ、ありがたく死を賜る“ふりをする”。
おためごかしの茶番であり、狂気です。

「やめた」と杯を放り投げる蘭陵王には溜飲が下がりました。

○あきらさんの芝居、ここも凄かった!
あきらさん(瀬戸かずや)のお芝居についてはさんざっぱら書きましたが、なんとなく印象に残っているのは逍遥君(帆純まひろ)に初めて声をかけるシーン。
「あなたおしゃれね…いいわよ」
逍遥君の指向を一瞬で見抜き、水を向ける。
濃密な台詞回し、密やかに淫靡な視線。
巧い!

○影の主役、語り部(京三紗)
京さんで始まり、京さんで終わる。
京さんの語りなくしては、『蘭陵王』の舞台は成立しなかったと言っても過言ではありません。
ひたひたと何の抵抗もなく脳みそに染み込む声。
ゆったり、くっきり、しっくり、古代中国の世界へいざなう語り口。
不思議な暗示効果すら感じるような、影の主人公とも言うべき語り部でした。

最後の爆弾には驚かされましたが…
光るヌンチャクの比ではない衝撃発言でしたね。
一瞬、客席に声にならないざわめきが走ったのを感じました。

○先が楽しみな104期生
人数の少ない公演ですので、今年入団したばかりの研一さんにも役がつきます。

周雲役の珀斗星来さんは、どっしりした舞台姿、しっかりした台詞で存在感をアピールしました。
ワンフレーズですが、歌もなかなか。
月組の白雪さち花さんの妹さんですが、既に「弟」と呼びたくなる貫禄があります。

桂妃役の美里玲菜さんは、現星組トップ娘役の綺咲愛里さんの妹さん。
整った容姿、すらりとしたスタイルで目を引きました。

ふたりともお姉さま方にそっくりで驚きましたね。

個人的に注目している青騎司さんはひときわ目立つ男らしい風貌。
カーテンコールでは初々しさも垣間見えて微笑ましかったです。

何と言っても、華の花組配属の研一さんたち。
これから大きく羽ばたいていかれることを期待します。

これにて、『蘭陵王』感想は完結(多分)。
長々とお付き合いありがとうございました。

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「光る○ン○ャク」―外連(けれん)こそ木村信司の醍醐味│蘭陵王
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「光る○ン○ャク」―外連(けれん)こそ木村信司の醍醐味│蘭陵王

実のところ、MY初日に物販コーナーでかちゃさん(凪七瑠海)の腕の中に倒れ込む音くり寿さんの舞台写真を見て、「洛妃は蘭陵王をかばって死んじゃうんだ…」と一人勝手に悲しんでいたのです。

しかし、そうは問屋が卸さない!
木村先生がそんなベタな愁嘆場を用意するはずがない!
待っていたのは愉快痛快!大どんでん返し!

あわや毒酒をあおるか…と思いきや、すっぱり覆す。
緊張と弛緩の繰り返し。
木村作品の中毒性の高さの秘密はこんなところにあるのかもしれません。

名誉の死を「茶番」と一笑に付し、逃げて逃げて生き延びる!
そして、互いを「たぬきどん」「きつねどん」と呼び合うバカップル幸せな二人に涙しました。
本当に良かった!

今となっては、あのヌンチャクすら愛おしいですね。
公演中はネタバレを避けて「○る○ン○ャク」と伏せてましたが、正解は「光るヌンチャク」です。
(ヅカ友さんは「コンニャク?」と言ってましたが、光るコンニャクだったらそれはそれで新たな伝説を生みそう)

* * *

初めて「アレ」を観たときは、理解が追いつかず呆然としました。

ヌンチャク!?
なぜいきなりヌンチャクが出てくる!?
そして、なぜ光る!?

観客の混乱など意にも介さぬ痛快アクション!
ザッツ・エンタテインメント!
この外連味こそ、木村作品の醍醐味!

歌舞伎の宙乗りや屋台崩しのように、観客をあっと言わせる仕掛け。
私たちの度肝を抜き、おおいに楽しませようという木村先生のサービス精神の表れでしょう。

* * *

「なぜ?」の問いは野暮ですね。
演劇とは本来もっと自由なもの。
限りある空間、限りある時間の中で、いかに空想の翼を広げ、人生の喜怒哀楽を描き出すか。

騎馬戦も同様です。
千穐楽には、砂塵を巻き上げ、一路、洛陽城に突き進む蘭陵王軍が見えたような気がしました。
花のかんばせを奇妙な面で隠し、鬼神のごとく剣を振るい、並み居る敵を蹴散らす蘭陵王。
かちゃさんの気迫あふれる演技によって、見えないはずの五百騎をも「感じた」のです。

私は観たことはありませんが、自転車競技を取り上げた『弱虫ペダル』という2.5次元ミュージカルでは、役者がハンドルだけを持ち、ペダルを漕ぐ(ふりをする)そうですね。
観客の目には、風を切って走る選手、白熱するレースの有様が見えるのでしょう。

目に映るものだけを見るのではなく、自らの心を舞台の中へ飛び込ませ、役者が役の目で見ている景色を一緒に感じてみませんか?
「もっと演劇を楽しもうよ」
そんな木村先生の声が聞こえるような気がします。

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チケット代金以上の価値がある―洛妃(音くり寿)の歌と芝居│蘭陵王

「蘭陵王いいよー、いいよー」と言い続けてたら、千穐楽前日、連れ合いが「そんなにいいなら観てくる」と出かけて行きました。
感想は「素晴らしかった、観て良かった」。
一人でも多くの人に観てもらいたいと願っていた作品だから良かった!

そして、もう一言。
「木村先生って『伝令ー!』が好きだよね?」
『王家に捧ぐ歌』でも登場してましたね、伝令さん。
あの時代がかった感じがいいんですよね。

* * *

○洛妃(音くり寿)
音くりちゃんの歌唱だけでチケット代金以上の価値がありました。
幾度、心の中で立ち上がってブラヴォーを送ったか…

蘭陵王(凪七瑠海)賜死のシーンは最大の見せ場。
たっぷり情感豊かなクドキで劇場を飲み込みます。

花組トップ娘役の仙名彩世さんを彷彿させる、キリッと引き締まった台詞回し。
ときに可憐に、ときに大人っぽく、明晰で聴きやすい。

声の良さ、口跡の良さはそれだけで役者の評価を高めます。
音くりちゃんは素晴らしい財産を持っています。

そして、聴く者の心にまっすぐ届き、「物語」を紡ぐ歌声。

「愛しています、お慕いしております」
物語のキモとなる言葉。
木村信司先生の「言葉」はいつもシンプルで力強い。
ストレートに胸に刺さります。

洛妃の「愛」が蘭陵王(凪七瑠海)に届いたとき、物語が大きく動くのです。

声の美しさ、歌の巧さだけではありません。
体は衣装に埋もれるほど華奢ですが、芝居が大きく、貫禄十分。

驚いたのは、蘭陵王が毒酒の杯を投げ捨てたときの洛妃の表情。
「あれっ?」と思いました。
私が無意識に想像していた表情とは違う。
「こういうシチュエーションならば、こういう表情をするよね?」という期待を、思いがけない方向に裏切る表情。

ニッと笑ったのです、彼女。
単純に「愛する男の命が助かった」という受け身な喜びでなく…
「よくぞ翻意した!」とでも言いたげな会心の笑み。

目を輝かせ、生きる喜びを全身にみなぎらせて、蘭陵王の助太刀に入る洛妃。
背中合わせに「生きて逃げるか」と言い交わす二人。

この爽快感!
オセロの最後の一石でパーフェクトゲームが達成されたような。
真っ黒だった盤面が一気に真っ白に転じたような高揚。

蘭陵王と洛妃の関係は、男女を超えた、共にサヴァイヴする同志の信頼で結ばれているように感じました。

洛妃の愛は、相手から与えてもらうのを待つだけの愛ではないのですよね。
相手に依存せず、支え合い、並び立つ気概が感じられます。
高緯(瀬戸かずや)の愛との対比が見事です。

* * *

前回の記事で「言葉の力」について触れましたが、洛妃についても、木村先生の言葉(名前)への執着が見て取れます。

「愛する人に名前を呼ばれることが愛の証」
「死ぬ前にたった一度、愛する人に名前を呼んでいただけたなら、自分は満足である」

これは言霊思想が関係しているでしょうか?
他人に「諱/忌み名(本名)」を知られ、霊的に支配されることを恐れる考えですね。

愛する人に名前を呼ばれること、すなわち、肉体のみならず霊魂までも支配されたいという強い想いです。

「洛妃」は間者としての名前ですが、彼女の本名は何というのでしょう?
その名前をこそ、蘭陵王に呼ばれたいと願ったのではないでしょうか。
(ちなみに、高長恭の諱は「粛」)

* * *

命以外の何もかもを捨てて逃げた最終シーン。
めちゃくちゃ甘いですね~~
観ているこちらが気恥ずかしくなるほど甘い甘いラブシーン。

唇の動きだけで愛を告げる蘭陵王。
「それは口に出して欲しい、もう唇は読みません」と拗ねる洛妃。

そして、「愛しています、お慕いしております」のリプライズ。
これにはやられました。

幸せそうな二人の掛け合いに涙、涙…
たぬきどんときつねどんが末永く寄り添って暮らす姿が目に浮かぶような。

こんなにも温かく、優しい結末を用意してくださった木村先生に感謝!
『蘭陵王』大好きです!

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プロフィール

野口 留香 noctiluca

Author:野口 留香 noctiluca
宝塚歌劇と共にまもなく30年(ブランクあり)。
月組/星組比重高めの全組観劇派。
美丈夫タイプの生徒さんが好み。
宝塚歌劇観劇記録・考察・思い出話・備忘録などをまとめたブログ。
◇更新情報はこちら◇
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