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すーさん、寂しくなります│憧花ゆりの組長ご卒業

本日、月組組長の憧花ゆりのさんのご卒業が発表されました。

月組名物の淀みない挨拶にみられる聡明さ。
さばけたお人柄。
渋皮のむけた女っぷり。
劇場の空気を一変させる歌声。
絶妙に間の良い芝居。
どれも好きです。

あれこれ制約の多い「宝塚の娘役」という枠の内で培った唯一無二の味わいは魅力です。
渋み、苦み、辛み、アタック感。
クセは強いですが、一度ハマると他では物足りなくなる。
強烈なスパイスのような持ち味で舞台に奥行きを与えてきました。

そして、なんといってもあの茶目っ気!
怜悧さの奥に見え隠れするいたずらっぽい少女のような顔。

どの役も素晴らしいですが、特に好きなのは『舞音』の張紫微(チャン・ズーウェイ)と、『カンパニー』の田中乃亜。
世間から見捨てられたクオン(珠城りょう)を慈しみ、包み込むマダム・チャン。
打てば響くような間の良さと、おおらかな人間味で芝居にぬくもりを添えた乃亜。

寂しくなるなぁ…
突然のことに想いは尽きませんが、集大成のゾフィを楽しみにしています。

○関連記事はこちら↓
百花繚乱、月組の女優たち―娘役の理想形とは?│All for One
『グランドホテル』屈指の難役ラファエラ・オッタニオ│変化する愛の形
『舞音』の珠城りょう―妙に心に残る男“ファン・チ・クオン”

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百花繚乱、月組の女優たち―娘役の理想形とは?│All for One

『All for One』の何が楽しいって、演じ手自身が舞台を楽しんでる様子がダイレクトに伝わってくること。

特に、娘役さんたちがいつも以上に生き生きしている!
ヒロインのちゃぴちゃん(愛希れいか)始め、満開の花園を見るようです。

【月組娘役三羽烏│憧花ゆりの・白雪さち花・夏月都について】
任せて安心!歌に、芝居に、抜群の安定感を誇る三人。
『芝居の月組』に欠かせない役者たち。

* * *

まずは、すーちゃん(憧花)。
聡明で、したたか。
大きな愛を胸に秘めた女性、アンヌ。
ラストシーン、ふたりの子どもたちに注ぐ視線の限りない優しさ。

張りのある明晰な台詞が場面を引き締めます。
彼女の声、好きです。
一言発しただけで「○○さんだ」とわかる声は、役者として得難い財産。

笑いのコントロールも絶妙。
月組生全員に言えることですが、大仰に笑いを取ろうとせず台本に書かれた台詞と間合いのみで、観客の心を揺すぶるのが素晴らしい。

* * *

お次は、さちかちゃん(白雪)。
剣戟一座のおかみさん、シモーヌ。
拾い子だったジョルジュが実は…という役どころ。
息子を拾った時の状況説明では、背景に暗い森と幼子が眠る籠が見えるような錯覚を覚えます。
ここにも温かな情愛に溢れた母親がいます。

エトワールは胸のすくような歌声。

* * *

ルイ(ルイーズ)を見守る乳母マドレーヌは、なつこさん(夏月都)。
ラストシーン、ルイーズの背中を押すように黙って両手を差し伸べる。
アンヌやマドレーヌの胸から羽ばたき、愛する人との一歩を踏み出すルイーズ。
一抹の寂しさを抱えながらも、ルイーズへ贈る精一杯のエールのようで胸に迫ります。

【可憐な花々│早乙女わかば・海乃美月・美園さくらについて】

マリア・テレサのくらげちゃん(海乃美月)、最高ですね!
突き抜けたコメディエンヌっぷりが清々しい!
初登場時からジョルジュに視線釘付けでしたものね。
思いがけず、理想の“筋肉もりもり君”と添えることになり、私まで嬉しくなってしまいました。

マザランの姪では、マリーアンヌの美園さくらちゃんがパッと華やかで目を引きます。
愛くるしいお顔に、抜群のスタイル。
押し出しも良く、大輪の薔薇のよう。

さくらちゃんがゴージャスなピンクの薔薇なら、マリー・ルイーズのわかばちゃん(早乙女わかば)は可愛らしい紅薔薇。
くるくる変わる表情の豊かさが魅力。
ふくれっ面も憎めないですね。

同じ花でも個性の異なる彼女たち。
ちゃぴちゃんやさくらちゃんは、舞台の真ん中に立って、周囲をぐいぐい引っ張れる立役系娘役。
わかばちゃんは、男役さんに寄り添うことで一層輝きを増すタイプの娘役さんでしょうか?
可憐な美女がなよやかに寄り添えば、男役がより強く頼もしく見える。

どちらのタイプがより良い、ということはありません。
男役さんも様々、娘役さんも様々。

しかし、「娘役は添え物、かすみ草であれ」という考えには賛同しかねます。
舞台を盛り上げる役者同士、ぼんやりしていると食われかねないくらいの緊張感をはらんだ関係が望ましいですね。
ただし、あくまでもたおやかに。

女性が男性を演じる宝塚。
男役とは、男性を一度分解し、その美点のみを抽出し、再構築した“超男性”であると言えます。
そんな男役と並ぶには、娘役もまた生身の女性を超えた“超女性”であることが求められるのです。

男役と娘役、それぞれのあらまほしき在り方とはどのようなものか?
娘役は男役をよりカッコよく、男役は娘役をより美しく見せられること。
互いの良さを引き立て合う関係が理想的と考えます。

* * *

…と、書いておいてなんですが、今回は戦う娘役さんも見どころのひとつ。

ロシュ城では看守を絞め落としたり、クライマックスの王宮シーンでは護衛隊士に鮮やかな飛び蹴りをお見舞いするシモーヌ(強い)。
他の娘役さんも負けてません。
彼女らの蹴りに合わせて、それらしいSEが入るのも可笑しいですね。
羽交い締めされたロベール(千海華蘭)にパンチを入れる娘役さんを観た時はびっくりでした。

丸腰で護衛隊と互角に戦うなんて…
『最強』の称号を戴くのは、ダルタニアンでも銃士隊でも護衛隊でもなく、ひょっとして女性たちなのでは?と思いますよね…

逞しい娘役に、か弱い(?)男役。
これもまた月組のひとつの伝統なのかしら?
(カルーセル輪舞曲のニューヨークのシーンも大好きでした)

○モンパンシェ公爵夫人についてはこちら↓
くらまがグラマー!なぜモンパンシェ公爵夫人は20年もルイを想い続けたのか?│All for One

『All for One』関連記事はこちら

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北翔海莉トートが観たい【エリザベート妄想キャスティング】

下書きフォルダを整理していたら『エリザベート』妄想配役の記事が出てきました。
宝塚ファンなら、どなたも一度は考えたことがあるはず。
組や学年の垣根を飛び越えた夢のキャスティングを。

こちらは2014~15年頃に組み立てた、当時の現役生でのドリームキャスト。
なかには既にご卒業された方のお名前もあります。
また、現役生ではその後、実際にその役を演じられた方もいらっしゃいます。

トート閣下は、みちこさん(北翔海莉)。

宝塚ご卒業後、益々精力的にご活躍のみちこさん。
前へ前へ、常に進化を続けられる彼女とファンの皆さまにとって、過去のたられば話は詮ないものとは思いますが…
ご笑覧くだされば幸いです。

トート北翔海莉[専科]
エリザベート実咲凜音[宙組]
フランツ・ヨーゼフ望海風斗[雪組]
ルキーニ和希そら[宙組]
ルドルフ礼真琴[星組]
マックス美城れん[専科]
グリュンネ羽立光来[花組]
ルドヴィカ美風舞良[宙組]
ゾフィー美穂圭子[専科]
死刑囚の母夏月都[月組]
ラウシャー輝月ゆうま[月組]
エルマー留依蒔世[宙組]
ツェップス宇月颯[月組]
ヴィンディッシュ嬢咲妃みゆ[雪組]
黒天使(マデレーネ)咲希あかね[月組]
ヘレネ晴音アキ[月組]
リヒテンシュタイン仙名彩世[花組]
マダム・ヴォルフ憧花ゆりの[月組]
ルドルフ(少年時代)彩みちる[雪組]
エーアンの歌手遥斗勇帆[星組]


※所属は2014~2015年当時
※専科15%、花組10%、月組30%、雪組15%、星組10%、宙組20%

星組公演『眠らない男・ナポレオン』のタレーラン以来、私の中でみちこトートのイメージが急激に膨らんだのです。
シシィを追う瞳を観てみたいですね。
陽または動の役柄、コメディに抜群の力を発揮するみちこさんですが、静または陰の芝居でみせる奥行きがなんとも味わい深く思えるのです。
『大海賊』でエレーヌの亡骸に語りかける場面、好きでした。

みりおん(実咲凜音)シシィと、そら(和希そら)ルキーニ(新人公演)は実現して嬉しかったなぁ。

みちこトート×琴(礼真琴)ルドルフの『闇が広がる』。
圧倒的な熱量と力、技巧のぶつかり合い。
ちょっと想像がつかないですね。
何か別なものが広がっちゃいそうな気すらします。

ゆうみちゃん(咲妃みゆ)のヴィンディッシュ嬢。
贅沢過ぎる配役ですが、是非観たいです。

すーちゃん(憧花ゆりの)のマダム・ヴォルフ。
新人公演で演じられたご経験があるのですね。
独特の癖がある歌声、腹に一物系娼館のマダムにはぴったりです。

当時考えた配役はそのままですが、今回どうしても入れたくて、エーアンの歌手(遥斗勇帆)を追加しました。
朗々とした美声を響かせて欲しいものです。

ちなみに元記事は昨年9月8日付のもの。
あれから、みちこさん・さやかさん(美城れん)・ちゅーちゃん(咲希あかね)は退団され、みりおんちゃんのご卒業もまもなく。
あやせさん(仙名彩世)は花組トップ娘役に昇進され、だいもんさん(望海風斗)は次期雪組トップスターに決定。
ヅカ時間の流れは早いものです。
妄想配役表も更新しなくてはなりませんね。
今なら、真彩希帆ちゃんと音くり寿ちゃんを入れたいですね。

OG編も検討し甲斐があります。
候補が多すぎて収拾がつかなくなりそうですが。
とりあえずシビさん(矢代鴻)のマダム・ヴォルフは真っ先に浮かびました。

エンドレスになりそうですので、この辺で。
それでは皆さま、素敵な週末をお過ごしくださいませ。

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若々しく明るく、クラシカルで重厚│多面性が魅力の『カルーセル輪舞曲』取り急ぎ感想(2)

『カルーセル輪舞曲』は、若々しく明るいシーンもクラシカルで重厚なシーンも楽しめる、多面性が魅力のショー。
楽しい場面は底抜けに明るく、厳粛な場面では端正に。
伸び伸び演じる組子たちの姿から、月組の雰囲気の良さと充実っぷりが伝わってくるようです。

歌唱に定評がある生徒さんに、きちんと見せ場があるのも嬉しいところ。
特に『流麗(シルクロード)』のまゆぽん(輝月ゆうま)とさち花ちゃん(白雪さち花)から、『飛翔(インド洋)』のすーちゃんと、としさん(宇月颯)。
からの、初エトワールの大役を立派に務め上げられた麗泉里さん。
美しく、ドラマティックに、力強く。
適材適所の美声を堪能できる流れが最高!
つくづく月組は素晴らしいな!との思いが強まります。

個人的には『妖艶(アメリカ ニューヨーク)』の、からんちゃん(千海華蘭)の小粋な歌いっぷりにも釘付け!
ちょっとした仕草から溢れる色気、弾むようなダンス。
もう彼女から目が離せません!
ついつい、からんちゃんばかり目で追ってしまうんですよね。
軽く首を回すような、さりげない動きすら洒脱。

ちなみに一番好きなポイントは、レディマンハッタンSのちゃぴちゃん(愛希れいか)に顎の下をコチョコチョされるところ。
手玉に取られているように見せかけて、戯れを楽しんでいるのを窺わせる一瞬の微笑み。
余裕綽々な表情がたまりません!

余談ですが、フィギュアスケートの宇野昌磨選手の演技を拝見すると、からんちゃんを思い出します。
小柄で愛らしいお顔立ちの彼が、ひとたびリンクに上がると打って変わって勝負師の顔になるところ。
キビキビしたスケーティング、ずば抜けた表現力と表情の豊かさ、氷を溶かしそうなほど熱くほとばしる色気。
からんちゃんの舞台姿と重なるんですよねー。

ようやく、オープニングの鬘も見慣れてきました。
あれは変に色気を出して横に流したりするより、思いきって馬感たっぷりに乗せた方が良いですね。
個人的には、ありちゃん(暁千星)のお馬ちゃんっぷりが好きです。

彼女は遠目だと、卒業されたもりえちゃん(青樹泉)を思わせますね。
小顔でスタイル抜群、お顔立ちにも少し面影があるような…
温かく誠実な持ち味のもりえちゃん、大好きでした。

なんだか、ありちゃんの風吹が観たくなってきましたよ!
すると、紫子は珠様(珠城りょう)…!?
うーん…どうでしょうか!?
私はとっても観たいですが、皆さまはいかがですか?
珠様はやはり風吹役者かなぁ?
いっそ紫子はれいこさん(月城かなと)に、と妄想配役は留まるところを知らず。
風吹=珠様、紫子=れいこさん、舞鶴姫=ちゃぴちゃん、定嗣=としさん。
全国ツアーでいかがでしょう?

そう言えば、あまり宝塚に慣れてらっしゃらない様子のご夫妻が私たちの前列にいらしたのですが…
『楽園(メキシコ)』の最後、珠様の「テキーラ!」の直撃を受け、おふたり揃って思わず「オホッ」と声を漏らされたのが可笑しかったです。
私も心の中で「ウホッ」となってましたけどね。
1ヶ月ぶりの生テキーラは強烈でした!
ここの珠様、本っ当にカッコいいですよねー!
稲葉先生、素敵なシーンを作ってくださり、ありがとうございます!

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『グランドホテル』屈指の難役ラファエラ・オッタニオ│変化する愛の形

エリザヴェッタの付き人であり、友人でもあるラファエラ・オッタニオ。
この役を演じる難しさはエリザヴェッタへの思慕の念を、どのように“宝塚的”な形に落とし込んでいくかという点にあります。

男性同性愛を描くことには比較的寛容とも言える宝塚歌劇ですが、女性間となると(私の知る限り)前例が浮かびません。
他者への愛は、時代背景や両人の属する環境に左右されることはあるにしろ、相手を求めてやまないという一点において異性間・同性間で本質的な違いは無いと考えますが、なぜか宝塚の舞台で(娘役による)女性同性愛が取り上げられることはない。
宝塚の男役至上主義な側面がここに表れているのか、はたまた別な理由があるのか。

もっとも男性同性愛も作中での描かれ方は、あくまでも史実またはエピソードのひとつといった形に留まりますが(物語のメインではない)。
共に女性が演じる男役と女役とで成り立つ宝塚の舞台において、同性間の愛を描くことはなかなか難しいことのようです。

* * *

さて、ラファエラがエリザヴェッタに対して抱く想いは一体どのようなものなのか?
窺い知ることは難しいですね。
だからこそ、深く知りたい、彼女の心に分け入ってみたいと思わせる。
『グランドホテル』の登場人物の中で、強く興味を惹かれるキャラクターです。
また、どのような女性像を組み立てていくか、最も演じ甲斐のある役であるとも言えます。

異性(と言うかエリザヴェッタ以外の人間)を寄せつけないように見えるラファエラ。
22年もの間、エリザヴェッタの一番近くで、最も深く長い愛を彼女に捧げたラファエラ。
その愛の形は一体どのようなものなのか?

偉大なバレリーナへの敬愛と崇拝の念が、やがてエリザヴェッタ本人への愛に変容したのか。
今以上に強い精神的な結びつきが得られれば満足するのか。
肉体的にも結ばれたいと願う、性愛を伴ったものであるのか。

仮にラファエラが非性愛者(他者に恋愛感情を抱くが性的衝動は抱かない)である場合を除き、愛する人と性的関係を望むことは自然と思いますが、その場合ラファエラのエリザヴェッタへの愛はフィリアではなくエロスとなります。
しかし、このエロスは単に“性愛”としての意味ではなく、自己に欠けているものを相手に求める愛(プラトンのエロスの愛)だと考えられます。

22年間、ラファエラの心を捉えて離さなかったものは何なのか。
ちゃぴ(愛希れいか)エリザヴェッタから感じられたのは、輝くような無垢でした。
これはひとりの人間が生涯かけて欲するに値するものでしょう。

“人生の嵐から守り続けた 愛しい人 行きましょう”
“見つけましょう 平和と安らぎを 二人だけの丘の上”
ラファエラの歌う『Twenty-Two Years~Villa On A Hill』からは、愛する人を守りたい、自分以外の他者や世間の垢で穢したくない、自分の腕の中に収めて離したくない。
様々な想いが読み取れます。

同じ性であるがゆえに遂げられない想いを抱え、愛する人が自分以外の他者に向ける愛の視線を傍観し続ける。
これは耐え難いものであったでしょう。
この苦しみが彼女から表情を奪ったのか、ラファエラは一見感情の起伏が乏しいように見えます。
唯一彼女が生の感情を覗かせるのは「私は強くもなければ賢くもない…」の独白です。

強くもなく賢くもない自分が愛する人を守るためにできることは何か?
いざという時、エリザヴェッタの生活を支えられるだけの金を貯めること、これもまた現実的に正しいひとつの愛の表現ですね。
ラファエラは銅貨をちびちび貯めたのではありません。
給金すべてをつぎ込んだのです(運用もしていたかもしれない)。
お金だけではありません。
心も時間も労働も、彼女が持てる全部をエリザヴェッタに捧げてきたのです。

これだけの情熱を注いで、ラファエラはエリザヴェッタに見返りを期待していたと思いますか?
エリザヴェッタの無垢が自分だけのものになること。
自分がエリザヴェッタに向けるのと同じ愛を返してもらうこと。

ラファエラの幸福とは何でしょう。
丘の上のヴィラでの生活でしょうか?
そんな桃源郷を夢見て、長い年月をエリザヴェッタの側で過ごしたのでしょうか。

思うに、どこまで歩いてもそんな夢の街にたどり着けないことはラファエラ自身がよく知っていたのではないかと思います。
エリザヴェッタと親友以上の関係になれることは決して無い。
では、エリザヴェッタへの想いをどのように収めるのか。

ひとつの手段として、見返りを求めない無条件の愛、いわゆる無償の愛(アガペー)へと昇華させる。
花組公演『金色の砂漠』の登場人物、ジャーとビルマーヤの愛もエロスからストルゲーに変化しましたね。
愛は一定ではなく移ろうものである。
これは私たちにも理解しやすい心の動きです。

エリザヴェッタが誰かを愛するならば、その相手を愛するエリザヴェッタをまるごと愛する。
エリザヴェッタにとって最も幸せであるように力を尽くす。
「マダムが幸せなら、私も幸せ」という境地でしょうか。
これは苦しみや忍耐も伴いますが、同時に最も安らぎを得られる愛の形でもあります。
ふたりで暮らすヴィラは実現しなかったとしても、彼女にとって不滅の拠り所となるでしょう。

* * *

冒頭に戻り、もしも娘役がラファエラを演じたらどうなるか考えてみました。
そもそもなぜ男役が演じるのか?
『若手スターに宛てる役が少ないから』以外で浮かぶのは“生々しさの回避”。
若手男役を配することで、(現在の宝塚ではイレギュラーな)女性から女性へ向けられる愛にぼかしをかけたのでしょうか。

描かれるのは女性A(ラファエラ)から女性B(エリザヴェッタ)への愛、しかし女性A=男役であることを観客は知っている(ご存じない方もいらっしゃいますが)。
女性A(本来の性:女性、舞台での性:男性、役柄:女性)、女性B(本来の性:女性、舞台での性:女性、役柄:女性)…混沌としてますねー。
頭の中がぐるぐるします。

個人的に、ラファエラはある程度経験を積んだ娘役が演じるべき役柄だと思います。
なぜなら、彼女もまた22年間エリザヴェッタと等しく年齢を重ねてきた女性だからです。
感覚的には、エリザヴェッタよりわずかに年嵩な感じを受けますが。

スケジュールの都合で役替りは一パターンしか観ていないのですが、ラファエラの第一印象は「若い」でした。
見た目云々ではなく、芝居が若いのです。
ちゃぴちゃんは演技によってエリザヴェッタの年輪を表しましたが、ラファエラには感じられませんでした。
生々しさを除外するため、あえて年齢不詳感を出す手法かもしれませんが、それは不要だと思います。

ラファエラのイメージは蕾のまましおれてしまった薔薇。
想いを閉じ込めて閉じ込めて、花開く時期を逸したように感じられるのです。
どことなく生硬な印象がそう思わせるのでしょうか。

では、誰で観てみたいのか?
すーちゃん(憧花ゆりの)で想像してみました。
かなり人間臭く血の通った女性像が浮かびますね。
“引退間近のバレリーナと彼女に人生を捧げた付き人”の図式にピタッとハマるお芝居を観られそうですが、二人の関係が濃密になりすぎてしまうでしょうか?
余談ですが、おかっぱにチャイナテイストの衣装のすーちゃんは『舞音』のマダム・チャンを思い出させますね。

* * *

エリザヴェッタに魅入られたひとりの人間、ラファエラについて思うことを書き連ねましたが、やはりまだ謎めいたところが残ります。
千秋楽を迎える頃には彼女の心に少しでも近づけるでしょうか?
東京公演で他パターンを観られるので、そこでまた印象が変わると思います。

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プロフィール

野口 留香 noctiluca

Author:野口 留香 noctiluca
宝塚歌劇と共にまもなく30年(ブランクあり)。
月組/星組比重高めの全組観劇派。
美丈夫タイプの生徒さんが好み。
宝塚歌劇観劇記録・考察・思い出話・備忘録などをまとめたブログ。
◇更新情報はこちら◇
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