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珠城りょう×愛希れいかで『雨月物語/浅茅が宿』が観たい【妄想劇場】

珠ちゃぴがコンビを組んだのは7作。
一度は結ばれながらも破局(どちらかまたは双方の死)したのが『激情』『アーサー王伝説』『グランドホテル』の3作。
愛が成就したのが『All for One』『鳳凰伝』『カンパニー』『エリザベート』の4作。

前者の変形として観たい演目があります。
それは「幽霊妻または夫」。
上田秋成の『雨月物語』より『浅茅が宿』を珠ちゃぴで観たかったですね。

* * *

<浅茅が宿>

一攫千金を夢見て京に上った勝四郎。
戦乱に巻き込まれ、ようやく妻・宮木の待つ家に帰ったのは七年後。
一夜明けてみると、昨夜、勝四郎を迎えたのは妻の亡霊であった。

“さりともと思ふ心にはかられて世にもけふまでいける命か”
ところどころかすれて読めなくなった、妻が遺した歌を読み、涙にむせぶ勝四郎。


勝四郎=珠様(珠城)、宮木=ちゃぴちゃん(愛希)。
ちゃぴちゃんのご卒業により叶わぬ夢となりましたが。

「幽霊妻」の物語は古今東西ありますね。
帰らぬ夫を信じ、待って待って待ち続け、この世の者でなくなってもなお、待ち続ける妻。

『浅茅が宿』の宮木もそのひとり。
荒れ果てた家で独りぼっち、狐やふくろうを友にして、ただ待っていた。
「[さりともと…]夫はきっと帰って来ると自分に言い聞かせ、今日まで生きながらえ待ち続けたこの身の愛しいことよ」

今更ながらに妻の深い愛を知り、泣き崩れる勝四郎。
だが、時すでに遅し。
妻はもういない。

* * *

キュートなルックス、三拍子揃った実力が魅力のちゃぴちゃん。
なかでも心惹かれるのはお芝居です。

時に、宝塚の娘役の枠をはみ出すような多彩な役を演じこなしてきたちゃぴちゃん。
彼女の演技に注目したのは『NOBUNAGA』の信長の正妻、帰蝶が最初でした。
あの役で、ちゃぴちゃんの魅力に目覚めたと言っても過言ではありません。

短く細切れの登場シーンながら、きちんと一人の女性の生涯を描き出す。
素晴らしいお芝居でした。
その後もグィネヴィア、エリザヴェッタ、おしま…幾多の女性を演じてきましたが、帰蝶には特別な思いがあります。

帰蝶も帰らぬ夫をひたすら待ち続けた女性です。
かつて夫と駆けた野に、愛馬を放つシーンは心に染みました。

『浅茅が宿』の一番恐ろしいところは「今は長き恨みもはればれとなりぬることの喜しく侍り。逢ふを待つ間に恋死なんは人しらぬ恨みなるべし」。
ようやく会えた今は、長い間の恨みもすっかり晴れて嬉しく思います。
会うのを待つうちに焦がれ死にしてしまったら、あなたに私の心が分かってもらえず、さぞ口惜しいことでしょう。

「私はずっと待っていた」
そのことを、あなたにはしかと知っておいてもらいたい。
あなたが私を忘れ、都でふわふわ遊び暮らしていたときも、私はひとときもあなたを忘れず、ひたすら待ち続けた。

これは怖いですね。
純粋に夫を愛し、待ち焦がれていた気持ちがいつしか別の感情にすり替わっていく。
戦乱の世、女一人で家を守り抜くことの難しさ。
そんな事情もあったでしょう。

しかし一方、霊魂になってからでも、夫の顔を見たら長年の恨みが消え、愛が甦った。
自分の真心、誠実をしかと伝えられた。
宮木の魂は安らげたことでしょう。

そして、勝四郎の心から宮木の面影は決して消えることはない。

帰蝶を演じてから2年。
一段と力を増したちゃぴちゃんなら一歩踏み込んだ宮木の情念を演じてくれたのではないかと思います。

※参照 改訂 雨月物語 現代語訳付き/上田秋成著[鵜月洋訳注]/角川ソフィア文庫 ISBN:9784044011024

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多面体の魅力、珠城トートのカッコいいところ(ほんの一部)│エリザベート

珠城トートの魅力は、パワフル!マッチョ!セクシー!クール!
男性的な力強さと女性的な柔らかさが両立した「カッコいい」の多面体なのです。

好きなシーンは沢山ありますが、最も「珠様ーーー!!!」となるのは「運動の間」。

ドクターゼーブルガーが正体を現すシーンが衝撃すぎて!
突如、エリザベートが横たわる長椅子に飛び乗る閣下。
勢いよくコートを脱ぎ捨てる姿がワイルド!セクシー!
(「裏地もお揃いだよ!」と見せつけられてる気がしなくもない)

この赤紫のシャツ姿が一番好きですね。
ぬめるようなサテンシャツと、しっとりした革パンツ。
珠様には艶っぽい素材がよく似合います。

広い肩幅、厚い胸板、引き締まったウエストから腰回り、長い脚。
珠様の逆三角形スタイルを堪能できるコスチュームです。

みやさん(美弥るりか)もトートの「シャツいち」がお好きだそうですが…
奇遇です、私もです。

コートを滑り落とした後、後れ毛を一房、指でピッと払って胸の前に持ってくる仕草が素敵。
MY初日に観て、ときめきました!
毎回やってらっしゃるので意図的な動作なのですね。

あの仕草に込められた意味を知ってから、ますます好きになりました。
男役として美しくあるための細やかな心配り。
さりげない工夫の積み重ねが、私たちに夢を与えてくれるのですね。

ふと、元星組トップスターのシメさん(紫苑ゆう)を思い出しました。
「華奢な首筋は“女性”を感じさせてしまうから、(ファンの夢を壊さないため)夏でもハイネックを選ぶ」
首元までフリルで覆われたブラウス、細身のパンツ、膝上までの真っ白なスターブーツ。
私服でも王子様ファッションを貫いてらしたシメさん。
いかにも宝塚のスター然として素敵でした。

珠様とシメさんは持ち味も芸風も違い、一見共通点は少ないようですが、男役の美学を追求する姿勢は同じですね。

* * *

珠様の手の演技も見どころ。
大きくて、しなやかで、表情豊かな手。

シシィのタンス(?)から、ぬる~~~んと出てくる白い手。
気づけばいつの間にか舞台にいる神出鬼没な閣下ですが、音もなく指先から現れるこのシーンの妖しさは格別。

タンスの中に黄泉平坂ポイントがあるのでしょうか?
のび太くんの机の引き出しみたいな異次元との境目?

* * *

そして、フィナーレ。
「最後のダンス」は珠ちゃぴのラストダンスと思うと感慨深いですね。
力強く対峙する関係性が透けて見えて好きです。
これが最後とばかりにブンブン回すリフトも凄い。

ときに温かく、ときに優しく、ときに激しい愛憎をぶつけ合う珠ちゃぴのデュエットダンス。
息ぴったり、高い身体能力を誇るふたりのダンスは月組観劇の楽しみのひとつ。

淑女に囲まれて踊る「私が踊る時」で、次期相手役の美園さくらちゃんと組むのは粋な計らい。
珠さくコンビならではのデュエットの形を作り上げていくのも楽しみですね。

デュエットダンスの導入部、大階段センターでダイナミックに腰をグラインドする珠様はカッコよすぎて永遠に観ていられます。

銀橋を渡るとき、ちらりと冷たい一瞥をくださるのが最高!
普段の温かく包み込むような視線も素敵ですが、トートが乗り移った冷ややかな目の色もたまりません。
目が合うと時間が止まったような錯覚に陥ります。
もしかして一瞬魂を抜かれているのかもしれません。

* * *

これまで『エリザベート』とはご縁が薄く、その魅力に触れる機会が少なかった私。
しかし月組のおかげで、宝塚ファンの皆さまが惹きつけられる『エリザベート』の生の面白さを存分に味わうことができました。
登場人物の心情をなぞるメロディ、練り上げられたストーリー、舞台を覆う張り詰めた空気、すべてが素晴らしい。

特に今回は前方席で観る機会が多く、その魅力を肌で感じることができました。
幾重にも重なり、押し寄せる音の壁。
マイクを通さない生の声の迫力。
飢えてミルクを求める民衆たちの腕が、目の前まで伸びて来るシーンは、本当に掴みかかられそうで怖いくらい。

フィナーレの歌手でせり上がってくるみやさん(美弥るりか)のスターの輝き。
死の淵から蘇り、私の人生は私だけのものと高らかに宣言するちゃぴちゃん(愛希れいか)の凛とした美しさ。
そして、人ならざるものという新しい扉を開いた珠様の圧倒的存在感。

『エリザベート』の魅力、月組子の魅力、両方を堪能できて幸せでした。

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『エリザベート』最大の謎!トートとシシィはどこへ向かうのか?

宝塚版『エリザベート』に関する3つの疑問。
(1)「黄泉の国」とはどこか?
(2)「トート」とはなにものか?
(3)トートとエリザベートはどこへ行くのか?

最終章は、(3)トートとエリザベートはどこへ行くのか?について。

* * *

(3)トートとエリザベートはどこへ向かうのか?

『エリザベート』のラストシーン。
スモークの流れる純白の世界。
現世のしがらみから解き放たれ、身ひとつで佇むシシィ(エリザベート)。

黄泉路の入り口でシシィを待ち受けるトート。
真っ直ぐにトートの胸へ飛び込むシシィ。
固く抱き合ったまま、光の階段を上昇するふたり。

ん?
なんだか違和感。
「死」が天へ昇っているように見える?

シシィが天に迎えられるのならば分かるのです。
人間ですから。

では、トート(死)はどこへ向かおうとしているのか?
トートとシシィが昇る光の階段はどこにつながっている?

このラストシーンはどう受け止めればよいのでしょうか?

* * *

エリザベートマニアの連れ合いに、最後の場面をどう捉えるか訊いてみました。
返ってきた答えは「そこは突っ込まない!」。
…でも気になる。

手持ちの材料のみでラストシーンを紐解くとすれば、これは「シシィの心象風景」でしょう。

擬人化された「死」、トート。
前回、ギリシャの神々とトートの関係について書きましたが、こちらに寄せて考えれば「シシィとの恋愛の成就」。
かたや、トート(死)はあくまでもシシィの心が生み出した幻影であるとすれば「シシィの魂の救済」。

生涯、自由と安息を求め続けたシシィにとって、「死」の腕に抱かれるとはどういうことか?
「涙 笑い 悲しみ 苦しみ 長い旅路の果てに」
生きて、生きて、生き抜いた末に見た「死」の姿。
シシィの目には永遠の安らぎと映ったでしょうか?

* * *

「死」とは何か?
私には分かりません。
未だ生を知らず、いずくんぞ死を知らん。

死後の世界を知る者が、この世に誰ひとりいない限り、その描き方は自由。
そして、どう受け止めるかも自由。

ラストシーンは、「トートとシシィの恋愛成就」と「シシィの魂の救済」の折衷でしょう。
これを演劇的に宝塚的に美しくまとめた結果が、光の階段を上昇していくふたりの姿となった。
結果、あろうことか「トート」が天へ昇っているように見えてしまうのですが。

一般に「光の階段」といえば天に続くものです。
しかし、「黄泉」が光あふれる世界であってはならない理由はありません。
先入観として、「黄泉」「冥界」は薄暗く陰気なイメージですが…

トートは「今こそ お前を 黄泉の世界へ迎えよう」と歌い、シシィは「連れて行って 闇の彼方 遠く 自由な魂 安らげる場所へ」と返す。
それならば、シシィにとって安息の地が、闇の彼方のまばゆい世界として描かれても何ら不思議はありません。

演出の記号として、「白い服をまとった登場人物」「ホリゾントいっぱいに流れるスモーク」「光の階段」とくれば、「天に昇った人」「天上界」を指します。

しかし、たとえ「黄泉の国」へ行くとはいえ、トップコンビが「真っ黒い服」で「暗闇」にせり下がっていくのでは、スカッとしません。
ここはどうしたって、荘厳なコーラスを浴び、白い服で光の階段を昇るふたりを見なければ、観客はカタルシスを得られませんね。

よって、トートとシシィの行く先は、シシィにとっての安らぎの世界、光り輝く「黄泉の国」であると結論します。

* * *

これで、宝塚版『エリザベート』に関する3つの疑問(1.「黄泉の国」はどこか? 2.「トート」の正体 3.トートとエリザベートの行く先)の答えはすべて出揃いました。
長らくお付き合いくださり、ありがとうございました。

『エリザベート』の世界をより深く知るため、次はこちらを読んでみたいと思います。
エリザベート 愛と死の輪舞/M・クンツェ、小池修一郎著/角川文庫/ISBN:9784043445011

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「トート(死)」とはなにものか?-珠城トートとギリシャの神々│エリザベート

宝塚版『エリザベート』に関する3つの疑問。
(1)「黄泉の国」とはどこか?
(2)「トート」とはなにものか?
(3)トートとエリザベートはどこへ行くのか?

今回は(2)の「トート」とはなにものか?について書きます。

* * *

(2)「トート」とはなにものか?

今まで10人のトップスターが演じた宝塚版トート。
通常の作品と違い、概念である「死」の役には実体と生活を伴う「人間」には当然備わっているべき情報が一切ありません。
(トートの役作りについて、詳しくはこちら→「父なるトート、母なるトート」圧倒的な力強さと包容力を併せ持つ珠城トート│エリザベート
つまり、いかようにも作り込むことができる。
演じ手の解釈により十死十色のトートが生まれます。

観客も「私は○○さんのトートが好き」。
好みの差こそあれ、優劣・正誤はありません。
ちなみに私は(映像で観たのみの)一路トートの在り方が一番好みです。

「どのトートが好きか」は、その方にとっての「“トート”とはなにものか」の答えでもあります。

今回の月組『エリザベート』のトート(珠城りょう)から受けた印象は「シシィの魂の伴侶」でした。
(詳しくはこちら→珠城りょう×愛希れいか、魂を分け合ったトートとシシィ│エリザベート

それはさておき、観劇しながら絶えず頭の中に浮かんでは消える思いがありました。
すなわち、「“トート”とはなにものか?」

宝塚の舞台で「死」の概念そのものを主役に据えることはできません。
(少なくとも大劇場公演では。バウホールなら可能かも)
したがって、便宜的に「トート」にヒトの形を与えた。

では、トートはどこまで「人間」に近づけてよいものなのか?

超自然的な「死」が、たったひとりの人間に心乱される図が不思議で…
「死」が生き生きと(?)「愛(生)」を謳い上げるのが、いまいちピンとこず。

「死」は静かに迫りくるもの、または激しく奪うものというイメージから抜け出せなかったのですね。
「死」は人間と親しいものではなく、超越するものである。

結局、私がトートという役に対し抱えていた長年のわだかまりは、ここに尽きるように思います。
違和感の一番の原因はトートの「人間らしい感情、ぬくもり」だったのです。

もちろん、トートを演じる生徒さんの熱演は素晴らしい、楽曲も最高、無駄のない筋運びは面白い。
しかし、トートをどう捉えればよいのか自分の中で迷いがあったのです。
作品そのものは楽しみつつも、なんとなく釈然としないまま『エリザベート』の舞台を観ていた私。

* * *

前回の記事で「“黄泉の国”はどこか」と考える内に、もうひとつの考えがひらめきました。

キーワードは、ギリシャ神話。
『新約聖書』の中の「ハデス」という言葉が「黄泉」と訳される場合がある。
「ハデス」はギリシャ神話の冥界神ハデスに由来するものである。
このことから新たな連想が働いたのです。

ご存じの通り、神話の神々はとても人間臭いですね。
(一部の神に限った話ですが)わがまま、嫉妬深い、好色、怒りっぽい、理不尽…
人間の女に横恋慕して騒動を巻き起こしたりして。
子どもの頃は「これが神様??」と思いつつ、児童向けの本を読み進めたものです。

神話の神々は何かに似ています。
そう、トートです。

『エリザベート』における「死(トート)」の在り方に対する疑問が氷解したのは、このとき。
ハデス神がトートに近しいものであった場合、宝塚版『エリザベート』のトートの人間臭さは納得がいく、と。
(ハデスは冥界を統べる神であって、「死」そのものではありませんが)

人間の女(エリザベート)に魅入られたトートが、彼女を手に入れるため積極的に人間界に関与する。
であれば、トートは若々しい美青年の姿をし、感情を露わに人間に迫ってもよいのです。

ギリシャ神話でいえば「レダと白鳥」「エウロペと牡牛」のように、超自然的な存在が姿を変えて人間と恋をする。
そうか、こういう観方をすればよいのか、と腑に落ちました。

さらに進んで、こんな考えもできます。
全能の神は人間の女に近づくため鳥や動物に姿を変えた。
しかし、『エリザベート』の場合、主体は彼女にある。
トート(死/安息/自由/解放)は、エリザベートが欲したから出現した。
その望む姿で。
であればこそ、トートは恐怖を呼び起こすような死神ルックや獣などの姿ではなく美青年の姿として現れた。

シシィの心に共鳴するトート。
するとやはり、珠城トートと愛希シシィは「分身」「鏡像」であるとの結論に落ち着きますね。

黄泉がどーの、ギリシャ神話がどーの、あちこち回り道をしましたが…
どの道筋を通っても、結局同じゴールにたどり着いたことに我ながら驚いています。

もちろん、結論ありきではなく、思い浮かんだことを芋づる式に引き出したら、最終的に同じところに着地したのですが。
山梨側から登っても、静岡側から登っても、富士の頂上はひとつ、という感じでしょうか。

ともあれ、トートに対する疑問「“トート”とはなにものか?」に決着がついて、すっきりしました。

※(3)トートとエリザベートはどこへ行くのか?に続く。

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「好き」がどんどん育っていく―月組と珠ちゃぴ

『エリザベート』大劇場公演千穐楽おめでとうございます。
月組生揃って、ご無事の楽日を迎えられたこと、心より嬉しく思います。

今日は月初の業務に終われヘトヘトでしたが、劇場やLVへ行かれた皆さまの喜びの声をTwitterで拝見し、疲れが吹き飛びました。
ちゃぴちゃん(愛希れいか)のサヨナラショーでは「Love Can't Happen」が使われたとか。
この情報が目に飛び込んできた瞬間、胸の奥からじわっと幸福が湧き上がってきました。

フェリックスとエリザヴェッタ。
瑞々しく輝く恋の始まり。
大好きなシーンです。

珠ちゃぴコンビが紡ぐ愛の物語。
ときに切なく、ときに激しく、ときに物狂わしく。
しかし最も似合うのはやはり、信頼に裏打ちされた温かな愛情の表現でしょう。

話は逸れますが、このブログに「ブログ内検索とタグクラウド」という項目があります。
(PC版→右カラム、スマホ版→プロフィールの下)
img-20181001_2.jpg
各タグから関連する記事に飛ぶ機能です(上にあるのは画像ですのでリンクされません)。
使用頻度の高いタグほど文字が大きくなる仕様。
オンカーソルで使用回数が出ます。

さて、どのタグが一番使われているのか。
結果は「月組」が断トツで226回。

次は「珠城りょう」で213回。
その次は「愛希れいか」の99回。

珠ちゃぴ!!

2年前、珠様トップ就任直前から始めたこのブログ。
最初は小さかったタグの文字が少しづつ大きくなっていくのと同時に、宝塚への、月組への、珠様への、ちゃぴちゃんへの愛もまた育っていったように思います。

ちなみに、以下「星組」51回、「美弥るりか」45回、「輝月ゆうま」43回、「グランドホテル」42回と続きます。
極めて妥当というか、好みが露骨に反映されすぎて、むしろ怖いくらいですね。

閑話休題。
作品としては『グランドホテル』や『激情』が好きですが、珠ちゃぴの関係に限って言えば『All for One』が一番好きです。

互いに見交わす優しい視線、どちらが先でもなく後でもなく、手を携え、並んで歩く。
ダルタニアンとルイーズ。
あの可愛い恋人たちの姿が、珠ちゃぴというコンビの真骨頂であったように思います。

思えば『All for One』は、あの当時の月組と珠ちゃぴへの書き下ろしなのでした。
ぴったりなのは当然です。

東京公演も、互いへの信頼と敬愛に彩られた、いつもと同じ珠ちゃぴの姿を見せてくださることを楽しみにしております。

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プロフィール

noctiluca(ノクチルカ)

Author:noctiluca(ノクチルカ)
宝塚歌劇と共にまもなく30年(ブランクあり)。
月組/星組比重高めの全組観劇派。
美丈夫タイプの生徒さんが好み。
宝塚歌劇観劇記録・考察・思い出話・備忘録などをまとめたブログ。
◇更新情報はこちら◇
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