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宝塚ビギナーにお勧めしたい作品―老若男女・観劇スタンス・タイプ別Best3

以前Eテレで放送された『俳優祭』で、歌舞伎役者による宝塚パロディの過去映像が映し出されました。

花道に勢揃いする花形役者たち。
『ベルサイユのばら』や『風と共に去りぬ』の登場人物に交じり、見覚えのある銀髪の御方が。
黄泉の帝王、トート閣下ではありませんか!

賑々しい一団に囲まれ、居心地の悪そうな閣下。
日頃の神秘性も何もあったもんじゃありません。
少々気の毒に思いながらも、妙な可笑しさが込み上げてきました。

2004年に行われた『滑稽俄安宅珍関(おどけにわかあたかのちんせき)』の一部です。
福助のオスカル、弥十郎のバトラー、扇雀のスカーレット。
そして、閣下を演じるのは高麗蔵。
今をときめく、獅童、勘太郎、七之助、松也、新悟は氣志團のパロディをやらされやってます。

いつも真摯に舞台を務めているからこそ、たまのイベントでおおいに弾ける
年に一度のお祭り騒ぎ『タカラヅカスペシャル』と一緒ですね。

↓なかなか強烈です(ページの一番下)。
公益社団法人 日本俳優協会│第三十三回 平成16年4月27日(火) 歌舞伎座

初心者ホイホイとしての『ベルサイユのばら』の威力


『俳優祭』を観て思いましたが、もしかして世間様の宝塚に対するイメージって、いまだに『ベルばら』『風共』なのでしょうか

たしかに「一回、宝塚を観てみたい」と言う方は、たいがい「ベルばらとか」と仰います。
(ベルばらかぁ… ←私の心の声)

『ベルばら』が悪いのではありませんが、もうちょっとこう…
宝塚ってもっとバラエティに富んだ演目をやっているのよ~~と言いたくなりますね。

もっとも私を含め、初宝塚が『ベルばら』という人は多いので、初心者ホイホイとしての『ベルばら』の威力は侮れませんね。
魅惑の男装の麗人、情熱の恋、ドラマティックなフランス革命、きらびやかな輪っかのドレス、夢々しいセット、一度聴いたら忘れられないメロディ…

コッテコテの非現実感は、まさに「ザ☆タカラヅカ!」。
全国ツアー公演で初めて『ベルサイユのばら』を観た友人もすっかりハマりましたので、その影響力は絶大です。

宝塚ビギナーにお勧めしたい作品:老若男女タイプ別Best3


世間様の宝塚に対するイメージをアップデートするべく、草の根活動を繰り広げる私。
『ベルばら』『風共』『エリザベート』以外で、初めての方にお勧めしたい演目を考えてみました。
(宝塚ファンは皆さま同じことをされてますよね?)

とはいえ、膨大な過去作品から選び出すのも至難の業。
観劇に対する相手のスタンスによって、おおまかに4タイプに分けてみました。
※作品名にリンクがあるものは関連記事に飛べます。

A)歌舞伎・文楽・落語などを好む70代男性(実父)
1. 心中・恋の大和路
2. 銀二貫
3. 阿弖流為

B)可愛い・綺麗・ロマンティックが大好きな40代男性(友人)
1. うたかたの恋
2. TOP HAT
3. BEAUTIFUL GARDEN―百花繚乱―

C)ディープな演劇マニアだけど宝塚未体験の40代女性(友人)
1. 蘭陵王
2. 不滅の棘
3. 20世紀号に乗って

D)観劇デビューの10代前半女子(友人の娘)
1. All for One
2. 月雲の皇子
3. ANOTHER WORLD

大切な方に紹介する宝塚、どんな作品を選びますか?


Aは歌舞伎や文楽でもおなじみのテーマで取っつきやすく。
Bは宝塚が醸す「美と愛と夢」の世界を満喫できるように。
Cは芝居らしい芝居と、宝塚の技術の高さを堪能できる作品を。
Dは単純に楽しめるエンタメと、演劇の力をダイレクトに味わえる物語を。

身近な人に当てはめながら考えると、より具体的に演目が浮かんで楽しいですね。
大切な方にご紹介する宝塚、皆さまならどんな作品を選ばれますか?

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キャスト個別感想(美弥/輝月/暁/風間/結愛)│エリザベート

気づけば、国立科学博物館リピーターズパスの有効期限が切れてました。
今年はヅカ活動に熱心すぎて2~3回しか使わなかったのですよね。
もったいないので、ご贔屓の卒業までは年パスのたぐいは買い控えようかな。
と言いつつ、トート閣下のお迎えが来るまでずっと宝塚ファンで居続けそうなので、年パスとはご縁がないままかもしれません。

むしろ、宝塚の年パスが欲しいですね。
野球みたいに年間シートがあったらいいのに。

* * *

○フランツ・ヨーゼフ(美弥るりか)
元々フランツ贔屓な私ですが、血の通ったフランツ像で、登場第一声からドーンと引き込まれます!
特に好きなのが、この2曲。
「エリザベート ―愛のテーマ―(扉を開けてくれの歌)」と「夜のボート」。

ハプスブルクの屋台骨を一身に背負い、疲れ果てたフランツ。
ほんのわずか妻のぬくもりを求めるも、得られない。
涙なしには観られないシーンです。

思えば、珠様(珠城りょう)と、みやさん(美弥)が、ちゃぴちゃん(愛希れいか)を巡って争う関係って今回が初めてでしょうか?
霊廟の最終答弁は双方一歩も引かず、見応え充分。
『夢現無双』の武蔵VS小次郎が俄然楽しみになってきました!

○マックス公爵(輝月ゆうま)
シシィが憧れる自由の象徴であり、懐深く愛情深い父親であり。
シシィの人格形成に大きな影響を与えた人物。
温かな持ち味、芝居巧者なまゆぽん(輝月)の起用は的確でした。

娘の相手をしながら、髪やヒゲをちょいちょい整える姿がカッコ可愛いというか、色っぽいというか。
現役感もありつつ、娘への愛情を感じさせる優しいマックスパパ。

娘の結婚を憂える父親の顔を覗かせる「結婚式」のシーン。
歌声の刃で斬り合うようなゾフィーとの掛け合いは聴き応え十分。

太く、温かく、安定した歌声。
歌唱力は折り紙付き。
エリザベートマニアの連れ合い曰く、「歴代のマックスで一番しっかり低音が出てる」そうです。

○ルドルフ(暁千星)
不安定で、壊れそうなルドルフ。
センシティブでエキセントリックな母エリザベートの息子であり、ひとりぽっちの寂しがりやだった少年ルドルフ(蘭世惠翔)の成れの果てという確かな説得力がありました。
革命の幻想に囚われ、死神に付け入られ、自ら引き金を引く。
痛々しくて、観ているのが辛くなるようなルドルフでした。

○ルドルフ(風間柚乃)
舞台に現れた瞬間、圧倒的なオーラに呑み込まれそうになりました。
「目を引く」なんてものではありません。
「華がある」とは、このことかと唸らせる存在感。

短い登場シーンながら、野望に燃える青年の高揚と絶望をしっかり描き出し、舞台に奥行きを与えました。
堂々たる芝居、安定した歌声、気品ある顔立ち、がっしりみっちりした体つき。
文句なしの素晴らしいスターさん。

役替りは役者のアプローチの違いを観るのも楽しいですが、一部の変更が舞台全体にもたらす変化を感じるのも楽しいですね。
暁ルドルフの回は繊細で透明な悲しみが勝り、風間ルドルフの回は重苦しく無残な痛みが増したように思います。

○結愛かれん
エリザベートの親戚の女の子。
マダム・ヴォルフのコレクションの娼婦マリー。
どこにいても目を引く可愛らしさ。
とろけそうな甘い笑顔。
宝塚の娘役さんには希少な小悪魔タイプ。
彼女の個性が活きる役をもっと観たいです。
『ON THE TOWN』ではチップ(暁)かオジー(風間)どちらかの恋人役だったら嬉しいですね。

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多面体の魅力、珠城トートのカッコいいところ(ほんの一部)│エリザベート

珠城トートの魅力は、パワフル!マッチョ!セクシー!クール!
男性的な力強さと女性的な柔らかさが両立した「カッコいい」の多面体なのです。

好きなシーンは沢山ありますが、最も「珠様ーーー!!!」となるのは「運動の間」。

ドクターゼーブルガーが正体を現すシーンが衝撃すぎて!
突如、エリザベートが横たわる長椅子に飛び乗る閣下。
勢いよくコートを脱ぎ捨てる姿がワイルド!セクシー!
(「裏地もお揃いだよ!」と見せつけられてる気がしなくもない)

この赤紫のシャツ姿が一番好きですね。
ぬめるようなサテンシャツと、しっとりした革パンツ。
珠様には艶っぽい素材がよく似合います。

広い肩幅、厚い胸板、引き締まったウエストから腰回り、長い脚。
珠様の逆三角形スタイルを堪能できるコスチュームです。

みやさん(美弥るりか)もトートの「シャツいち」がお好きだそうですが…
奇遇です、私もです。

コートを滑り落とした後、後れ毛を一房、指でピッと払って胸の前に持ってくる仕草が素敵。
MY初日に観て、ときめきました!
毎回やってらっしゃるので意図的な動作なのですね。

あの仕草に込められた意味を知ってから、ますます好きになりました。
男役として美しくあるための細やかな心配り。
さりげない工夫の積み重ねが、私たちに夢を与えてくれるのですね。

ふと、元星組トップスターのシメさん(紫苑ゆう)を思い出しました。
「華奢な首筋は“女性”を感じさせてしまうから、(ファンの夢を壊さないため)夏でもハイネックを選ぶ」
首元までフリルで覆われたブラウス、細身のパンツ、膝上までの真っ白なスターブーツ。
私服でも王子様ファッションを貫いてらしたシメさん。
いかにも宝塚のスター然として素敵でした。

珠様とシメさんは持ち味も芸風も違い、一見共通点は少ないようですが、男役の美学を追求する姿勢は同じですね。

* * *

珠様の手の演技も見どころ。
大きくて、しなやかで、表情豊かな手。

シシィのタンス(?)から、ぬる~~~んと出てくる白い手。
気づけばいつの間にか舞台にいる神出鬼没な閣下ですが、音もなく指先から現れるこのシーンの妖しさは格別。

タンスの中に黄泉平坂ポイントがあるのでしょうか?
のび太くんの机の引き出しみたいな異次元との境目?

* * *

そして、フィナーレ。
「最後のダンス」は珠ちゃぴのラストダンスと思うと感慨深いですね。
力強く対峙する関係性が透けて見えて好きです。
これが最後とばかりにブンブン回すリフトも凄い。

ときに温かく、ときに優しく、ときに激しい愛憎をぶつけ合う珠ちゃぴのデュエットダンス。
息ぴったり、高い身体能力を誇るふたりのダンスは月組観劇の楽しみのひとつ。

淑女に囲まれて踊る「私が踊る時」で、次期相手役の美園さくらちゃんと組むのは粋な計らい。
珠さくコンビならではのデュエットの形を作り上げていくのも楽しみですね。

デュエットダンスの導入部、大階段センターでダイナミックに腰をグラインドする珠様はカッコよすぎて永遠に観ていられます。

銀橋を渡るとき、ちらりと冷たい一瞥をくださるのが最高!
普段の温かく包み込むような視線も素敵ですが、トートが乗り移った冷ややかな目の色もたまりません。
目が合うと時間が止まったような錯覚に陥ります。
もしかして一瞬魂を抜かれているのかもしれません。

* * *

これまで『エリザベート』とはご縁が薄く、その魅力に触れる機会が少なかった私。
しかし月組のおかげで、宝塚ファンの皆さまが惹きつけられる『エリザベート』の生の面白さを存分に味わうことができました。
登場人物の心情をなぞるメロディ、練り上げられたストーリー、舞台を覆う張り詰めた空気、すべてが素晴らしい。

特に今回は前方席で観る機会が多く、その魅力を肌で感じることができました。
幾重にも重なり、押し寄せる音の壁。
マイクを通さない生の声の迫力。
飢えてミルクを求める民衆たちの腕が、目の前まで伸びて来るシーンは、本当に掴みかかられそうで怖いくらい。

フィナーレの歌手でせり上がってくるみやさん(美弥るりか)のスターの輝き。
死の淵から蘇り、私の人生は私だけのものと高らかに宣言するちゃぴちゃん(愛希れいか)の凛とした美しさ。
そして、人ならざるものという新しい扉を開いた珠様の圧倒的存在感。

『エリザベート』の魅力、月組子の魅力、両方を堪能できて幸せでした。

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「新しい珠城りょう」の出現│エリザベート

まもなく大千穐楽を迎える月組『エリザベート』。
初日明けてすぐの土曜日、幕が開いたときのただならぬ緊迫感は鮮明に覚えています。
「『エリザベート』とは、こんなにも演者に緊張を強いる演目なのか」と。

一分の隙もなく張り巡らせた糸。
わずかでも触れれば、ぷつりと切れてしまう。

息をするのもはばかられる静けさの中で、ゆるゆるとトートが歌い始めます。
珠城トートはどんなアプローチで攻めてくるのか?
どきどきしながら待つ私の前に意外な姿が現れました。

一音一音、慎重に当ててくるような歌い方。
作品の持ち味と相まり、厳粛な雰囲気をもたらします。

繊細なガラス細工のようでありながら、重厚な奥行きを感じる舞台。
登場人物の心情に沿うメロディー。
BGMであり、セリフであり、ときには装置にもなる、楽曲が果たす役割の大きさ。
つくづくよく出来た演目です。

* * *

翌週、風間ルドルフを観に、再び大劇場へ。
幕開きで感じたのは「こなれ感」。
演者が作品世界に馴染んでる。
月組の『エリザベート』に血が通い、舞台が生き生きと動き出した。

なによりも珠城トートの変化に驚きました。
トートがものすごく大きく見える!
舞台を覆うほどの存在感は、回数を重ね「珠城りょうのトート」が確立された自信の表れでしょうか?
トートを自分のものにし、トートとして生きている。
そんな印象を受けました。

* * *

シシィへの恋に身を焦がす若き黄泉の帝王。
氷の中に燃え立つ炎。
トートの姿に「私の知ってる珠城りょう」が感じられず、それが新鮮でした。
今までと違う「新しい珠城りょう」の出現。

様々な役を演じてこられた珠様ですが、まだこんな顔も持ってらしたのかと。
珠様本来の男役のバリエーションにあったのか、それともトートによって新たな一面が引き出されたのか。

「死」そのものであるトートを演じた経験が、「死」と背中合わせの剣豪宮本武蔵を演じるのに、どのように活きてくるのか。
次回作『夢現無双』が一段と楽しみになりました。

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選ばれし者、月城ルキーニ│エリザベート

月城ルキーニの第一印象は「確信犯」。

彼は信念に基づき、エリザベートを刺した。
本人が「正しい」と信じて犯した罪は、果たして「罪」と呼べるのか?

皇后暗殺は、ルキーニにとって必要で、正当な、なすべき行為だった。
トートの意思を汲み、黄泉の帝王の代弁者として、粛々となすべきことをなしただけ。
月城ルキーニの姿からは、そんな印象を受けました。

「狂人」と評されるルキーニ。
異常をきたした精神状態を「狂気」と言うならば、月城ルキーニは一貫して理性的ですので、狂人には当たらないでしょう。

己の行いに一片の疑いも抱かぬ彼の心は、いつだって澄みきった泉のように静かなはず。

きらきら輝く、れいこさん(月城)の瞳。
とりわけ白目は青く透き通って見えるほど。

なぜ彼の瞳は、こんなにも綺麗に澄んでいるのか?
「目は心の窓」と言いますが、濁りのない彼の心を映し出すようです。

* * *

「狂気」とはなにか?
「己を制御できない精神の状態」であれば、これは違います。
ルキーニは終始、冷静沈着です。

しかし一転、トートから凶器を受け取るときの歓喜。
ここが月城ルキーニの最大にして最高の見せ場です。

ナイフを押しいただきながら浮かべる一瞬の恍惚、とろけるような愉悦の表情。
エリザベートの生命を奪うことは、人智を超えた存在(トート)との対話で得た、彼の使命なのです。

「ルイジよ、行って、おまえのなすべきことをなせ」

天啓を授かった者の厳かな喜び。
ルキーニの心に芽生えた「選ばれし者の誇りと万能感」が、輝く光となって観客の心を照らす。

大きなアクションがあるわけではない、狂気の叫びを上げるわけではない。
しかし、ルキーニの心に生じた変化を、余すところなく伝えるれいこさんの芝居に戦慄しました。

* * *

レマン湖のほとりで起きた皇后暗殺事件は、ルキーニにとって聖なる儀式だったのです。

トート閣下の偉大なる愛の成就に手を貸す人間。
それこそが、選ばれし者の証。
ちっぽけな自分を認め、役割を与えてくれたトート閣下。
崇拝と妄信がルキーニの行動原理となったことは疑いようもありません。

エリザベートはトートへの生贄であり、ルキーニは神壇に供物を捧げる敬虔な信者なのです。

* * *

ミュージカル『エリザベート』でルイジ・ルキーニが果たす役割はなんでしょう?
ストーリーテラーであり、登場人物のひとりであり。

とりわけ重要なのが、狂言回しとしての働き。
彼の先導で物語が進みますので、まずは登場一番で客席の心を掴まねばなりません。
舞台と客席をつなぐ架け橋として、作品世界から一歩踏み出し、観客に語りかけるメタ的存在でもあります。

自由自在に時空を旅するルキーニ。
少女時代のシシィの前でも、ウィーンのカフェでも、レマン湖のほとりでも、常に変わらぬ姿で現れる彼。
明らかに他の登場人物とは異なる存在です。

毎夜繰り返される煉獄での裁判は、プロメテウスの刑罰を思わせます。
神の火を盗み、人間に与えた罰として、生きながら大鷲に肝臓をついばまれるプロメテウス。
不死の身ゆえ、毎夜再生する肝臓。
朝が来ればまた食われ、無限の苦しみを味わう。

オーストリア=ハンガリー帝国がとっくに滅び去った後も続く裁判。
「毎晩毎晩同じことの繰り返し」と嘆くルキーニは、煉獄で永遠の苦しみを味わうのです。

ルキーニの呼び出しに応じ、姿を現す黄泉の帝王。
そして、舞台は南ドイツへ。
『エリザベート』の物語はルキーニの回想なのです。
だから、彼の姿は変わらない。

面白いのは回想の中に、彼自身がちょいちょい首を突っ込むこと。
バート・イシュルでは、やがて彼が命を奪うことになる少女シシィの荷物を運び、親しく言葉を交わす。
もしもあそこでオレンジが転がらなかったら、フランツ・ヨーゼフがシシィを選ぶことはなかったかもしれない。

ハプスブルク崩壊の引き金を引いたのはルキーニだったのです。
回想の中の出来事が、実際の運命に影響を及ぼす。
これはどうしたことでしょう?
ルキーニの出現によりタイムパラドックスが生じるのです。

ルキーニの登場により運命がねじれ、メビウスの輪のようにぐるぐる同じところを辿り続ける。
『エリザベート』の物語の構造は複雑です。

唯一、輪の外にいるのが黄泉の帝王トート。
最終答弁に臨み、愛するエリザベートを黄泉の世界へ導く。

当事者のエリザベートが黄泉へ去れば、煉獄の裁判は終わるのか?
それとも夜の訪れと共に、ふりだしに戻るのか。
ルキーニはいつこの無限地獄から解放されるのか。

ルキーニを軸に観てみると、また違った面白さが現れる『エリザベート』の物語です。

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プロフィール

noctiluca(ノクチルカ)

Author:noctiluca(ノクチルカ)
宝塚歌劇と共にまもなく30年(ブランクあり)。
月組/星組比重高めの全組観劇派。
美丈夫タイプの生徒さんが好み。
宝塚歌劇観劇記録・考察・思い出話・備忘録などをまとめたブログ。
◇更新情報はこちら◇
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