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東京公演、もうひとつのお楽しみ│日比谷シャンテ 宝塚歌劇 星組ステージ衣装コレクション(ロックオペラ モーツァルト/アルジェの男)

東京宝塚劇場のお向かい、日比谷シャンテで開催中の「宝塚歌劇 星組ステージ衣装コレクション」を観てきました。
大劇場では歌劇の殿堂で過去の衣装を観られますが、東京ではここだけ。
毎回楽しみにしている企画です。

最近は新型コロナウイルス感染拡大の影響でしばらくお休みでしたが、公演再開と共に衣装展も復活。
一気に気持ちが華やぎますね。
やっぱりシャンテには、これがなくちゃ!

ロックオペラ モーツァルト


星組新トップコンビ、礼真琴さんと舞空瞳さんのプレお披露目公演『ロックオペラ モーツァルト』の衣装展示。
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ヴォルフガング・アマデウス・モーツァルト(礼真琴)の衣装は品の良いラベンダー色。
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劇場ではもっと明るく感じられました。
舞台の照明はかなり強いんですね。
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クラシックなデザインにさりげなく取り入れられたロックテイストがツボ。
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ポスターを見た瞬間、一目惚れしたコンスタンツェ(舞空瞳)のドレス。
間近で見ると、やっぱり可愛い!
なこちゃん(舞空)が着れば、もっと可愛い!
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色といい、デザインといい、めちゃめちゃ好み。
『1789 ―バスティーユの恋人たち―』のマリー・アントワネット(愛希れいか)の水色×ピンクのドレスと並び、大好きなお衣装です。
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左肩のみ添えられた花飾り。
アシンメトリーなデザインに遊び心が感じられます。
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コルセットに描かれた花模様に注目!細かい!
バックスタイルも可愛い!
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コンスタンツェの少女性を象徴するような大きなリボン。
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四姉妹の色違いも可愛いんですよね。
一度でいいから着てみたい夢のドレス。
ステージスタジオのラインナップに入らないかなぁ…

アルジェの男


楽しかった全国ツアーの思い出が甦る『アルジェの男/ESTRELLAS』の衣装展示。
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礼真琴×音波みのり×愛月ひかるの相性が最高でした。
無償の愛で琴ちゃんを包み込むはるこさん(音波)。
濃密な大人の色気をみせた愛ちゃんとはるこさん。
いつかまたこの組み合わせで観てみたいですね。
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ジュリアン・クレール(礼真琴)。
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ようやく掴んだ黄金の果実を失った引き換えに真実の愛を得たジュリアン。
サビーヌの罪を引き受けるように、そっと拳銃を受け取るシーンが好きです。
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ESTRELLAS~星たち~


お芝居の衝撃の幕切れから一転、キラッキラでエネルギッシュな星組らしさ全開のショー!
楽しかったーー!
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星組カラーの青に、流星や銀河を思わせるデザイン。
改めて、宝塚の衣装ってカッコいいなぁーと思います。
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動くと一層カッコいいアシンメトリーなロングジャケット。
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新幹線で移動して、友だちと待ち合わせて食事しながらおしゃべりして。
満員御礼の劇場は、期待と興奮に満ちた熱いざわめきに埋め尽くされて。
客席降りで生徒さんと触れ合って。

今となっては夢のようなことばかり。
当たり前に楽しんでいたことが、どれだけ幸せだったか。
思い出すとクラクラしちゃいます 笑

いつかまた、こんな日々を取り戻せますように!
中止になった『エル・アルコン/Ray』も仕切り直しできますように!

「宝塚歌劇 星組ステージ衣装コレクション」は、日比谷シャンテ2階の特設コーナーで9月20日(日)まで観られます。
ご観劇ついでに是非お立ち寄りください。

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名作は時代を超えて―“星の申し子”礼真琴と、奇跡のキャスティングで甦った『アルジェの男』

昭和、平成、令和。
3つの時代を股にかける『アルジェの男』。

1974年(昭和48年)星組で初演。
主演は鳳蘭さん。
1983年(昭和58年)と84年(59年)に星組で再演、再々演。
主演は峰さを理さん。
2011年(平成23年)月組で再々々演。
主演は霧矢大夢さん。

そして、2019年(令和元年)再び星組で4度目の再演。
主演は礼真琴さん。

足かけ45年。
およそ半世紀にわたり、再演を繰り返してきた宝塚の財産と言える名作。

“星の申し子”礼真琴によって令和の時代に甦ったのも、なにかの巡り合わせかもしれません。

華やかなりし日々を再び


長くヅカ離れしていた私が宝塚と衝撃の再会を果たしたのが月組アルジェ。
それから8年。
2019年5月18日、仙台のイズミティ21ホールで礼真琴率いる星組の『アルジェの男』に出会ったのです。

あの全国ツアーからまもなく一年。
たった一年とは思えないほど遠くへ来てしまったように感じます。

去年の手帳の5月のページ。
ゴールデンウィーク初日に東宝で月組『夢現無双』を観て、翌日から大阪へ。
梅芸で星組『鎌足』を観て、東京に帰ってまた月組月組、そして仙台でアルジェ、東京に戻って青年館で鎌足鎌足鎌足…
劇場にいない日は仕事終わりに連日ジム。

元気ですねーーー 笑
それ以上に、こんなにもヅカ充していたのが夢のようです。
予定キャンセルの×印以外は真っ白なままの今年のスケジュールとは大違い。

『鎌足』の予習がてら奈良県の明日香村まで足を伸ばしたり、仙台では観劇の合間をぬって仙台市立博物館(阿弖流為関連の資料にわくわく!)に行ったり、楽しかったなーー
一緒に行った友だちとは「今の状況が落ち着いたら、また行こう」と話してます。

仙台では別の友だちと合流して3人で牛タンを食べながらヅカトーク。
旅先の高揚感もあり、やたら楽しかった思い出です。

美味しいものを食べて、たわいないおしゃべりをして、宝塚を楽しむ。
こんな日常を再び作り上げなくてはいけませんね。

令和アルジェ、奇跡のキャスティング


もう100回くらい言ってますけど、令和アルジェは奇跡のキャスティング。

音波みのりサビーヌの最後の言葉は、礼真琴ジュリアンに輝く未来を捨てさせるのに十分な説得力。
愛月ひかるジャックの「よぉ」は天下一品。
朝水りょうボランジュ総督が昔ワルかったの納得。
小桜ほのかアナ・ベルの打ち砕かれた無垢。
極美慎アンドレの背中の芝居。
桜庭舞エリザベートの高慢と変心。

何度観ても飽きないし、演じ手が変わるごとに新しい発見がある。

ジュリアンにアナ・ベルを“託す”ときの万里柚美シャルドンヌ夫人の意味深な表情。
すべてを知りながら素知らぬ顔でジュリアンを支え続けた紫藤りゅうミシェルの度量。

人の心のひだの奥深くに分け入る面白さ。
時代が変わっても色褪せない「物語の力」を感じる作品です。

5度目の再演がいつになるか分かりませんが…絶対観たい!

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愛月ひかる、スターの煌めき│ESTRELLAS

星組全国ツアーの感想、第4弾はショー『ESTRELLAS ~星たち~』の愛ちゃん(愛月ひかる)について。

お芝居『アルジェの男』の感想はこちら。
ジャック(愛月ひかる)が作品世界を支配する│アルジェの男

ウェルカム!「ザ・男役」愛月ひかる


星組全国ツアーの収穫のひとつに「星組×愛月ひかる」の相性の良さを確認できたことがあります。

愛ちゃん(愛月)の専科異動後初舞台が星組と知ったときは「おっ!」と思いました。
いいじゃないですか!
“青いミラーボール”星組ד濃紫のベルベット”愛月ひかる。
どんな相乗効果をもたらすか、わくわくしかありません!

骨太な芝居らしい芝居、スターの素の魅力を引き出すショー。
新生・愛月ひかるのデビュー戦には申し分ない二本立てです。

正統派二枚目から宝塚の枠を超える汚れ役まで、広い役幅(と肩幅)を誇る愛ちゃん。
こってり濃厚な「ザ・男役」が星組に加わる。
ウェルカム!ウェルカム!です!

愛月ひかる、スターの煌めき


素晴らしかったのは「星サギの夜」。
愛ちゃんが舞台に現れた瞬間、鳥肌が立ちました。
純白の衣装をまとった愛ちゃんの姿が、ぐーんと大きく見え、劇場を覆い尽くすように思えたのです。

きらきら明るい輝きをまとった愛ちゃん。
黒い役も似合うけど、やっぱり愛ちゃんは「白い貴公子」だな~~

そして、歌!
すっごく上手になってる!!

愛ちゃんの歌を聴いたのは、昨年末の宙組公演『白鷺の城/異人たちのルネサンス』以来。
技術はもちろん、歌声に艶と深みが増していて、驚きました!

専科に異動されてから短期間で、ここまで上達されるなんて凄い!
愛ちゃんがどれだけ努力を重ねてこられたかが伝わってきました。

〽あれがシリウス リゲル プレアデス
満員の劇場を眺め渡しながら歌う愛ちゃんの指先の向こうに、たしかに“無限の宇宙”の広がりが見えました。

同時に、優しく包み込まれるようなぬくもりも感じました。
「慈愛」ともいうべき温かな眼差し。
心洗われるような感動を覚え、大好きな「星サギの歌」がまた更に好きになりました。

なにより印象的だったのは、愛ちゃんの圧倒的な華。
トップスターのために作られた場面ですから、真ん中に立つ方の存在感が引き立つのは当然ですが、その場の空気を一気に“愛月ひかる色”に染める力に、胸を打たれました。

劇場を支配する。
これは誰にでもできることではありません。

スターとは観客に“感動”を与えられる人。
舞台のどこにいても、ファンの心を動かすことができる人は「スター」です。

この目で観て、耳で聴いて、心で感じた愛ちゃんの「スターの煌めき」。
この場面を観るためだけでも仙台に行った甲斐がありました!

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芝居を適切に楽しむための語彙力│アルジェの男

宝塚は全組観劇派の私。
一年中ほぼ休みなしの公演の波に、感想を書くのが追いつかず、埋もれてしまうことがあります。

初夏に行われた星組全国ツアーもそのひとつ。
年を越してしまわないうちに、残しておきたい感想をUPしておきます。
『アルジェの男』観劇記録はこちら

芝居を適切に楽しむための語彙力


やや古風な言い回しが多い『アルジェの男』。

観劇後、友人に「タタキって何?」と訊かれました。
ジュリアンの台詞にある「たたきと殺しはやってない」ですね。
「たたき」は「強盗」の隠語ですが、いっぱしの悪党ぶった彼もさすがに「強盗」「殺人」にまで手を染めてはいないということですね。

ワルぶってはいるけれど、せいぜい街のチンピラ風情のジュリアン。
ひょんなことから成功の糸口を掴むが、昔なじみの格上のワル(ジャック)に目をつけられ、破滅していく。

ジャックに脅されたとき、彼が既にたたきや殺しに手を染めていた男であったなら、結末は違っていたでしょう。
己の保身のために邪魔者を即排除するに至らなかったジュリアンの「平凡」な青年らしさが、彼自身の寿命を縮めたとも言えます。
「たたきと殺しはやってない」は、それが良く表れた台詞です。

「たたき」はおよそ半世紀前(1974年)の初演時には、すんなり通じていたのでしょうか?
他にも、現代では一般的でない言葉、文語的な表現がたびたび登場する柴田侑宏作品。

たとえば、ジュリアンの歌。
〽きらきら光る 黄金の旨酒を
「旨酒(うまざけ)」も耳で聴くと、一瞬「馬酒」を連想しちゃったりして…

ジュリアンの野望と絶望が交錯する大切な場面。
ここはどうしたって「黄金の旨酒」でなくてはいけません。
「金色の美味しい酒」では間が抜けます。

作品に独特の香気を与える言い回し。
非日常の言葉だからこそ生み出せる感動や満足
演じ手のためにも、観客のためにも、そして次代の作品を生み出す座付き作家のためにも、ときにはこんな作品を上演することも必要です。

未知の言葉を噛み砕くことに意識を取られると、物語の理解がおろそかになりがち。
結果として、本来得られるはずの感動が浅くなる。
それではあまりにもったいない。
「芝居」を面白く味わうためにも、耳から入った音を適切に処理して、正しく脳内変換できるよう、語彙力を高めたいと思います。

他に耳慣れないのは、ジャック(愛月ひかるさん)の「総督と鉢合わせするなんざぁ、いい辻占だ」の「辻占(つじうら)」でしょうか。
(陥れようとしていた)総督と鉢合わせなんてツイてる、といった感じでしょうか。
なぜか、べらんめえ口調なジャック…

仙台公演の思い出


私が行ったのは仙台公演。
すっごく楽しくて大満足でした!
会場の「仙台銀行ホール イズミティ21」は音響も良く、広々と見やすいホールでした。
東京からたったの1時間半だし、また行きたいですね。

普段なかなか会えない友だちと一緒だったのも嬉しかった!
めちゃくちゃタイトスケジュールでしたが、美味しい牛タンを食べて、おしゃべりして…
楽しかった~~

お土産はもちろん、礼真琴さんがイメージキャラクターを務める菓匠三全さんの「萩の月」!
ボランジュ邸でのアドリブで「これでもか!」とアピールされて食べたくなっちゃいました。
いつ食べても、ふんわりまろやか~~

『アルジェの男』は、あっけない幕切れが特に好き。
(初めて観たときはポカ~ンでしたけど)
蛇足を付け加えては台無しです。

気になった生徒さんについて


2011年月組版で千海華蘭さんが演じられたピエール(礼真琴さん演じるジュリアンの取り巻き)。
今回の星組版で、登場第一声「いいなぁ」と思ったら天飛華音さんでした。
憧れのジュリアンが手の届かない存在となったのを察し、本を地面に叩きつけて去る様子が切なかったですね。

そしてなんと言っても、はるこさん(音波みのり)!
一途にジュリアンを慕う、健気なヒロインを好演されました。
さまざまな想いのこもった「ジュリアン!」の言い方が耳に残ります。

全国ツアー当時は想像だにしなかった、愛ちゃんの組替え。
まさか再び、琴×愛×はるこの並びが見られるなんて…
『眩耀の谷』で3人がどのように絡むのか、楽しみです!

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ジャック(愛月ひかる)が作品世界を支配する│アルジェの男

『アルジェの男/ESTRELLAS ~星たち~』千穐楽おめでとうございます。
緻密なお芝居、エネルギッシュなショー。
申し分のない舞台でした。
全国の皆さまに「宝塚の星組」を強く印象づけたのではないでしょうか。

『アルジェの男』のキーマン、ジャック


シンプルながら、しみじみ面白い『アルジェの男』。
脚本が以前のバージョンに戻ったそうで、2011年月組版とはだいぶ違った印象を受けました。
礼真琴、ありがとう!―生まれ変わり、輝きを増した『アルジェの男』

一番大きな違いは、主人公ジュリアン・クレールの人生に大きな影を落とす男、ジャックの描かれ方でしょうか。

月組版ジャック(龍真咲)には「影の怒り」というソロがありました。
〽自分だけ成功するなど思うなよ
〽俺を連れて行かないなら必ず引きずり下ろしてやる

ボランジュ総督に見出され、成功への足がかりを得たジュリアンに対するジャックの複雑な想いがこもったナンバー。
妬み、怒り、疎外感、ねじれた執着…

今回このソロはありません。
不思議なことに、この歌がないとジャックの見え方がまったく違ってくるのですね。

「影の怒り」というタイトルが示すとおり、ジュリアンが光なら、ジャックは影。
光なくして影は存在しない。
ふたりはひとつ。
まさおさん(龍)の偏執狂的なお芝居がよくハマり、底知れない不気味さを醸し出していました。

完全にジャックの一方通行とはいえ、ジュリアンとジャックの結びつきの強さが印象的な月組版アルジェでした。

愛月ジャックが作品世界を支配する


一方、愛月ひかるジャック。
こちらは打って変わって、純粋なクズ。
下衆の極み、守銭奴、疫病神、冷酷非道、極悪非道…

ある種の可愛げがあった龍ジャックに比べ、同情の余地もない悪党っぷりを見せつけました。
これは単に「影の怒り」がない、というだけの理由ではありません。

龍ジャックが「ジュリアン>金」なら、愛月ジャックは「ジュリアン<金」。
龍ジャックの行動原理が「おまえだけ陽のあたる場所に行くのは許さない(執着)」とすれば、愛月ジャックはひたすら「金(我欲)」。
ジュリアンを「たっぷり絞れそうな財布」としか見ていない酷薄さを感じます。

もうひとつ、愛月ジャックに特徴的なのはサディズム。

「おまえはまだ、この俺に楯突こうってのか」
この台詞ひとつに、サビーヌをどのように扱い、奪ってきたかが表れます。
追い詰めたねずみをいたぶる猫のような絶対的優位。
決して抵抗できない相手を、舌なめずりしながら責めさいなむことに喜びを見出す男。

ジャックの加虐性は、そのままジュリアンにも向かいます。
「よお」
この一言がもたらす不穏な空気。

無防備な背中を狙って斬りつけるような言葉。
ザラリと神経を逆撫でする声。
ジュリアンは地獄の淵を覗いたような気がしたことでしょう。

ボランジュの後ろ盾で順風満帆に歩んできたジュリアン。
地位も名誉も愛もすべて、まもなくこの手でつかめるだろう。
行く先に待っているのは黄金に輝く道だ。

ここまで来れば、もう大丈夫。
過去は追ってこない…
安心した矢先の、悪魔。

墨を垂らしたように黒々とした絶望がジュリアンに覆いかぶさるのが見えるようでした。

たった一言で空気を変える。
愛月ひかるが『アルジェの男』に登場した価値は、まさにこの一言にあるのです。
主人公に破滅をもたらす、たったのひとつの言葉。

「この男が生きていては、俺の人生が駄目になる」
「この男が生きていたら、ジュリアンの人生を駄目にする」
ジュリアンとサビーヌを追い詰めるジャックの存在。

逃げても逃げても追ってくる。
一度狙った獲物は骨の髄までしゃぶり尽くすまで決して離れない、悪霊のような男。
愛月ジャックは絶品でした。

ジャックがシンプルに「悪」に徹することにより、物語がより引き締まったように思います。
最近の宝塚作品にはなかなか見られないドライな仕上がりは私好みです。

ジュリアンもサビーヌも、ジャックにとっては単なる金づるでしかない。
ジャックの描かれ方が違えば、物語の構造が違ってきます。
骨子がしっかりしているからこそ、アレンジ次第でまったく異なる物語に仕上がる。
『アルジェの男』という作品の面白さを再認識した全国ツアー公演でした。

名作を自分たちの色に染め上げ、新しい時代の『アルジェの男』として甦らせた琴ちゃん率いる星組選抜メンバーの皆さま。
そして、濃密な悪の色気と圧倒的な存在感で作品をグイグイ引っ張ってくれた愛ちゃんに、心よりの拍手を送ります。
素晴らしかったです!

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プロフィール

野口 留香 noctiluca

Author:野口 留香 noctiluca
宝塚歌劇と共に30年(ブランクあり)。全組観劇派。美丈夫タイプの生徒さんが好み。谷正純・酒井澄夫・木村信司・大野拓史作品が好き。観劇記録・考察・思い出話・備忘録などをまとめたブログ。

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